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●報告 レイバーネットTV第160号(2021年6月16日放送)

「オリンピック強行は暴力である」〜さまざまな分野から痛烈な批判

 古代オリンピックも近代も無残な戦争を忘れようと始まった。ところが「美しいスポーツの祭典」だった期間は短く、代理戦争化していく。
2020年が東京に決まった瞬間のあの集団の喜びよう。あれを見て「ここには何かある」と断固反対と決意を固めた方も多いのではないかと思う。この放送で暴かれたことは、薄汚れた資本主義(金持ちが得する)のほんの一部。今回はかなり真実に迫ったと思っている。
 そして大ショックは、行きつくところまで行った性別検査である。その人格否定に震えた。
 第2特集のレイバーネット日本と友好関係にある「韓国サンケン」の労働問題も、見過ごせない最近の政府のやり口の「コスさ」につながる。(報告:笠原眞弓)

アーカイブ録画:https://youtu.be/iCcq-CpmSq0

進行:北健一・北穂さゆり

◆今月の1枚(レイバーネット写真部):海外の環境系市民団体の東京五輪反対のキャンペーンが始まった。選手村で提供される畜産物の環境基準は?

◆特集: 韓国サンケン弾圧事件、いま何が起きているのか? ゲスト:浅野史生弁護士(写真下)

・最初に尾澤孝司さんはなぜ逮捕されたか

 尾澤孝司さんが逮捕起訴された経緯について、レイバーネットTVにも参加している連れ合いの尾澤邦子さんのビデオメッセージが、上映される。その中で、家宅捜査の異常さ、罪状のあり得なさについて、しかも逮捕状況は、その尾澤さんに科した罪状をそのままサンケン電気側にあてはめられると強く訴えた。

・これまでのいきさつ

 日本の「サンケン電気」(電源やLED照明など製品の評判はいい)が、1973年に韓国の自由貿易地域に進出し「韓国サンケン」を立ち上げ、業績を上げてきた企業である。地元でもそれなりに評価されているにも関わらず、このようなことになったのは、会社が労組を嫌ったのではないかと労組闘争に詳しい北健一さん。
 韓国サンケンの労働争議は、2016年にはじまり、韓国の労働委員会やサンケン電気の労働者が加盟する民主労総などからの申し入れで、いったん17年に和解する。しかし会社側は、重大なことは当該労組と事前に話し合うという約束を守らず、2020年7月には計画的に赤字倒産し、そのことを会社のホームページで発表したのみで、全員解雇する。

・韓国サンケンの労組は再び立ち上がった

 それに対して韓国サンケン労組は韓国の労働委員会に提訴し、その和解勧告も出されたが、それにも応じず、仕方なく日本のサンケン電気に話し合いを申し入れてきた。しかし彼らは、取り合わないばかりか、韓国サンケン労組の日本の協力団体の中心人物尾澤孝司さんを逮捕起訴したのである。 罪状は、簡易なプラカードで警備員を押し(暴行)、警備員の業務を阻止しようとした(威力業務妨害)である。唯一の証拠は防犯カメラの映像だという。しかし、本人は弁護士との接見で、「完全なデッチ上げ」であると主張している。

・起訴状自体が事実に反すると担当弁護士

 尾澤さんの弁護士の浅野史生さんは協議をしようという労働闘争の大事な局面だったので、暴行はあり得ないと。会社が、話し合いに応じていれば、尾澤さんが「申し入れ状」を渡す必要もなかった。
 勾留開示公判では、裁判所もピリピリしていて、開廷宣言直前に、入室した尾澤さんに小声で「頑張れよ」と言った瞬間に裁判官は「開廷」といい、声を出した人に退室を命じ、腕をねじ上げられて法廷外に出されたという。なぜこのようなことになったのか。
 浅野さんは、労働争議の過程において、親会社などに解決を求めることは往々にしてあること。なぜここまでサンケン電気が焦っているのか? 6月下旬にある株主総会に尾澤さんを出席させないためではと推測されると同時に、サンケン闘争つぶしが目的でしかないと言い切る。

・今後も増加すると懸念される「食い逃げ企業」

 この先、海外進出して儲けた日本企業が、業績が下がると従業員を放り出して引き上げる通称「食い逃げ企業」が増えるのではないかと危惧される。これは日本にとって、国際的な汚点となるだろう。そのためにも、1日も早い問題解決が望まれる。

◆ほっとスポット: ジョニーHの歌と乱鬼龍の川柳

 1940年の東京オリンピックは、中止になった。その時人気の古川ろっぱの「東京オリンピック」のオリジナル歌詞と、それを基にした2020年オリパラの替え歌。

 お待たせ、乱鬼龍の川柳コーナーは、五輪の句が2句。
「まだ五輪民意はすでにあきれ果て」「命より金と五輪の見苦しさ」

◆特集▲リパラ『中止一択』のこれだけの理由〜スポーツと社会の関係はどうあるべきか

コーナー司会:京極紀子さん(五輪災害おことわり連絡会)
ゲスト:
谷口源太郎さん(スポーツジャーナリスト)
井谷 聡子さん(関西大学、スポーツとジェンダー、セクシュアリティ研究)
岡崎 勝 さん(自由すぽーつ研究所主宰、小学校非常勤講師)
松井 愛子さん(駒込病院、都庁職病院支部執行委員)

・すべてがオリンピック開催ありきのコロナ禍スケジュール

 開催まで40日を切ったところで、五輪貴族の人たちは強行しようとしている。世論では8割以上、海外でも開催に危惧する声が上がる中で、反対の声をさらに集約していきたいと長年五輪災害おことわり連絡会で活動してきた京極紀子さんが口火を切る。そして、『中止一択』の理由は?と聞いていった。

