〔レイバーネット国際部・I〕
2014年秋の雨傘運動に学聯や中文大学学生会の元執行部としてかかわり、2017年から旺角
東区で地域活動を開始し、2019年11月末の区議会選挙で油尖旺区の区議に当選した林兆彬
さんが、7月8日に区議の職を辞任しました。
香港政府はこの7月にも、区議ら公職者にたいして、国安法違反の疑いのある活動に従事
していないことを条件にして、香港基本法を順守する旨を再度宣誓させるとしており、民
主派や本土派の議員を事実上公職から排除する動きになっています。
具体的には、7日に伝えられたところによると、政府は18区議会の452議席のうち200議席
以上の議員の資格をはく奪する考え。議員宣誓のための事前調査を行い、昨年7月に民主
派や本土派が行った予備選挙を支援したか(予備選挙に立候補した活動家ら47人は国安法
違反容疑で起訴中)、五大訴求の実現を求めるための徹底抗戦宣言に署名したか、議員事
務所に逃亡犯条例反対のスローガンなどを掲げたかなどの要件にひっかかり、議員宣誓が
できずに議員資格をはく奪されると、それまで支給されてきた議員歳費を返納しなければ
ならないという、ひどい内容です。
区議の歳費の額は忘れてしまいましたが、当選前の林さんに聞いたときに「月額にしては
けっこう多いな」と思った記憶があるので、事前審査に引っかかって議員資格をはく奪さ
れることになると、かなりの負担になるので、事前に辞職する議員が続出していると考え
られます。
厳しさは増すばかりですが、失望しても絶望せず、という林さんの言葉を胸に、注目と支
援を続けていきたいと思います。以下、林兆彬さんの辞職宣言です。
◎林兆彬:辞職は新たなスタート
「生きてさえいれば、いろいろなことに希望もでてくる」――映画『登校』
熟慮に熟慮を重ねた結果、わたしは油尖旺區議の職を辞することを決めました。7月9日
午前0時にこの宣言は発効します。
今日は別れの日ではなく、新しいスタートの日です。事務所はわたし個人の名義で、8月
初め(暫定)までサービスを継続しますので、地域の皆さんは引き続き私に連絡を頂けれ
ばと思います。私は香港を離れる予定はありません。引き続きこの地域にとどまる可能性
を追及していきます。
わたしは2017年から旺角東区で活動してまいりました。これまで私を支援してくれたボラ
ンティアおよび友人の皆さん、一票を投じていただいた有権者などすべての皆さんに感謝
します。しかし大変申し訳ないことに、区議会議員として四年の任期を務め、地域の皆さ
んの声を届け続けるという公約を果たすことができなくなりました。
わたしにとって香港市民のために奉仕することは光栄なことであり、充実したこの4年間
はあっという間に過ぎました。忘れがたいことはたくさんありました。たとえば、被逮捕
者が署内で規格品のマスクを入手できるようにしたり、警察監視委員会への申し立てをし
たり、アジア航空のキャンセル不払いに苦しむ利用者らや職業訓練基金問題に取り組む当
事者らとネットワークを結成し問題解決に取り組み、車いす用の階段昇降機の設置を呼び
かけて篤信家から寄付を受け、結局その運営センター業務を行うことになったこと等…。
しかし残念なことは、区議会議員として水渠道(Nullah
Road)の空き地の活用を見届けられないことです。今年12月には社会福祉機構がこの土地
を使用し、10年来の空き地問題に決着が見られようとしています。また旺角通り歩道橋の
竣工も見届けられないことも大変残念なことです。
香港の人びといっしょにこの大時代を経験し、進退をともにできたことについて、一切の
悔いはありません。香港の未来ががどのようになろうとも、どうか希望を放棄しないでく
ださい。失望することがあっても、絶望しないようにしましょう。香港人、加油!
林兆彬
2021年7月8日
https://www.facebook.com/orochi.ben.lam より
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Last modified on 2021-07-09 13:48:59
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