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2022年6月句会報告 「選挙権ない在日の心うち」なずな

6月28日(火)の句会はオンライン併用にて行われました。句会参加者は5名、オンラインでの参加者は4名の計9名でした。参加出来ず選句を寄せた方は3名でした。
今回は新しくJ.ポンドさんがオンラインに参加、句会に新鮮な空気が入り、五七五の「中八」について、「同想」についてなど、また自由吟の選外句にある「6.17真実覆い正義死す」は楽屋落ちの句になっており、川柳はだれにでも分かる句を・・・と選句談義も活発でした。

7月の句会は7月26日(火)午後6時半〜8時半 郵政共同センター及びオンラインにて開催予定です。近くなりましたらオンラインのアドレスをお知らせします。
■兼題は「あつい(あつい、熱い、暑い、厚い・・・」です。
兼題、自由吟とも1句以上3句までです。
■投句締め切りは7月19日(火)24時 
■投句先は https://labornetjp.jimdofree.com/senryu/ 
又はFAX 03-3530-8578 です。
■8月の句会はお休みです。

〈お詫び〉
句会事務局のミスで芒野さんの一句が「選句一覧」から漏れてしまいました。
申し訳ありませんでした。漏れていた自由吟は次の句です。
無責任令和の世でも大流行り  芒野
(報告:笑い茸)

句会報告
兼題「選挙」13人 36句
5点句(2句)
選挙権ない在日の心うち        なずな
⇒「心うち」という表現がいい。われわれ日本人の想像力の欠けている点をついている。/かたくなまでに選挙権を渡すまいとする保守の人たちや、そんな人を支える有権者がいる。/投票で政治を変える手段すら奪われている方たちを思えば、1票を無駄にはできない。あらためて心に刻みました。/在日の人たちと普段つき合っていても忘れていること。選挙の度に味わう在日の心、日本の民主主義を暴く。/このテーマでは弱いのではないか。/弱いかもしれないが「心うち」ということで、言い切るよりいろいろ読者が想像することができる。/いま選挙の時、この句は生きる。(句会は最初から盛り上がる)  

反対ができる野党が懐かしい      なずな
⇒「懐かしい」に激しく共感する。かつて有ったかなぁという淡い記憶に突き刺さる。/「懐かしい」という惚けた感じで皮肉が効いている。それで痛烈な批判がこめられている。上手い。/政府に忖度する与党二軍のような野党が増えてしまった。/もう昔話かい、という印象で面白い。/野党は反対反対と言い続けてきたが、この数年あっという間に反対は言わなくなってきている。そこを鋭くついている。

4点句(1句)
少数は切り捨てたまま民主主義     奥徒
⇒小さいころから多数決を良しとして育ってきてしまったけれど、少数者の意見に耳を傾けてこそ真の民主主義。/多数決だけど少数意見を聞くというのが民主主義だったはず。いまや多数決だけ。現状は悪くなるばかりで、独裁に近い。/民主主義というデカイ問題を・・・と思いながらも、「少数は切り捨てたまま」の表現が良かったので入れた。

3点句(1句)
むしろ旗かかげ投票行く気持ち     八金
⇒たんに一票放棄するとか軽い怒りではなく、一揆でも起すくらいの覚悟で一票入れるという、そう言う意味で「むしろ旗」という上五が生きている。/みんなでむしろ旗を掲げて投票に行ったら面白いのではと思った。むしろ旗にいろいろ書いて。/むしろ旗は受付で預けさせられるだろうが、いろいろ想像して面白い。

2点句(4句)
サーカスはもうたくさんだパンをくれ  芒野
 ⇒これは「パンとサーカス」のことだけど、いまやわれわれが綱渡りや空中ブランコ、挙げ句の果てピエロまでやって、それでもパンがもらえない。/入れようかと思ったが、聞いたような言葉なのでもう少し独自性のある言葉が欲しいと思いやめた。

清き一票いくらで買ってくれますか   一志
⇒都会に住んでいる方はあまり縁のないことだけど、地方では票の売り買いなどが根強くある。それをわりとストレートに詠んでいるところが面白い。/「清き一票」が売買される面白さがいい。

