![]() |
美術館めぐり:第78回日本アンデパンダン展「時代の表現・生きる証」 | ||||||
Menu
おしらせ
・レイバーネットTV(4/23) ・あるくラジオ(2/23報告) ・川柳班(4.26句会) ・ブッククラブ(3/20) ・シネクラブ(3/22) ・ねりまの会(5/3) ・フィールドワーク(足尾報告) ・三多摩レイバー映画祭(5/25) ・夏期合宿(8月下旬予定) ・レイバーネット動画 ●「太田昌国のコラム」第100回(2025/4/10) ●〔週刊 本の発見〕第384回(2025/4/17) ●「根津公子の都教委傍聴記」(2025/3/6) ●川柳「笑い茸」NO.160(2025/3/26) ●フランス発・グローバルニュースNO.17(2025/3/1) ●「飛幡祐規 パリの窓から」第98回(2025/2/18) ●「美術館めぐり」第9回(2025/3/24) ★カンパのお願い ■メディア系サイト 原子力資料情報室・たんぽぽ舎・岩上チャンネル(IWJ)・福島事故緊急会議・OurPlanet-TV・経産省前テントひろば・フクロウFoEチャンネル・田中龍作ジャーナル・UPLAN動画・NO HATE TV・なにぬねノンちゃんねる・市民メディア放送局・ニュース打破配信プロジェクト・デモクラシータイムス・The Interschool Journal・湯本雅典HP・アリの一言・デモリサTV・ボトムアップCH・共同テーブル・反貧困ネットワーク・JAL青空チャンネル・川島進ch・独立言論フォーラム・ポリタスTV・choose life project・一月万冊・ArcTimes・ちきゅう座・総がかり行動・市民連合・NPA-TV・こばと通信・Tansa
|
志真斗美恵 第9回(2025.3.24)・毎月第4月曜掲載 ●第78回日本アンデパンダン展「時代の表現・生きる証」(国立新美術館) 厳しい時代をすすむ作品群
そして翌年から年に1回、無審査のアンデパンダン展を開催した。3回展には、丸木位里・俊が「8月6日」(後に「原爆の図」第1部と改題)を、第4回展には、山下菊二が「オト・テム」、鶴岡政男が「黒い手」を出品した。その後も、新海覚雄、本郷新、井上長三郎、池田龍雄、滝平二郎等の専門作家が参加している。現在は、プロ作家は減少し、アマチュア、シニアが大半を占める。それが悪いのではないが、むしろこの展覧会こそ、プロとアマチュアとを問わず、青年もシニアも活躍する場であってほしい。「青年コーナー」もあるが、作品は少ない。『日本経済新聞』が取り上げていたが、今後はAIによる作品作りも問題になるだろう。 国立新美術館は、所蔵作品を持たない、広大な貸しギャラリーといえる。展示環境はいいが、750点近い作品を見るのは大変だ。このところ、アンデパンダン展は、毎回「時代の表現・生きる証」をタイトルとしている。他の展覧会では見られないような、沖縄・ウクライナ戦争・イスラエルによるガザ攻撃、東日本大地震と原発事故・能登の大地震、環境破壊などを描いた作品が多数展示されていた。 「あれから13年」(岡百代 油彩)、「14年目大熊町」(堀江美津 油彩)は、原発事故によって今なお住むことができないことを描いた。「輪島はあきらめない」(峠徳美 油彩)の露店で店を開いている女性2人の笑顔は、そこの住民たちの力強さを示している。背景となった瓦礫は、1年以上経過しても町は被災から回復されていないことも表している。 SYプロジェクトによる『分離壁』(インスタレーション)には、おおきな白い壁がつるされ、そこに3つの地図がはられている。「ガザ ウクライナ 沖縄 そして すべてのものたちの 未来のために」「私たちの生活は カードではない」「私たちの経済は カードではない」「私たちの未来は カードではない」「私たちの土地は カードではない」という文字の書かれた5枚の小さな紙が下にある。ウクライナ、沖縄、パレスチナの地図には赤く塗られているところがあり、沖縄の基地、ウクライナはロシアに侵略された地域、パレスチナはイスラエルにより奪われたところを示しているのだろう。 絵画では、母子像に注目した。「忘れない」(伊藤八枝)では猫を抱いた母子が描かれ、「ロイターより、ベイルート、ガザ2025」(吉岡セイ 油彩)、「ジェノサイド・弾痕」(高野考太郎 アクリル)など。小さな文字で、「If I must die」とある「つぶされても/ヒマワリ」(高野考太郎 アクリル)には、破壊された町のなかに2組の母子と子どもがいる。 「you must live ガザの詩」(松山しんさく 日本画)には、空に5つのカイトがあがっていて、それぞれに違う言語が書かれている。中央に焼け焦げた死体があり、雨が降りしきる白黒の画面「ガザ」(星功 油彩)が忘れられない。「爪痕」(山本悟 油彩)も強烈な印象だった。 「耕作放棄地の蜃気楼」(百瀬邦孝 日本画)は、蜃気楼の中に、高層ビルと国会議事堂が浮かび、農政を批判する。「森の主権は我々」(岩井健二 油彩)は赤鼻のマントヒヒが中央に大きく描かれ左にはクマがいて、森はだれのものかと問う。 「鋳物工場2024.3」(富丘太美子 油彩100号)は力作で、いまもこのような現場があるのかと思った。だが会場にはこれ以外に「労働」を描いた作品は見当たらなかった。現在の労働現場が絵にならないということだろうか。絵を描く時間はないのだろうかと思わされもした。 〈高校生が描き・伝える『原爆の絵』〉が、特別展示されている。今回で3回目となる展示で、広島平和記念資料館所蔵の複製画。高校生が話を聞き、描いた原爆被災の図で、文章が附され、状況がよくわかる。より目立つ場所に展示されたらよいのにと思った。 ここでは、自然や生活の断面を描いた膨大な数の作品のなかのごく少数を取り上げたにすぎない。ぜひご自分の眼でみてほしい。 (3月31日迄 入場料…700円 65歳以上・大学生・高校生…400円中学生以下・70歳以上・障害者と付添1人…無料 チラシ持参割引あり) Created by staff01. Last modified on 2025-03-24 11:28:08 Copyright: Default |