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徹底して被爆都市広島をバカにしたG7の国々〜レイバーネットTV報告

 岸田首相が下準備であちこち飛び回って、5月19日にはじまった広島サミットは、21日に終わった。その日の18時に私たちのレイバーネットTV184号が始まった。なんだか最後はゼレンスキーに場を奪われた印象だったがどんな集まりだったのか振り返ってみた。
 スタジオには「G7広島サミットを問う市民のつどい」を開催した呼びかけ人が集まって、まず鍋叩きから始まった。これはフランスの”よそものネット”から、「G7の3人(米英仏)が核のボタンをもって広島平和記念資料館に入る時に、鍋叩き(ヨーロッパや南米などでの伝統的な民衆の抗議行動の一つ)で抗議してほしい」と要望があったからと。(報告:笠原眞弓)

・2023年5月21日(日)18.00一19.10(70分)
・アーカイブアドレス:https://youtu.be/Qy-LXC5JvdI
・企画担当:稲垣豊
・発言者:稲垣豊(司会)、京極紀子、岡原美知子(オンライン)、池田五律、小倉利丸

 <参考>G7広島サミットを問う市民のつどいの宣言文
https://www.jca.apc.org/no-g7-hiroshima/20230513statement/

◎入管法改悪反対デモの映像

 今回は渋谷国連大学前で行われた入管法改悪反対集会の映像を最初に上映。憲法違反であるこの法案を何とか止めたいと7000人(主催者発表)の人が集まり、集会の後は渋谷までのデモがあり、さらにそこでも同様の集会があった。もちろん全国各地で集会・デモが行われていた。

◎G7広島サミット徹底批判じゃけ!

◆市民のG7への反応は?(京極紀子さん)

 G7の1週間前に広島市民の声を届けようと「G7広島サミットを問う市民のつどい」を開いた。街の中は全国から集められた警官で異様な雰囲気に包まれ、市民たちに迷惑がられていたとか。地元広島をはじめ、沖縄や東京など全国からの発言者の紹介に続いて、次の日の見学会の様子を映像と共に解説した。

 広島の人々は、軍都広島と言うがその通り。驚いたことに、サミット会場は侵略戦争の出撃の拠点となった宇品島に建つプリンスホテル。市民は驚くと同時に政府の真意は何かといぶかしがっているということだ。

 その後の原爆ドーム前での集会、続くデモは200人と小規模ではあったが、アーケード街での「サミット反対」の訴えに共感してもらえたという。

◆軍都広島 加害と被害の歴史を背負ってのサミット(岡原美知子さん)

・1894年(明治27年)日清戦争時に広島城内に大本営がおかれ、天皇が移住したのが軍都広島の始まり
・宇品港は兵士の送り出しを含め、兵站の重要拠点だった
・日中戦争時の加害と被害の碑文のこと
 1970年(昭和55)に建てられた歩兵第11聯隊の碑文には、明治以降大きな戦争のたびにここから出兵していることが刻まれている
・現在の碑文は1994年のアジア競技大会時に、侵略戦争の表現をぼかす改刻をおこなった
・先の日中戦争時にマレー半島で行った華僑の粛清や大久野島(竹原市)が毒ガス製造の島であったこと、ここからたくさんの朝鮮半島出身の女性が戦場に送りだされていたことも刻まれていない
・広島陸軍被服支廠、宇品陸軍糧秣支廠なども軍都であった証しとして残されている                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                                 

◆サミットは戦時 体制/核軍拡/ゼレンスキーとF16/対中包囲網(池田五律さん)

 広島サミットで思うこととして、4つのことを言う。

1、市内の厳戒警備体制への違和感    ウクライナ戦争下でのサミットが、海上自衛隊と海上保安庁が一体となった新しい国家安全保障戦略に、岩国基地の米軍と連携した戒厳体制、つまり戦時体制で行われたと見ていい。

2、核をめぐる広島ビジョン。

 核軍縮を一向に履行しないロシアへの批判、弾道ミサイル等の制限条約をアメリカが脱退して今の軍拡を生んだという問題を無視して、自らの核軍拡を正当化するものであったこと。

3、ゼレンスキーとバイデンの対面とF16

 ゼレンスキーを呼んで、出席しているG7以外の国にもオルグさせたこと。その中でロシア制裁と、ウクライナへの武器供与の強化、特にアメリカのF16の供与を取り付けたのは、象徴的なもの。

4、対中包囲網形成。中国に対する懸念の強調

 対中包囲網の形成、核に対する広島ビジョンなどが首脳宣言でも強く主張している。中でも中国の東シナ海、南シナ海に対する海洋進出を懸念している。
 今の戦争は戦時になってからのものばかりでなく、経済安保という戦争もある。つまり、中国への過度な依存をやめることを首脳宣言で提言された。
 ウクライナを矢面に立てる形でのロシア弱体化作戦をG7らしく、多くの国を巻き込んでいく意図がよく表れていた。例えば、