自衛隊違憲の党はどこだっけ      奥徒 
 ⇒すごい皮肉。もう自衛隊を違憲だと言っているのは、共産党も後ろ向きになっているし、ないですよ。九条守れとは言っているけど。情けない状態を鋭く詠んでいる。/「どこだっけ」という軽くとぼけた言い方が上手い。「自衛隊は違憲」だとはっきり言っているのは共産党を含めてない。

地獄への片道切符棄権票        笑い茸
⇒政治に期待が持てないから棄権と分かったようなことを言う人がいるが、それに対して「地獄への片道切符」というおどろおどろしいたとえが良かった。/投票することの大切さを上手く伝えている。地獄への片道切符が強烈。

1点句(11句)
この選挙平和と出るか戦争か      笑い茸
 ⇒今回の参院選の本質をズバリついている。

次々善の策あの人にこの党に      乱鬼龍
 ⇒「次々善」というのは一般的には使わないが、もどかいし候補者選び、党選びなど大変だなあという気持ちをよく詠んでいる。「次々善」というのがいい。/「次々善」というのがぴんと来ない人にはだめだ。/「次々善」という言葉はあるのか。/ない言葉を敢えて作ったところがいい。/あります。二番目、三番目ということ。

死に票になっていいんだ生きるかも   笑い茸
⇒最近はこんな気持ちで投票しているかも。票が生き物のようで面白い。

ストップ騙されません詐欺選挙     奥徒
 ⇒NHKのキャンペーン「ストップ詐欺被害 私たちは騙されない」を上手く使っている。「詐欺選挙」より「選挙詐欺」が良いかな。

戦争が翼賛を呼ぶ参院選        なずな
 ⇒マスメディアは性懲りもなく、「敵」の攻撃、危機感を煽り、岸田政権のお先棒担ぎで、翼賛体制まっしぐら。

接種より選挙で命守りたい       蘭綺麗
 ⇒接種があてにならない、気休めだっていうことがみんな分かってきたから、選挙で現実の生活を守るという風になってきている。

人殺す裁判官を落とせない       蘭綺麗      
 ⇒変えられない、出来レースみたいに決まっている。/裁判官を国民が選べない現実。

選挙日に雨が降ってと組織票      木根川八郎
 ⇒雨が降れば出足は鈍くなるので、組織票のある党派は嬉しい。

侮辱罪候補者つぶしも透けて見え    坂巻フミエ
⇒なるほどね

22年7月護憲改憲剣ヶ峰        白眞弓
 ⇒9条の衣替えを許さぬか、民の意識が問われる参院選。

選べない右も左も好戦で        一志
 ⇒
(乱鬼龍選)
反対ができる野党が懐かしい      なずな
自衛隊違憲の党はどこだっけ      奥徒
むしろ旗かかげ投票行く気持ち     八金

(選外句)
放権のツケがあなたを戦場に
参議院ねじれてほしい一票重い
一票に夢を託すも風任せ
無党派層調べてみたら右ばかり
選挙前なのに改憲手がかかり
選挙前桜の根っこに火が上がる
この不満選挙で逸らす多数決
この国が選挙のたびに悪くなり
皆一緒意見持てない日本人
提案し仲良しこよし右左
杉並に水問題の区長でる
快哉溢る杉並区長新門出
選挙戦笑い笑えぬ国となり
ウグイスが手を振りながらよく喋る
不祥事に投票しちゃうおらが町
生徒会長直接選ぶ民主主義
選挙カーのウグイス嬢が票を呼ぶ

自由吟 13人 37句
4点句(1句)
食い扶持はバクチで稼げと国が言う   坂巻フミエ
⇒失政のごまかしをズバリ/「食い扶持」を株に投資しろということ。

3点句(4句)
戦場に行かない舌が勇ましい      J.ポンド
⇒支配者は安全地帯にいる。「舌が勇ましい」とは上手い表現。/「口」と言わずに「舌」と表現したところがこの句のいいところ。

