| 村のタブーを打ち破った人々〜『黒川の女たち』 | |
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堀切さとみ 戦後80年の今、観るべき映画は?といわれたら、迷わず『黒川の女たち』と答えるだろう。すごい記録だった。満蒙開拓団の史実を掘り起こした、というだけではない。 1945年8月、ソ連が満州国に侵攻。捕虜になるよりはと、集団自決した開拓団もある。 「乙女の碑」という地蔵菩薩がある。開拓団員はその意味を知っている。でも口にすることはできない。黒川村の人たちは箝口令に従っていた。 長野県に「満蒙開拓平和記念館」がある。2013年にオープンし、いち早くそこで証言をしたのが佐藤ハルエさんだ。彼女は自分の体験を話したくてたまらなかったのだ。ずっと前から開拓団についての取材に応じてきたが、性被害についてはとりあげてもらえなかったという。
汚いと言われるのを恐れ、話せなかった人もいる。映画の前半は名前も顔も出さず手元だけが映される。ところが、話し始めたら孫が手紙をくれた。「伝えてくれてありがとう。自殺しないで、ばあちゃんが生きてくれたおかげで、自分たちがこの世にいる」と。 映画には黒川開拓団の息子たちも出てくる。男たちには経験し得なかった凌辱。それを詫び、次の世代に言葉で残さなければと、勇気ある女性たちに寄り添う。 戦後100年になったら、生きた証言者はいなくなる。戦後80年の今がギリギリだろう。だけど「なかったことにさせない」という思いを、開拓団の娘や息子たち、その子どもたちがつないでいる。語れば必ず歴史に残る。 隠すようなことではない。被害者はもっと堂々とあっていい。それを全力で受け止めた黒川村の人々に、私は心底学びたい。
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