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LNJ Logo レイバーネットTV(3/22)報告 : 国が憲法違反してまで抑えたい「働くものの権利」
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〔報告〕レイバーネットTV181号(3/22)
テーマ : いつもビクビク!三年で全員雇い止め 〜会計年度任用職員制度の闇

国が憲法違反してまで抑えたい「働くものの権利」


アーカイブ録画(70分)

会計年度任用職員制度とは、全く知らない制度だった。最近できたという。この制度にはトリックがあり、分からない人が多いことをいいことに、どうも国が憲法違反もしているようだ。実際のこの制度のもとで働いている方と労働問題のベテランとがスタジオに集まって、現状をさらけ出してくださった。聞いているうちに、日本の役人はなんと「小ちゃい」と思った。(報告 笠原眞弓)

・放送日 2023年3月22日(水)19.30一20.40(70分)
・視聴サイト https://labornettv.org
・今回の企画担当・進行=柴田武男(レイバーネットTV運営委員)
 コメンテイター
・白石孝(NPO法人 官製ワーキングプア研究会理事長)
・竹信三恵子(ジャーナリスト)
 現場の声
・山岸薫(国の期間業務職員・『集まれ!非正規公務員カフェ』)

◆会計年度任用職員制度ってなに?

まず「任用」ってなに? から始まった疑問の連続だった。任用とは、民間でいう「雇用」に近いらしい。会計年度とは、4月1日から次の年の3月31日までをいう。その間のみの任用であって雇用していないので、なんの保証もなくサヨナラできる制度だ。3年間働くと、全ての経験はチャラになってサヨナラされる。続けて働きたかったらまた採用試験を受けることになる。私の頭は混乱する。「任用」は一年単位の契約なので、解雇にもならない。

一般企業の非正規問題が整備される中で、官製の任用が法律的に問題になってきて、「改善しました」と出てきたのが既成事実を、法的に合法化したこの制度だったと、労働問題に20年以上関わっているジャーナリストの竹信三恵子さんはいう。「初めはハローワークの窓口だけだったこの働き方が、広く適用されては問題だ」と竹信さんが取り上げると、「改悪される形で法的裏付けをつけたものになった」という。そこで官製ワーキングプア研究会を白石孝さんと立ち上げた。

この制度は「財政削減」が目的と見抜き、それに対抗してきたという。特にこの任用職員の仕事は、保育士や窓口業務など、直接市民と接触する部門、つまり経験値がものをいう部門にあたる。その人たちをあえて3年で首を切っていく仕組みなのだ。もともと本採用の職員は、3年くらいで配置換えがあり、経験値を積み上げるのが難しい。そこに3年ごとに同じ職に任用されれば経験値は上がっていくのは当然だ。継続している仕事ならば、常勤にするべきなのにそれをしない。

◆「仕事が短時間で済むからパート」か「退職金を払わなくていいからパート」か? 国の真意は?

会計年度任用職員は女性が多く、フルタイムではない。5分あるいは15分の時短なのだ。それによって退職金を払わなくてよくなったと言うが、なんと姑息なことかと思う。しかも、会計年度任用職員は、女性が8割以上を占め「夫に養って貰えばいいでしょう」と採用の時言われることもあるとか。この女性差別は、なんなのか? ヨーロッパでは同じ仕事を働く時間で賃金に差をつけることは許されない。国際的にも認めからていないとか。

◆任用職員の不安定な働かせ方

この制度にはいくつかのトリックがあり、1年、2年働いた再任用の人が別のポストに行きたいというと、空きが他になければ、3年働いた人は試験をうけても受からない。この1〜3年ごとの再任用は、パワハラの温床にもなる可能性があり、働く人に改善点の進言や提案などを言わせない雰囲気を作るばかりか、それらの人事が決まる時期は、仲間同士が疑心暗鬼になって、職場の雰囲気が悪くなるという。これは、双方にとってマイナスではないか? この制度は常に雇う側の「支配」に主眼があるといえる。

 ご自身が「国の期間業務職員」でもあり、現場の声を集めてこられた山岸薫さんは、団結しにくい環境の中で、仲間たちとオープンチャットを開いている(集まれ!非正規公務員カフェ FBとTwitter)。その中からご本人と彼女たちの生の声をいくつか聞いた。
・労組に入れなかった
・同じ会計年度任用職員でも、職種が違うと連帯しにくい
・非正規と正規という身分制を作って職場を分断している
・仕事の重要性は、身分に関係なく責任を持ってあたっている
・ハラスメントがとても多い
などと言うことだ。

白石さんも沢山の言いたいことのある中で、ハラスメントでは特に思うところがあり、病気になった場合の対応が、無期任用だと有給休暇期間が終われば次の任用はないといい、竹信さんも妊娠したらマタハラがあり、長期の病気になったらと質問すると「来年はいないから」とゾッとすることを平気で答えたとか。聞けば聞くほど悲しくなる現状。でも、竹信さんは保育所職員の労働訴訟では、実態を知っている母親たちが団結して市に働きかけ、裁判に勝利している。窓口業務などでも市民を味方につけた闘いが勝利への道だと力強く語る。

司会の柴田さんは憲法28条を読み上げ、誰もが労働三権に守られているという。そして「雇用の安定がなければ生活の安定がない。それがなければ、社会の安定がない。社会が安定していなければ社会の活力が削がれていく。今日本の活力が奪われているのは、そこに原因があるのではないかと」という。

*休憩タイム「ジョニーと乱の5ミニッツ」
〔川柳〕
・非正規は生かさず殺さず雇い止め  乱鬼龍
・首つなぐイスの上にもあと三年    奥徒
〔歌〕

ジョニーH 会計年度任用職員制度っ何?(渡り鳥はぐれ鳥)

*以下は寄せられた声
「公務員の労働形態がこんな事になってるとは知りませんでした。私だけでなく世間に広く知られてないのではないでしょうか。非正規雇用や賃上げが日本の停滞の根本問題の一つだと認識されはじめているのに、公務員がこの状態ではどうしようもないでしょう」(H)

◆次回:4月12日(水)は特番90分放送。小出裕章さんスタジオ生出演。「小出裕章さんに聞く〜『原発回帰』ホントにいいの?」をお送りします。


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