もっと武器もっと闘えもっと死ね    奥徒
⇒ちょっと強烈かなと思ったが、リズムが良かった。ゼレンスキーを見ているとこう思えてしまう。愛国心を鼓舞する人は信用できない。

難民にABCのランク付け        なずな
⇒ABCとは的確。/ウクライナ難民厚遇とクルドやロヒンギャ難民への差別は恥ずかしい。

責任を取らぬ政府を皆真似し       芒野
⇒アベ以来すっかり染みついてしまった「だれも責任取らない」政財界。何をやっても捕まらない。貧乏人が真似すりゃすぐ逮捕。「真似し」が名刺+しで弱い。「みんな真似」とかにしたらどうか。

2点句(5句)
検閲はファクトチェックと衣替え     蘭綺麗
⇒ファクトチェックの名で批判が封じられていく。侮辱罪も可決してしまった恐ろしい状況を「衣替え」で軽やかに表現している。/権力はあらゆる機械を使って監視したがる。

へそくりも賭けよ殖やせよ国のため       J.ポンド
⇒川柳らしくて面白い。/4点句の「食い扶持・・・」と同想句。

判決を貰ってはしゃぐ再稼働              なずな
 ⇒はしゃげるのは今のうち。三浦判事の反対意見=第2次判決がやがて日の目を見る時が必ず来る。(報告者註:三浦判事は6月17日の原発避難訴訟の最高裁判決で一人国の責任を認めた判事)

朝昼晩戦争喰う武器商人        白眞弓
 ⇒「朝昼晩戦争を喰う」がいい。

各局が軍師気取りであおる道      坂巻フミエ
⇒軍師気取り、得々とした彼らの顔が目に浮かぶ。

1点句(10句)
飼い主を監視するためチップ埋め    蘭綺麗
 ⇒犬を使って「監視」するというところに現代を表す

どこまでも政府平和を食いちぎる    白眞弓
⇒「食いちぎる」が上手い。

マスク離れ自民離れもできぬ国     乱鬼龍
 ⇒

戦間期こんかい少し長いだけ      一志
⇒平和憲法が生きている今は一時的な状態だったのか。恒久平和はどこに行ってしまうのか。長い歴史の中で日本においても戦争と平和が繰り返されているが、また戦争期に入ってしまうのだろうか? と考えさせられた。

願掛けを微笑む釈迦が何だっけ     木根川八郎
 ⇒お百度参りの八十七回目ぐらい?

改憲と戦争だけはやる気なり      乱鬼龍
 ⇒現政権の狙いをピシャリ。迫力がある。

惨状にすぐに便乗武器小麦       奥徒
 ⇒戦争の儲け企業をズバリと言い当てている

右傾化でむかし中道いま左翼      木根川八郎
⇒政府の右傾化が進み、いつの間にか。面白い。

兵隊の命の何と軽々し         すなふきん
 ⇒与謝野晶子、草葉の陰で何と詠む。

始まれば銃後などないみな戦地     笑い茸
 ⇒ウクライナもそうだが、日本も結局沖縄が、そして本土も空襲でたいへんな目にあった。戦争とはそういうもの。

(乱鬼龍選)
戦場に行かない舌が勇ましい      J.ポンド
へそくりも賭けよ殖やせよ国のため      J.ポンド
各局が軍師気取りであおる道      坂巻フミエ

(選外句)
武器くすりメディア配下にボロもうけ
ウチナーは何度民意を試される
改正が遅く不埒な文通費
バターより大砲どんと十兆円
思惑と言って相手を敵国に
あるだろうフェイクニュースもスポンサー
強きを助け弱気をくじく最高裁
6.17真実覆い正義死す
死守せよと勲章も付け武器援助
東大出やってることは小学生
割引から買う癖がつく物価高
武器捨てて交歓しよう兵士たち
マジですか凍てつく裁き菅野殿
国のため皆で戦え鉄火場で
自民党日本亡ぼす日まで吠え
降る雨と共に護るクイナの森
戦争でチャラにできると笑う奴
                          以上


Created by staff01. Last modified on 2022-07-05 16:34:44 Copyright: Default

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