・クワッド(日、米、豪、印)の会議も行われた
・日米韓の軍事協力を一気に進める踏み台になった(これは、韓国の被曝者慰霊碑にユン大統領と岸田が一緒に献花するなど、日本の植民地支配の歴史を隠ぺいしたうえでおこなわれた)
・日本・カナダの首脳会議は、今後の多国間安保の時代を告げるものになった

などにみられた。

◆G7は限りなくプロパガンダ……の夢物語(小倉利丸さん)

 G7サミットについては連日報道されていたので、一応のことは理解していると思うが、と話し出す。

・20日ころのニュースでNHKが「サミットの重要な課題を現地から」と放送したのは、首脳たちのおみやげ情報や、サミットついて学校でどんな教育がなされたかという「ヨイショ報道」だった
・一方で、開催までは広島でやるのだから「核軍縮」あるいはそれに近いメッセージを期待する報道があったが、実際には一度も核廃絶は語られなかった
・誰が考えてもあり得ないことをメディアは煽ったことになり、これまでのサミットに比べ、プロパガンダ色の強いサミットだった
 ということは、昨年12月に政府が出したハイブリッド戦(正規の軍事力に、サイバー攻撃やSNSなど新旧の手法を組み合わせた総力戦)に繋がる。その中でも重要なのは、情報戦。しかも偽情報を出すことだと、防衛3文書の中にある
・今回のサミットは、あたかも人権を推進させ、核軍縮をするかのようなポーズを見せつつ、そんなことは一切なかった
・岸田が「核廃絶」と言った場合のターゲットは、ロシア・中国・北朝鮮。彼らが核兵器を破棄したら「我々もチョビットなくそうか」があくまでも基本姿勢
・宣言が出るが、これはあくまでも絵に描いた餅。現実はどうなのか
・自衛隊について、一切語らない平和とは何か?
・つまり今回のサミットは、まさにウクライナ戦の中のプロパガンダ戦争だったと言える

◆利用された「被爆地広島」は怒っている(岡原さん)

 当日の警備体制がすごかった。二重に警備隊が入っていたし、警備のあるところの渋滞がひどかったと話し出し、下記述べた。

・「被爆地広島」が利用されたと強く思う
・「広島ビジョン」「首脳宣言」はあるが、核廃絶や核兵器禁止条約については全く触れられなかった
・「核兵器の無い世界は理想」として、中国をけん制しながらロシアの核はいけないという
・被爆者や市民団体は、核保有国のアメリカ、フランス、イギリスに対しては廃絶・減少とは言わず、理想に近づくために「核を保有しながら、拡大抑止を含め合意した」と受け取り、それを批判して記者会見もした
・今回首脳宣言が最終日の前日に出されるなど、ゼレンスキー、ウクライナサミットであり、彼に振り回された
・資料館で何を観たか、被爆者とどんな話をしたかは公表されず、岸田の芳名録は血も肉もないものだった。バイデンは、「資料館の物語だ」と始まっていて、原爆を落とした責任には全く触れていない

◆G7の続きの司法総会合は中国がターゲットに(池田さん)

 今年のG7サミットは12月まで様々なテーマで.続く。直近では7月7日の司法相会合。

 ASEANの司法相会合と合体させて行う予定。ここでは、法の支配(国際法)と人権が話しあわれるだろうということだ。ロシアに対しての無条件即時撤退とプーチンに対する戦争責任者への処罰がある。もう一つは海洋安全保障。これも中国への圧力。3つ目はウイグル地方のことで、人権という名目でこれも中国がターゲット。

◆歴史の汚点になるサミット(岡原さん)

 平和公園内にある韓国人被爆者の碑を韓国大統領、岸田首相参拝したが、その問題の解決は全て韓国に任せているが、きちんと総括をしたうえでの行動をするべきだった。
 歴史の汚点になるサミットだったと思うときっぱりという。

◆G7は独裁である(小倉さん)

 全てのルールを決めるときは、民主主義でなければならないと考えている。ところがG7は、民主主義とは真逆な組織である。民主主義のプロセスを無視してトップだけが物事を決めていく。よく見ると、連合も入った様々な組織が取り込まれ、みんなの意見という(アウトリーチ)ポーズに使われている。そうではなくて、G7ではダメなんだと言っていくことが必要と強調する。

 ゼレンスキーが日本に来た目的はバイデンに会うこと。その絶好のチャンスだった。これは様々な動きに影響してくるだろう。その中で目的や成果が明らかになってきた。

*休憩タイム「ジョニーと乱の5ミニッツ」

 ○レイバーネットTV川柳コーナー
   サミットの茶番の裏の恐ろしさ  乱鬼龍
   ヒロシマは大迷惑の厳戒玲    なずな

 ○ジョニーHの替え歌コーナー
        今回は広島の輝かしい市民プロ球団カープにちなむ「広島サミットの歌」

 最後に出演者で、そろって鍋叩きをして終わった。

 次回は5月31日(水)19時30分より『反戦川柳人 鶴彬の獄死』を出版したばかりの佐高信さんを囲んで、川柳とは表現とはを自由に話し合う。


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