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非正規の格差是正に足がかり!〜郵政「労働契約法20条裁判」で最高裁判決

動画(11分)

 10月15日午後、日本郵政の非正規格差をめぐる「労働契約法20条裁判」の最高裁判決(第1小法廷・山口厚裁判長)が出た。2日前の大阪医大・メトロコマース事件では「賞与・退職金なし」の労働者側敗訴で、原告・支援者は怒りに震えていたが、この日は打って変わった。最高裁前は喜びの歓声にあふれ、原告と支援者の抱き合い姿も見られた。郵政も「賞与」については地裁段階でゼロ回答だったが、それ以外の「諸手当・休暇」の是正についてはほぼ完全に認められたからだ。郵政非正規社員は18万人いる。判決の影響は大きいものになるだろう。


*手を振って出てきた原告

 この日の旗出しは、最高裁西門ではなく正門だった。ガッツポーズで弁護団と原告が出てくると150人近い支援者から大きな拍手が起きた。そして、数十人のメディアが待ち構えるところで原告たちは垂れ幕を掲げた。なんと6枚もあった。「住宅手当勝訴・扶養手当勝訴・有給の病気休暇勝訴・夏期冬期手当勝訴・年末年始勤務手当勝訴」、そして原告のリーダー格である浅川喜義さんの垂れ幕には「格差是正一歩前進」と書かれていた。

 浅川さん(写真上)がマイクを握った。「同じ職場で一緒に働いている正社員の同僚が『仕事が同一であること』を法廷で証言してくれた。これが裁判所に届いて動かしたと思う。正規・非正規が一丸となったから勝てた。とてもうれしい」と目頭を熱くして語った。原告らが所属する郵政ユニオンは、正社員だけでなく非正規と一緒になってたたかっている貴重な組合。この強みが活かされたのだった。そして浅川さんはこう結んだ。「みんな同じ人間なんだから同じように扱ってほしい。当然です。この判決をバネにさらに大きく前進させ、よりよい日本にしたい」と。

 郵政西日本事件の弁護団で大阪医大事件も担当している河村弁護士(写真上)はこう訴えた。「判決は画期的で格差是正の足がかりになる。しかし差別の中心である基本給・賞与・退職金について最高裁は取り上げなかった。今後は、ここの格差是正に向けて運動を広げていきたい」と。今週出された一連の「労働契約法20条判決」で最高裁が示したのは、「諸手当・休暇」の是正については認めるが、「本給・賞与・退職金」など根幹の部分には手をつけないというスタンスだった。ここをどうこじあけていくかが、今後のたたかいに問われているのだろう。

 この日、2日前に敗訴したメトロコマースの4人の原告も最高裁前で見守っていた。報告集会が終わると、後呂良子さんは浅川さんに抱きついた。「よかった、本当によかった。でもこれから、これからだね。一緒にがんばろう!」、後呂さんが語りかけると浅川さんはウンウンと大きく頷いた。(M)

〔こぼれ話〕この日の判決の旗出しは、当初は南門になっていた。ところが急遽、正門に変わっていた。聞くところによるとNHKなどマスコミが要請し、それに最高裁が応えたという。ところが2日前の13日のメトロコマース事件では原告側が、正門使用を申しいれたが、最高裁は断わっている。家でいえば、正門は玄関、南門は裏口である。最高裁はどこを向いているのだろう。この国は国民主権の国である。常時、正門を堂々と国民に使わせるべきである、と改めて思った。


Created by staff01. Last modified on 2020-10-15 21:33:12 Copyright: Default

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