| 太田昌国のコラム : 「世界の先住民族の国際デー」に考えたこと | |
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「世界の先住民族の国際デー」に考えたこと先住民族の一件に戻るが、ユネスコの直近の発表によると、90ヵ国に4億7600万人の先住民族が住む。世界総人口の5%を占めるが、それは同時に、最貧困層の15%に相当する。彼らが居住あるいは利用する地球の陸地面積は22%に上り、世界の文化多様性の多くの部分を形成し、7000近い言語の大半を生み出し、話している。一方、多くの先住民族は、極度の貧困、疎外、その他の人権侵害に、今なお直面し続けている。
今回のローマ教皇の「悔悟の巡礼」(教皇自身の言葉)の背景には、過去の史実を新たな視点で読み解く、このような具体的な動きがある。しかも、この動きはカナダに留まることはない。昨年5月カナダの寄宿学校跡地での子どもの遺骨発見のニュースを知った、バイデン政権下で先住民初の閣僚となったハーランド内務長官は直ちに、米国内での実態調査を指示した。2022年5月に発表された調査報告書によれば、1819年〜1969年の間に政府が運営に関わった寄宿学校は408校だったが、そこで500人以上の子どもが死んでいた。米国だから、学校の運営にはカトリックばかりかプロテスタントの宗教団体も関わっている。ハーランド内務長官は今年7月から米国各地の寄宿学校訪問を開始しているが、それは被害者の声を聞き取るためのツアーだとしている。1940年代の経験者からは「先住民の言葉を話そうとするたびに口の中に洗剤を入れられた」「地獄の日々だった」との証言が得られている(「しんぶん赤旗」7月19日付け)。先住民族に対する同化政策には、どの植民地主義国にも共通する、これほどまでに根深い差別の構造があると言わなければならない。 今年3月には、デンマークからも同じようなニュースが届いた。デンマーク政府は、1950年代に同国領のグリーンランドの先住民族の子どもに対して、強制的な同化政策を採用していた事実に関して、謝罪したのである。 日々動く歴史の鼓動を伝えていると言うべきこれらのニュースに接するたびに、海の彼方におけるこの忘れがたい経験から、日本の現実を変えるために、なにを、どう学び取るべきかを考えるのである。 Created by staff01. Last modified on 2022-08-12 09:14:43 Copyright: Default | |