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放射能汚染土の安全性を確認する「実証事業」、反対する会が環境省へ申し入れ

根岸恵子

 2月24日、東京都参議院議員会館において、環境省が実施する放射能汚染土の再利用への安全性を確認する「実証事業」に関して、反対する「新宿御苑への放射能汚染土持ち込みに反対する会」「所沢への福島原発汚染土持ち込みを考える市民の会」「埼玉西部・土と水と空気を守る会」が合同で環境省に対し申し入れを行った。

 「実証事業」は福島第1原発の事故に由来する放射能汚染土を再利用する目的で行われる。土は除染後中間貯蔵施設で保管されている放射能汚染土で東京ドーム11杯分に相当する量だという。環境省はこの汚染土を県外で再利用するために「安全性」を確認するために「実証事業」を行うと言っているが、安全性への疑念から実証地域の周辺住民を中心に反対運動が起きている。

 実証事業の対象地となっているのは、新宿、所沢、つくばの3か所。今回の申し入れでは「御苑への持ち込みに反対する会」は、「実証事業」の内容詳細の明示。環境省から自治体への連絡内容の公表。住民説明会での議事録の公開。セシウム137以外の放射性物質の測定情報開示。実証事業の中止を求めた。所沢の2団体は事業の撤回、環境省と所沢市の協議内容の公開。説明会の議事録の開示。セシウム137以外の放射性物質の測定情報開示について申し入れを行った。

 環境省は再度説明会を開いて丁寧に説明していきたいというが、所沢市は市長が「住民の理解がなければ、事業は受け入れない」と発言し、新たな説明会も拒否している。このことに対し、環境省は何も言わず、あくまでも丁寧に説明したいと事業を推し進める姿勢だ。

 また、環境省はセシウム137のみを調査の対象にしており、FOE Japanの満田さんは土壌に残存するストロンチウム90などの危険性を訴えた。しかし環境省は2012年に文部科学省が行った測定結果を繰り返し述べるのみで、最新のデータを採るべきだという意見には何も答えなかった。

 またこの事業は法的根拠がないという意見が出た。「土壌汚染対策法 2条」では特定物質に放射線物質は除外するとある。また「放射性物質汚染対処特措法」では再利用を規定していない。したがって「実証事業」を担保する法律がなく、事業自体が違法ではないかということだ。

 今回の交渉において環境省は同じ文言を繰り返すだけで、納税者に真摯に向き合えず、何も前向きなものもなく、ただ時間を無駄に使いこの場をやり過ごそうとしているだけにしか見えなかった。

 新宿御苑は不特定多数の多くの人が訪れる公園であり、所沢は住宅地が広がり、事業の予定地の横には保育園があり、周囲には学校、病院などがある。なぜこのようなところに放射性汚染土を運び込み住民の不安をあおるような事業を行うのか。

 この事業によっていったい誰が得をするのか、役人はどこに天下りできるのか、そして莫大な予算をかけた電通による住民へのプロパガンダなど疑問は残るし、これからも注視していきたい。


Created by staff01. Last modified on 2023-02-25 10:49:12 Copyright: Default

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