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関西生コン弾圧事件の問題点(第1回)

関西地区生コン支部に対する異常な権力弾圧がつづいている。その問題点をあきらかにする連載をはじめる。

「仲間を返せ」と東京でも緊急報告集会(19年2月8日、全水道会館)

第1回は「湖東生コン協組事件」の不自然にくりかえされる逮捕劇の問題をとりあげよう。

この事件では、湖東生コン協同組合という中小企業の業者団体の理事長ら6人、組合の武委員長ら20人、合わせて26人もの関係者が逮捕されている。しかも逮捕は昨年7月から今年2月にかけて5回に分けておこなわれてきた。武委員長らの裁判はすでに昨年11月からはじまり、検察側の証人尋問がつづいている。

しかし、警察や検察はさらに逮捕、起訴を予定していると裁判で予告し、裁判官も逮捕者の勾留理由開示公判で「事件の全容解明に必要だ」などと主張している。いったい、どれほどの陰謀事件だというのか。捜査の問題点を順を追ってみてみよう。

まず、この事件はどんな事件だったかというと、2017年3月〜7月、東近江市で清涼飲料水メーカー(チェリオ)がすすめた倉庫建設工事において、建設工事を請け負った大手ゼネコン・フジタ(大和ハウス工業の子会社)に対し、湖東生コン協同組合が生コンは協組から購入するよう働きかけた。協同組合に加盟せず、安値で営業活動しているアウトサイダー業者から購入されると地域の生コン価格が値崩れをおこすので協同組合としては当然の営業活動なのだが、これが恐喝未遂とされている。

またその後、関西地区生コン支部(関生支部)が、この工事現場の法令違反(汚水の垂れ流し、違法ダンプの出入りなど)について是正を申し入れたり(コンプライアンス=法令順守活動)、ビラまきをしたことも恐喝未遂とされている。

つまり、「事件」とされているのは2年前の建設現場をめぐるできごとなのだが、すでに工事は完了していて相当にむかしの話なのだ。

ところが、警察はこのむかしの話をさも大陰謀事件のように仕立て上げて、「共犯」とみなした組合役員らを昨年7月から今年2月までに、じつに5回に分割して逮捕をくりかえしてきた。

これを時系列順に並べると次のようになる。

<2018年>
7月18日 湖東協組理事ら4人が逮捕
8月 9日 湖東協組理事長ら3人、関生支部執行委員1人の計4人が逮捕
  28日 武委員長ら関生支部役員3人が逮捕
<2019年>
2月 5日 関生支部役員と組合員15人が逮捕
  18日 関生支部役員1人が逮捕

なぜ一挙に逮捕せずに、このように細切れにして逮捕をくりかえしているのか。

たとえば、7月18日の逮捕・勾留・起訴状では「氏名不詳」と記載されていた共犯者の一部が8月9日に逮捕・勾留・起訴されたことになっている。

つぎに、8月9日の逮捕・勾留・起訴状で「氏名不詳」と記載されていた共犯者の一部が8月28日に逮捕・勾留・起訴されると、そこでも「氏名不詳」とされた共犯者の一部が、こんどは2019年2月5日に逮捕されるという経過をたどっている。

つまり、「氏名不詳」の人物の名前などが逮捕後の捜査で判明した、だからあらたに逮捕したといいたいのだ。いいかえると、この大陰謀事件においては、共犯者の全体像と事件の全容がまだ解明されていない、だが捜査がすすむにつれ、つぎつぎに「共犯者」が判明し、その都度逮捕することで全容解明に近づいている――警察はそのようにいいたいのだろう。

しかし、それは事実ではない。実際はどうかというと、警察は「氏名不詳」とした組合員らの名前などはとっくのむかしに知っていたことが証拠のうえでもあきらかになっている。それを隠して不当な逮捕を連鎖させているのである。

たとえば、今回2月5日に逮捕された組合員の場合、2017年6月7日に大阪市内でビラをまいたことを理由に、すでに2017年6月15日作成の警察官調書(ビラまき目撃者)において氏名が特定されていて、それは8月28日逮捕者の裁判のなかであきらかになっている。つまり、2018年7月18日、8月9日、8月28日には「氏名不詳」とされていた今回2月5日の逮捕者が、じつは2017年6月15日の時点ですでに「氏名不詳」ではなかったということなのだ。

2017年3月〜7月にかけての事件の共犯者の氏名が、捜査の進展によって徐々に明らかになって逮捕・起訴されたのではなく(常識的に考えてもそのようなことはありえない)、警察・検察はことさらに共犯者の氏名を裁判所に隠して、細切れにして時間をかけて逮捕勾留をくりかえしていることはあきらかだ。

警察と検察は、すでに判明した事実をあえて秘匿することで、ことさらに事件を細分化して逮捕をくりかえす手法を使っているのである。それによって事件を長期化させ、不当逮捕された組合役員や組合員を釈放しない口実にしつつ、勾留中の仲間と組合に最大限のダメージを与えることを意図しているのだろう。これは警察と検察による組合つぶし攻撃にほかならない。不当な逮捕令状乱発に手を貸し、裁判がはじまっても保釈を認めない裁判所も、これに手を貸している。

実際に、警察は、にわかには信じがたいことだろうが、不当逮捕された組合員たちに対して、組合脱退を執拗に働きかけている。

次回はその点を明らかにする。(つづく)

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