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太田昌国のコラム : 移動し、転戦する軍隊と、感染症の拡大 | ||||||
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移動し、転戦する軍隊と、感染症の拡大
ウイルスにも感染症(パンデミック)にも無知だった私は、おそらく多くの人びとがそうであったように、俄か勉強をした。特に、「百年に一度の」感染症の世界的な流行という言葉に導かれて、百年前の俗称スペイン風邪については、かなり調べた。もっとも大きな拠り所になったのは、米国の生態学的歴史学者、アルフレッド・W・クロスビーの『史上最悪のインフルエンザ――忘れられたパンデミック』(みすず書房、2004年)と、日本の人口学学者、速水融の『日本を襲ったスペイン・インフルエンザ――人類とウイルスの第一次世界戦争』(藤原書店、2006年)だった。そこで、百年前のスペイン風邪から学ぶべきもっとも重要なことのひとつは、「移動する軍隊」と感染症の密接な相関関係だと考え、「戦争・軍隊と感染症」という文章を書いた(『ピープルズ・プラン』第89号、2020年8月)。
速水融の著書も、1902年に締結された日英同盟の縛りから、英国の要請で大戦に参戦した日本軍の動きをたどっているが、ここでも、移動し、転戦する兵士たちと感染症の流行との因果関係を読み取ることができる。 さる1月9日、政府は、コロナウイルスの新たな流行の規模が顕著な沖縄、広島、山口の3県に、特別措置法に基づく「まん延防止等重点措置」を適用した。沖縄県の玉城知事は昨年末の12月23日、首相宛てに要請書を提出していた。(1)感染収束まで軍人・軍属の米本土等からの沖縄県への移動停止、(2)軍人・軍属の基地外への外出禁止の2点を、米国側に求める内容だった。今回の沖縄での感染拡大のきっかけは、12月中旬、米海兵隊基地・キャンプ・ハンセンでの集団感染であり、その後の事態の推移を見た玉城知事は一週間後にはこの要請を政府に行なったことになる。 沖縄駐留の海兵隊員は、毎年半年ごとに大規模な部隊交代が行われており、多くの場合、それは6月と12月に実施される。その数は平均5500人前後で、在沖縄海兵隊員の3分の1に相当する。しかも「合衆国軍隊の構成員は旅券及び査証に関する日本国の法令の適用から除外される」と規定しているのが日米地位協定第9条だから、彼らに対して日本は検疫権すら持っていない。 新型コロナウイルスの流行が始まった年=2020年の7月にも、同じような事態が起こっていた。横須賀、厚木、キャンプ座間、京丹後、岩国、沖縄などの米軍関連施設での感染者の発生である。軍事機密を理由に、正確な報告がなされるわけでもない。米海兵隊は、他基地部隊との共同訓練、陸上自衛隊との合同演習、二国間・多国間演習などの名目で、日本国内だけではなく、広くアジア太平洋海域に移動し、軍事作戦を展開している。仮にコロナ対策という限定的な視点から見ても、「移動し、転戦する軍隊」が持つ問題性は限りなく大きいと言わなければならない。 Created by staff01. Last modified on 2022-01-11 11:51:42 Copyright: Default |