全米サービス労働組合（SEIU）会長「デヴィッド・ウエルタ氏の逮捕に関する声明」

皆さん：

ゼネラルユニオン副委員長の川口です。

　2025年6月6日（金）、全米サービス労働組合（SEIU）会長であるデヴィッド・ウエルタ氏が、ロサンゼルス市中央部にある衣料品工場へのアメリカ移民・関税執行局（ICE）の強制捜査に対する平和的抗議活動に参加していた際に逮捕されました。彼はそのとき、地域社会の監視者として行動していました。逮捕時には暴行を受け、負傷し、治療のために病院に搬送されました。その後、保釈金5万ドルで釈放されましたが、「公務執行妨害の共謀」という罪で起訴されており、最大で6年の懲役刑が科される可能性があります。

　デヴィッド・ウエルタ氏は、7月7日に起訴手続き（アレインメント）を受ける予定です。ゼネラルユニオンは、日本国内の他の労働組合にも呼びかけ、日程が決まり次第、駐日米国大使館および各地の米国領事館前での抗議行動を共に行い、すべての起訴の取り下げを求めていきたいと考えています。

　みなさんのご協力を呼びかけます。詳細は、以下の声明でご確認ください。

********************************************************************************************

デヴィッド・ウエルタ氏の逮捕に関する声明

ゼネラルユニオン

２０２５年 6 月 6 日(金)、全米サービス労働組合(SEIU)会⻑であるデヴィッド・ウエルタ氏が、ロサンゼルス市中央部にある衣料品工場へのアメリカ移⺠・関税執行局(ICE)の強制捜査に対する平和的抗議活動に参加していた際に逮捕された。彼はそのとき、地域社会の監視者として行動していた。逮捕時には暴行を受け、負傷し、治療のために病院に搬送された。その後、保釈金 5 万ドルで釈放されたが、「公務執行妨害の共謀」という罪で起訴されており、最大で 6 年の懲役刑が科される可能性がある。

SEIU は米国に 75 万人の組合員を擁し、カナダにも組合員を持つ労働組合である。大学の研究者から医療従事者、建物の清掃・管理業務に従事する労働者まで、さまざまな分野の労働者を組織している。デヴィッド氏は、特に低賃金の労働者層である清掃労働者の生活水準を大きく改善させた「ジャニターズ・フォー・ジャスティス(Justice for Janitors)」キャンペーンの指導者の一人であった。そのため、今回の逮捕は米国の労働組合運動全体から強く非難されている。全米労働総同盟産業別組合会議(AFL-CIO)をはじめ、全米教育協会

(NEA)などが釈放を求める声明を発表した。彼の逮捕に抗議するデモも広がっており、多くの組合関係者がこれを「労働組合に対する威嚇行為」と見なしている。デヴィッド氏が参加した抗議行動は、ICE が職場を襲撃し、米国市⺠でさえ市⺠権を証明できるまで拘束されるような事態に対するものであった。特に黑人、ヒスパニック系、アジア系の労働者が、武装し仮面をつけた ICE 職員によって標的にされ、嫌がらせを受けるケースが多発している。このような状況の中で、多くの移⺠労働者を組織する労働組合が沈黙することはできなかった。デヴィッド氏は、違法行為の抑止を目的に平和的に抗議し、監視活動を行っていた。

日本の一部テレビ局では、この抗議活動に関して、旅行者の不便を理由に否定的な報道がなされたが、ロサンゼルスのリトル・トーキョーにある日系コミュニティセンター「リトル・トーキョー・サービスセンター(LTSC)」は、抗議活動への連帯を示す声明を発表した。これは、日系アメリカ人自身も人種的プロファイリングの脅威にさらされていることを認識してのものである。

「今週、ロサンゼルスで一部破壊行為が発生したが、これは大多数の平和的なデモを代表するものではない。メディアはリトル・トーキョーおよびダウンタウン・ロサンゼルスの破壊や混乱に焦点を当てているが、ICE による前例のない拘束(および州兵・海兵隊の配備)が

事態の激化の根本的な原因である。人々の抗議方法を非難するのは容易だが、なぜ抗議しているのか、何が問題なのかに目を向けることが重要である。LTSC は、これまでもこれからも移⺠コミュニティとの連帯を貫き、平和的抗議の憲法上の権利を支持する。」

LTSC の声明全文(英語)

我々の運動は、国境を越えた国際的な運動である。外国人労働者が多数を占める労働組合と

して、ゼネラルユニオンは、世界のどこであれ外国人労働者に対する人種的プロファイリングや攻撃に強い懸念を抱いている。我々は、労働組合が国境を越えて団結と連帯を示すことが重要だと考える。

デヴィッド・ウエルタ氏は、7 月 7 日に起訴手続き(アレインメント)を受ける予定である。ゼネラルユニオンは、日本国内の他の労働組合にも呼びかけ、日程が決まり次第、駐日米国大使館および各地の米国領事館前での抗議行動を共に行い、すべての起訴の取り下げを求めていく。