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報道姿勢がおかしい!「カンブリア宮殿」が描いたロイヤルリムジン解雇問題

    指宿昭一(弁護士)

 6月4日のTV東京・日経スペシャル「カンブリア宮殿」の「従業員600人の解雇は『英断』だったのか?」は、極めて残念な番組だった。600人一斉解雇が、労働者の安全と収入確保のために行われたというお涙頂戴の「美談」を軸に「物語」が作られている。金子社長の企業経営者としての判断の理由と背景が見えてこない。

 公共交通機関として減車をしてでも事業を継続した他のタクシー会社と違い、事業を停止し、しかも、全員解雇をしたという金子社長の経営判断の妥当性について全く検討がされていない。番組の性質上、金子社長の主張が放送されること自体はいい。だが、これに対する反論が全く放送されないというのは公共放送としてありえないこと。金子社長と7回の団交を行っている日本労働評議会とその顧問である私は、社長の経営判断に対して明確に異議を唱えており、この番組の取材も何度も受けているが、まったく放送されなかった。労働者の苦境と抗議については、ある程度、放送されたが、コロナ禍における経営者の判断であり、一定の犠牲はやむを得ないというスタンスで処理されている。そもそもの経営判断の妥当性が検討されていないのである。

 金子社長は、事業を停止したとしても、解雇を回避して、希望する労働者の雇用を守り、労働者に休業手当を支給して、雇用調整助成金の支給を求めるべきだった。そもそも、全社を一斉に事業停止する必要などなかったはず。金子社長の言動には、他の経営者と違う決断をして、自分自身を「労働者のことをよく考えている社長」として描き出し、アフター・コロナの時代に躍進したいという野望が感じられる。「カンブリア宮殿」は、見事に金子社長の野望に利用された。そのことにより、番組は薄っぺらなものになり、番組としての社会的評価を下げた。

 解雇回避の努力をせず、軽率に600人解雇をしたことは誤りであり、企業の社会的責任の見地から非難されるべきことである。この基本を外した「カンブリア宮殿」の報道姿勢は誤っている。(指宿弁護士のFBより)


Created by staff01. Last modified on 2020-06-06 10:27:34 Copyright: Default

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