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LNJ Logo ソウル中央地裁の元慰安婦12人が日本政府を相手に起こした損害賠償訴訟判決について
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*レイバーネットMLより

おはようございます。 フェイスブックに投稿した内容です。日本政府も読売新聞もそしてあの武藤正敏さんも、 国家主権の絶対免除主義を主張して 韓国はやはりおかしい、国際的に非常識だと指摘していますが、事態は逆です。日本の最 高裁は2006年の判決で、 国家主権の絶対免除主義を明確に否定して制限免除主義を取っているのです。これはソウ ル中央地裁の判決と同じ趣旨です。つまり、 日本と韓国の裁判所は同じ考えなのです。 ところが、日本の最高裁が否定しているにも関わらず 「主権国家は他国の裁判権に服さ ないという国際的に確立した原則」 と決めつけて韓国を非難してます。これは、日韓請求権協定で「 完全かつ最終的に解決されたこととなることを確認する。」という言葉だけを一部切り出 して韓国はおかしい、非常識だとする論法と同じです。これに反論するには、日韓請求権 協定の内容と歴史的経緯を理解しなければなりませんから、どうしても多くの人々は分か り易い方に流れてしまいます。この2006年の 絶対免除主義を否定して制限免除主義を主張する日本の最高裁の判決は明確ですし、分か り易いのです。それでも、これを確認して理解する人は少なく、間違った理解を平然とそ して強硬に主張されて、それに日本の世論は影響されます。せめてここでのみなさんには、 この最高裁の判決を理解して、改めて日本の保守反動派の議論の酷さを確認して欲しい のです。 柴田武男 ----------以下、フェイスブックへの投稿--------------------- ソウル中央地裁は1月8日、故ペ・チュンヒさんら元慰安婦12人が日本政府を相手に起こし た損害賠償訴訟で、原告1人あたり1億ウオン(約950万円)の支払いを命じる判決に対し て読売新聞社説は「主権国家は他国の裁判権に服さないという国際的に確立した原則に反 する判断である。断じて容認できない。」としていますが、主権免除を指摘するこの主張 は間違いです。日本の最高裁は「国家は民事裁判権から免除される国際慣習法はもはや存 在しない」と絶対免除主義を否定して制限免除主義を取ってます。「主権国家は他国の裁 判権に服さないという国際的に確立した原則」を日本の最高裁が否定しているのです。こ れは2006年の最高裁判所判例集「事件番号 平成15(受)1231事件名 貸金請求事件裁判年月日 平成18年7月21日法廷名 最高裁判所第二 小法廷 最高裁の判決」としてありますから、ご関心の方はご確認ください。 https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=33348 <https://www.courts.go.jp/app/hanrei_jp/detail2?id=33348&fbclid=IwAR1LJVtLxe8MdR cjaio4D5rGRY8h7DmU4lg2CurVWCIzSiCXoAVeBghY-Sw> 「- 2 - 権に服する旨の意思表示をした場合に限られる。そして,このような意思表示は, 国家から国家に対してすることを要し,外国国家が私人との間の契約等において我 が国の民事裁判権に服する旨の合意をしたとしても,それによって直ちに外国国家 を我が国の民事裁判権に服させる効果を生ずることはないと解するのが相当である (大審院昭和3年(ク)第218号同年12月28日決定・民集7巻12号112 8頁参照)。 本件訴えは,外国国家である被上告人に対して金銭の給付を求める訴えであると ころ,被上告人から我が国に対して我が国の民事裁判権に服する旨の意思表示がさ れた事実は認められない。被上告人政府代理人A社名義の注文書には,被上告人が 本件各売買契約に関して紛争が生じた場合に我が国の裁判所で裁判手続を行うこと に同意する旨の条項が記載されているものの,上記注文書による意思表示は,本件 各売買契約の相手方である上告人らに対してされたものにすぎない。 以上によれば,被上告人に対して我が国の民事裁判権からの免除を認めるのが相 当であるから,本件訴えは,不適法であり,却下を免れない。 3 しかしながら,原審の上記判断は是認することができない。その理由は,次 のとおりである。 (1) 外国国家に対する民事裁判権免除に関しては,かつては,外国国家は,法 廷地国内に所在する不動産に関する訴訟など特別の理由がある場合や,自ら進んで 法廷地国の民事裁判権に服する場合を除き,原則として,法廷地国の民事裁判権に 服することを免除されるという考え方(いわゆる絶対免除主義)が広く受け入れら れ,この考え方を内容とする国際慣習法が存在していたものと解される。しかしな がら,国家の活動範囲の拡大等に伴い,国家の行為を主権的行為とそれ以外の私法的 ないし業務管理的な行為とに区分し,外国国家の私法的ないし業務管理的な行為 についてまで法廷地国の民事裁判権を免除するのは相当でないという考え方(いわ ゆる制限免除主義)が徐々に広がり,現在では多くの国において,この考え方に基 づいて,外国国家に対する民事裁判権免除の範囲が制限されるようになってきてい る。これに加えて,平成16年12月2日に国際連合第59回総会において採択さ れた「国家及び国家財産の裁判権免除に関する国際連合条約」も,制限免除主義を 採用している。このような事情を考慮すると,今日においては,外国国家は主権的 行為について法廷地国の民事裁判権に服することを免除される旨の国際慣習法の存 在については,これを引き続き肯認することができるものの(最高裁平成11年 (オ)第887号,同年(受)第741号同14年4月12日第二小法廷判決・民 集56巻4号729頁参照),外国国家は私法的ないし業務管理的な行為について も法廷地国の民事裁判権から免除される旨の国際慣習法はもはや存在しないものと いうべきである。」 として、絶対免除主義を否定して制限免除主義をとっています。 「(2) また,外国国家の行為が私法的ないし業務管理的な行為であるか否かにか かわらず,外国国家は,我が国との間の条約等の国際的合意によって我が国の民事 裁判権に服することに同意した場合や,我が国の裁判所に訴えを提起するなどし て,特定の事件について自ら進んで我が国の民事裁判権に服する意思を表明した場 合には,我が国の民事裁判権から免除されないことはいうまでもないが,その外に も,私人との間の書面による契約に含まれた明文の規定により当該契約から生じた 紛争について我が国の民事裁判権に服することを約することによって,我が国の民 事裁判権に服する旨の意思を明確に表明した場合にも,原則として,当該紛争につ いて我が国の民事裁判権から免除されないと解するのが相当である。なぜなら,こ のような場合には,通常,我が国が当該外国国家に対して民事裁判権を行使したと しても,当該外国国家の主権を侵害するおそれはなく,また,当該外国国家が我が 国の民事裁判権からの免除を主張することは,契約当事者間の公平を欠き,信義則 に反するというべきであるからである。」 また、「我が国が当該外国国家に対して民事裁判権を行使したと しても,当該外国国家の主権を侵害するおそれはなく」と主権侵害を否定しています。 これは、韓国の裁判所と同じ趣旨の判決となってます。つまり、韓国のソウル中央地裁と 日本の最高裁は同じ趣旨の判決を下しているのです。

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