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岸田改憲を阻止する大運動を!〜緊急院内集会「憲法審査会は、今!」開かれる

竪場勝司

 緊急院内集会「憲法審査会は、今!」が2月22日、衆議院第一議員会館で開かれた。国会議員の任期延長に絡んだ改憲が進められようとしている憲法審査会の危険な現状が報告され、「岸田内閣による改憲を阻止するための運動を、国会内と国会外で強力に展開しよう」という呼びかけがあった。

●安保法制は、女性たちが作り上げてきた平和な日常を破壊する

 集会は、「九条の会」と「戦争させない・9条壊すな!総がかり行動実行委員会」が共催し、188人が参加した。

 まず早稲田大学名誉教授(労働法・ジェンダー法)で「九条の会」世話人の浅倉むつ子さん(写真上)が、「いま、二つの訴訟の原告として考えること」と題してスピーチした。二つの訴訟とは「安保法制違憲訴訟」と日本学術会議の会員任命拒否に関する「情報不開示処分取消請求訴訟」のことだ。

 安保関連法は15年9月19日に強行採決されたが、浅倉さんは「この法律の立法上の必要性と論拠は全くなかった」と指摘。圧倒的多数の憲法学者が「憲法違反だ」と指摘していた状況を説明した。16年4月には全国で25件の安保法制違憲訴訟が提起され、浅倉さんも含めた原告は7617人にのぼった。これまでに地裁・高裁合わせて40件の判決が出たが、すべて原告が敗訴している。裁判所は「平和的生存権は具体的権利ではない」「戦争の危険は生じていないから、人格権は侵害されていない」などの理由を示している。

 浅倉さんらは「安保法制違憲訴訟・女の会」をつくり、122人の女性により16年8月15日に提訴した。女性たちの思いは「二度と自分たちは戦争の被害者にもならないし、加害者にもならないし、傍観者にもならない」というものだった。浅倉さんは「安全保障におけるジェンダー主流化がないがしろにされたことを、告発する訴訟になっている。安保法制の制定過程おいて、女性の声はとことん排除された」と訴訟の特徴に触れた。この「女の訴訟」については22年3月に請求棄却の判決が出され、東京高裁で控訴審が進行中だ。

 20年10月の菅首相による日本学術会議の会員任命拒否問題に関して、浅倉さんは「任命拒否は日本学術会議法違反だけではなく、学問の自由などいろいろな憲法上の条文に違反している。狙いは、学術会議を国の機関から切り離すことによる学術会議の弱体化だ」と指摘した。任命拒否の理由が全く明らかにされない状況の中、21年4月に法律家1162人が情報公開を請求。これに対し非常に不十分な情報公開があり、浅倉さんらは不開示部分の取り消しを求める訴訟を提起した。

 最後に二つの訴訟の経験を通じて訴えたいこととして、浅倉さんは「戦争を回避するための市民の力が、今試されている。あらゆる手段を通じて、軍事力・軍事的なるもの、暴力や差別、いじめに対抗して、『反暴力』の姿勢を貫きたい。女性たちが作り上げてきた平和な日常を、安保法制は破壊するものだ」などと述べた。

●憲法審査会は危険な状況、岸田改憲を阻止するための運動を盛り上げよう

 集会の後半では、「九条の会」事務局で、「許すな!憲法改悪・市民連絡会」共同代表の高田健さん(写真)が「岸田改憲と憲法審査会の動向」のテーマでスピーチした。高田さんは、岸田首相が自民党総裁に就任以来、繰り返し「自分の任期中(24年9月まで)に改憲をやる」と発言し、1月30日の施政方針演説でも「総裁任期中に改正を実現したいとの思いに変わりなく(中略)今年は、条文案の具体化を進め、党派を超えた議論を加速してまいります」と述べたことを指摘。「首相がこうした場で改憲を発言することは、憲法99条からみて絶対に許されない。今回は踏み込んで、彼らの言う、新しい憲法の条文案の具体化を進めると言っている。これは大変な問題だ」と語気を強めた。

 また、高田さんは「改憲に対する自民党の姿勢に対して、同じように改憲を主張していきた維新や国民民主から、強い批判が出ているのがこのところの特徴だ」として、馬場・維新代表の「なんで今、憲法審査会を開かないのか。本当にやる気ならば、与野党5会派で合意が形成されつつある緊急事態条項の創設を軸に、改正案の取りまとめに直ちに入るべきだ」との発言を取り上げた。

 昨年12月の憲法審査会で、自民党筆頭幹事の中谷氏は「緊急事態条項についてはほとんどの会派が一致している」として条文起草のための作業部会の設置を提起した。これに対し高田さんは「憲法審査会で議論されているのは、緊急事態条項の中の国会議員の任期延長の問題のみ。緊急政令や緊急財政処分など緊急事態条項に含まれる多くの問題は、ほとんど議論されていない。この状況を『緊急事態条項についての認識の一致が進んでいる』として、作業部会を作るというのは明らかにごまかしだ」と批判した。

 「九条の会」は昨年から立憲野党に市民の声を届ける運動を、展開している。高田さんは「野党の闘う体制を、私たちが支えて、国会の外から岸田改憲を阻止する行動をしていく必要がある。運動を大きく盛り上げ、市民は改憲を望んでいない、今急いでやるべきことは改憲ではない、という世論をどれだけつくれるかが、重要な課題だ。崖っぷちの岸田内閣を改憲失敗に追い込み、政権交代に道を開く課題が、今、私たちに問われている」と呼びかけた。

◆筆者プロフィール
竪場勝司(たてば・かつじ)
ライター、週刊金曜日、契約記者、元朝日新聞記者


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