・『中止一択』利権・政治利用・スポーツの死

 谷口源太郎さんは3点を挙げる。IOCの利権(開催すれば利権が入る) 安倍・森・菅らの憲法改正への政治利用(開催で盛り上がり、そこで一気に改憲する) スポーツが殺される

・『中止一択』分断とジェンダー問題がある

 井谷聡子さんは、人と人、人と地域が分断され、土地そのものを破壊するという。さらに衝撃的なことに、オリンピックが国と国の代理戦争化してきたときから顕著になったジェンダーの問題があり、女子選手にのみに科された性別確認の検査が形を変えながら今もあると。選手生命のみならず、個人の人生まで狂わす検査をなぜするのか。それは、今のコロナにもつながるオリンピックそのものの大きな問題だと解説する。

・『中止一択』オリンピックは現代のアヘンである

 岡崎勝さんは、オリンピックはアヘンであるという。報道も、最近はオリンピック関連の前向き報道が増えているが、今起きている生活の問題点を隠し、「平和」と口当たりのいい言葉を乱発して、言葉を空虚にしていく。またこれは「親」、つまりIOCが儲かるカジノである。子どもたちの強制動員は、不人気競技への人集め。ボランティアなどの自発的動員も、現代のアヘンを支えているに過ぎない。

・衝撃の「ボイコフ発言」 開催と同時に非常事態宣言で「何でもあり」に

 ジュールズ・ボイコフ教授の短い動画が、流れる。そこには、「権力による監視を容易にする顔認証などの導入、治安機関は平時では無理な武器を獲得」などの事実が語られる。
 ボイコフさんは、オリンピックは資本主義の化け物であるといい、次回の開催地、ロサンジェルスの反対運動のメンバーに話を聞き本にまとめている。そこには五輪はグローバルなカースト制度だといい、貧困問題からも6万〜10万人の家のない人や野宿者がいるのに、五輪のために価格の安い部屋がホテルになって、資本主義を加速させていく。民主主義的な国ではそれがやりにくいから、五輪を持ってきてやりやすくしていると。「オリンピック」の中での、スポーツ競技は全体の中のほんの一部でしかなく、それに絡まる様々なオリンピック産業に目を向けるべきだという。

・『中止一択』医療現場から オリンピック強行は暴力である

 都立駒込病院の看護師の松井愛子さんは、コロナの治療状況について語る。もともと駒込病院は、がんの専門病院でもあるが、がん病棟を一部閉鎖してコロナ治療のために割いている。現在でさえ医療スタッフが疲弊しているのに人員の補充も、まともな賃金もない中での、オリンピック開催は更なる脅威で、感染拡大で救える命が救えなくなるのではないかと心配していると。
 大阪では府立病院が独法化して離職者が増え、ベテラン看護師が不足した。そのあおりでコロナ患者が入院できず、家で亡くなることもあり、7倍の死亡率だった。都立病院も独立法人化をしようとしていて、これまでのようなキメの細かな医療はできなくなる。それは、看護師の職域に対する「否定であり、暴力である」と怒る。

・オリンピックではないスポーツのあり方を求めて 勝利至上主義から相互扶助へ

 「スポーツ」は本当に良いものなのかと、岡崎さんは問題提起をする。近代スポーツの精神は適者生存で、いつも何かと競わされている。それが近代社会。草野球のように、「勝つ」「負かす」ことではなく、ともに楽しむ、つまり競争から共同へと提案する。

 ここで谷口さんは、IOC委員の特徴について語る。彼らは常に人間中心主義、西欧中心主義、男性中心主義、植民地主義の中で思考しているという。国は国威発揚のためにメダルをといい、メディアはパフォーマンスを求める。それは、選手そのものが道具化・商品化されていること。この勝利至上主義がオリンピックなのである。
 しかしこれからのスポーツは、従来の学校など組織から離れて、地域社会の中に自治、相互扶助のシステムを新たに作らなければならないと示唆した。

 安全保障の問題について語るのは、井谷さん。1968年のメキシコ五輪の時からテロが問題になり、オリンピックに反対する人たちの大きな口実になってきた。町中を監視システムで覆い、終わっても撤去しない。

 また、ドーピング検査として採取した血液を、性別確認に使われているかもしれないが、誰にも分らない。のみならず、プライバシーがないことへの警鐘も鳴らす。今回のコロナにかこつけて、行動を監視しろと言っているが、オリンピックのためならいくらでも厳しく、充実させても、誰も何も言わない。その怖さ。オリンピックをやってもやらなくても、このオリンピックの抱える問題は形を変えて次回以降にも起こるので、その人たちと連帯して闘い続けていかなければならないという。    京極さんは、これだけの問題を抱える五輪。どうも、人の命よりオリンピックと思っている関係者に対して、人の命の方が大事という立場で、まだ止められるかもしれないので、努力していきたいという。

*紹介された本

『オリンピックの終わりの始まり』谷口源太郎著
『日の丸とオリンピック』谷口源太郎著
『スポーツを殺すもの』谷口源太郎著
『オリンピック 反対する側の論理』ジュールズ・ボイコフ(著), 井谷聡子・他(監修)
『オリンピックという虚構』ヘレン・ジェファーソン・レンスキー著 井谷聡子(監訳)
『体育会系女子のポリティクス』 井谷聡子著
『オリンピック秘史 128年の派遣と利権』ジュールズ・ボイコフ著・中島 由華(翻訳)
『親子で読む!東京オリンピック ただしアンチ』岡崎 勝他共著
『批判的スポーツ社会学の論理』影山健著(岡崎 勝:解説)

*写真(スタジオ内)=小林未来


Created by staff01. Last modified on 2021-06-21 11:05:43 Copyright: Default

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