本文の先頭へ
LNJ Logo アリの一言:西田議員は確信犯、問題発言の核心は何か
Home 検索
 




User Guest
ログイン
情報提供
News Item 1746831123009sa...
Status: published
View


西田議員は確信犯、問題発言の核心は何か

2025年05月10日 | 沖縄と天皇・天皇制
   

 自民党の西田昌司参院議員(京都選挙区)は9日記者会見し、「丁寧な説明なしにひめゆりの塔の名前を出して講演したこと自体、非常に不適切だった」「私が発言したところは訂正削除したい。本当に申し訳ない」(NHKニュース)と述べました。

 NHKは9日夜のニュースで、「西田議員が発言を謝罪・撤回」と報じました。この報道は誤りです。なぜなら、西田氏はこの会見でこうも述べているからです。

「(西田氏は)一方で「自分の言っていることは事実だという前提でいまも話している。問題は、事実(かどうか)ではなく、県民の感情を分かっていなかったことだ」とも主張。講演の中で「沖縄の場合には、地上戦の解釈を含めて、かなりむちゃくちゃな教育のされ方をしている」などと発言したことについては、「(謝罪・撤回は)しません」と述べた」(9日付朝日新聞デジタル)

 西田氏が「申し訳ない」と言っているのは「県民の感情を分かっていなかった」ということについてだけです。それも問題が大きくなってきたから口にしただけで、心からの謝罪でないことは明らかです。

 この日の会見でも西田氏は、「自分の言っていることは事実」だと繰り返し、「(謝罪・撤回は)しない」と断言しました。これを「発言を謝罪・撤回」と報じたNHKの報道には、自民党に打撃になるこの問題を早く収束させたいという政治的思惑が透けて見えます。

 西田氏は歴史改ざんの確信犯です。発端の3日の講演でも「自分たちが納得できる歴史を作らないと、日本は独立できない」と言っています。
 西田氏は「問題は、事実(かどうか)ではない」と開き直っていますが、発言が「事実かどうか」こそまさに最大の問題です。

 では西田発言(3日の那覇市でのシンポ)は何が問題だったのか、改めて確認しましょう。発言の問題部分は次の個所です(各紙の「西田氏発言要旨」から)。

「ひめゆりの塔ですがね、何十年か前にお参りに行ったことがあるんですけれど、ひどいですね。説明のしぶりを見ていると、要するに日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆりの隊が死ぬことになっちゃった。そしてアメリカが入ってきて、沖縄は解放されたと。そういう文脈で書いているじゃないですか。歴史を書き換えられるとこういうことになっちゃうわけですね。…沖縄の場合には地上戦の解釈を含めて、かなりむちゃくちゃな教育のされかたをしてますよね」

 大きく言って問題は2つあります。

 1つは、「ひめゆりの塔(の展示)が(沖縄戦の)歴史を書き換え(ている)」とする「ひめゆりの塔」への非難・中傷です(これをとします)。
 もう1つは、その「書き換えられた」歴史とは、「日本軍がどんどん入ってきて、ひめゆり隊が死ぬことになった」という「地上戦の解釈」です(これをBとします)。

 沖縄タイムスの第1報(4日付)が主に問題にし、ひめゆり平和祈念資料館の普天間朝佳館長らが事実無根と反論し、琉球新報、沖縄タイムスの社説(8日)が主に批判しているのはです。が問題であることは言うまでもありません。西田氏は9日の会見でこのも「撤回」していません。

 さらに問題なのはBです。
 1944年から日本軍が沖縄に「どんどん入ってきて」、それによって「ひめゆり隊」はじめ沖縄の住民4人に1人が「死ぬことになった」のは歴史の事実です。西田氏はこの事実を否定(改ざん)したいのです。

 なぜ日本軍が大量に沖縄に入り、大勢の犠牲者を出したのか。それは天皇裕仁を頂点とする大本営が、「国体」=天皇制護持のため、沖縄を「捨て石」にしたからです。さらに皇民化教育・政策によって沖縄住民を様々な形で戦争に巻き込んだからです。沖縄は天皇制維持の犠牲になったのです。

 さらに、「軍隊は住民を守らない」、それどころか住民を殺すという軍隊の特性もあります。自衛隊の拡大強化が進行している沖縄で、この事実はきわめて重要です。

 これが沖縄戦の真相です。その歴史を打ち消そうとしていることが西田発言の核心です。

 Aの批判だけでは不十分です。B の問題すなわち沖縄戦とは天皇(制)延命のために沖縄が「捨て石」になった地上戦だったという歴史の真実をあらためて確認・強調する必要があります。

 それができるかどうか。メディア、「識者」は問われています。西田暴言はその反面教師です。この沖縄戦の真相を打ち消そうとして、6月4日には天皇・皇后がまた沖縄にやってきます。



Created by sasaki. Last modified on 2025-05-10 07:52:04 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について