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太田昌国のコラム : 4ヵ月間もの「鑑定留置」に付されている元首相狙撃者 | ||||||
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4ヵ月間もの「鑑定留置」に付されている元首相狙撃者同じ党に属する一議員から「国賊」とまで呼ばれた人物が「国葬儀」で葬られた日の夜、このような弔い方を批判し、これに反対する「歌舞音曲と討議の集い」に参加した(ライブハウス・江古田バディ)。太陽肛門スパパーンというバンドが呼びかけたこの催し物に、討論者として参加するよう要請を受けたからである。 元首相の狙撃死については、事件から2日後に書いた本欄ですでに触れた。↓ 私は村上議員のような言葉使いはしないが、合計8年有余も政権の座にあったこの元首相は、「有権者」である私たち自身の力で、在任期間中に〈政治的に葬り去るべきであった〉が、私たちの非力ゆえにそれができなかった、と書いた。 元首相の狙撃死から3ヵ月が過ぎた。事件の直後にも、その背景には元首相と某宗教団体の密な関係性があることは漏れ聞こえてきていた。それは、取り調べにあたっている警察側が容疑者の「供述」をジャーナリストに向かって任意に抽出して伝えたものだ。その種の情報をまるごと信用すべきではないことは、これまでの経験からいって、自明のことだ。だが、容疑者の伯父で、家族の内情をよく知る元弁護士がジャーナリストの取材に応じた(7月15日)こともあって、奈良県警を通して漏れ伝わってきた情報は、すぐに現実的な裏付けをもち始めた。3ヵ月後のいまは、元首相と旧統一教会の持ちつ持たれつの密接な関係性が明るみに出ており、もはや隠蔽は不可能なまでになった。 支配層は、遅れをとったと慌てふためいたのだろう。奈良地検は、事件から2週間足らずの7月23日、容疑者の鑑定請求を行ない、奈良地裁は翌24日にこれを認めた。大阪拘置所に拘留された彼は、11月29日までの4ヵ月間もの長い間、精神鑑定に付されることになり、いまその最中に置かれている。取り調べが行なわれていないのだから、「供述」はまったく漏れてこない。彼がどんな処遇を受けているのか、どんな精神科医が「鑑定」に当たっているのか、弁護人はどの程度の頻度で面会できているのか、どんな会話を交わしているのかの報道も、まったくない。彼の身体も、「鑑定」の対象としての精神も、「密室」に封じ込められているのだ。懸命に取材を試みているジャーナリストはいるのかもしれないが、私たちには、何も見えてこない。聞こえてもこない。実に危うい状況だと思える。
何かの事件の実行者に下されるかもしれない判決を、部外者が先取りして予想することなどをしているのではない。交流することになるかもしれないな、とぼんやりと思うだけのことだ。そのぶん、事件の加害者と被害者への思いが複雑に交錯して、こんな場にいなければ起こらなかったであろうような思いに包まれるのだ。 事実、誰もが忘れるわけにはいかないだろう、秋葉原の無差別殺傷事件を起こした加藤智大さんとは、彼の死刑が確定した2015年以降8年間にわたって「交流」することになった。彼が、毎年欠かさず、作品(絵画・文章)を応募してきたからだ。選考委員の講評の言葉に敏感に反応するひとだった。激しい反発の言葉を、私自身も何度か受けた。それでも、私が感じ取ってきた彼の「変化の過程」をまとめた記事を、10月10日付けの東京新聞は掲載している。↓ いかなる犯罪も、それが起きた時代の社会・政治の在り方を背景に持つ。7月8日に起こった元首相狙撃事件は、背景としての「時代」の幅を大きく広げ、1960年代にまで遡って、半世紀以上に及んでこの国の政治・社会の在り方を規定してきた見えざる「力」を明るみに出した。 7・8事件の容疑者は、そのことを現在に即して語り得る存在である。現在が過去と繋がり、封印されてきた闇を切り裂く言葉を、彼は発するかもしれない(もちろん、そうはならない可能性も残されている)。 そんな彼が、まったき孤立の中に幽閉されている現状を、深く憂慮する。 Created by staff01. Last modified on 2022-10-11 15:25:31 Copyright: Default |