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●根津公子の都教委傍聴記(2019年10月10日)

夜間定時制高校切り捨てに教育委員の心は痛まないのか!

 今日の議題は公開議案が 嵳菁度都立高校の生徒募集人員について」◆崙段婿抉膤惺珊眦部等の募集人員について」、報告が「請願について」。
 非公開議題には、議案として「校長の任命」案件1件、「教員の懲戒処分」案件(停職以上の案件)が5件、報告として「平成30年度における児童・生徒の問題行動等の実態について」「『いじめ止推進対策推進法』30条1項に基づく報告について」「教員の懲戒処分」(減給以下)。
 問題行動及びいじめに関しては長いこと社会問題になっているのだから、公開の場で論議してほしいものだ。停職以上の処分案件が5件あることにも驚く。

  嵳菁度都立高校の生徒募集人員について」及び「請願について」

 資料が配られて最初に見たのは、来年度夜間定時制高校の募集人員。「小山台30人 立川60人」とある。来年度は両校とも存続する。前回の定例会で立川高校の閉課程(廃校)とセットで都教委が考えているチャレンジ高校の開校が2年遅れの2025年度となる旨の報告がなされたことから、それまでは立川高校の閉課程はできないとは思っていたけれど、都教委の方針が変わったのではない。都教委の方針は閉課程なのだ。

 その2校存続についての請願が出されていた。小山台高校定時制については、「小山台高校定時制の廃校に反対する会」から、立川高校定時制については、「立川高校定時制芙蓉会(同窓会)」「立川高校定時制の廃校に反対する会」から。

 存続を求める切実な気持が伝わってくる請願理由なので、ここに記します。
小山台高校:
「平成28年2月12日の東京都教育委員会において、多くの存続を求める校が上がるなか、小山台高校など4校の夜間定時制の廃校(閉課程)が決定された。(略)
 小山台高校定時制は歴史も古く、長年地域の中で親しまれ、全日制に通学できなかった人たちの大切な学舎となってきた。今も、昼間働いている生徒や夜間中学卒業生、全日制中退生徒、若いときに学ぶ機会を逸した社会人など多様な生徒が通学している。特に、小山台高校定時制は、近年、人権尊重推進校として外国籍生徒や帰国生徒など外国につながる生徒たちを積極的に受け入れ、多文化共生の教育を積み重ねてきた。その手厚い教育体制は東京都のモデルにもなっている。このような特色ある学校を一方的に廃止することは納得できない。
 小山台高校定時制の生徒募集を継続し、存続させることを求める。」

立川高校:
「(前略)都内の夜間定時制の普通科で最も多い生徒数となっている。同窓会をはじめ生徒、卒業生、保護者、地域住民などから、「立定(たちてい)」の存続を求める声はいっそう広がっている。  今年の2月、今後の都立高校の基本政策である「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」が策定されたが、その中で立川高校定時制の閉課程予定年度は「未定」となっている。
 立川高校定時制は多摩地域の中心にあり、交通の便も良く、現在300人近い生徒が在籍している。昼間働いている生徒や夜間中学の卒業生、若い時に学ぶ機会を逸した年配の社会人、外国につながる生徒など、いろんな生徒が学んでいる。全日制とともに「多摩に立高あり」といわれ、今年で創立82年を迎え6000名を超える卒業生を輩出してきた。…存続させることを求める。」

 都教委が4校を廃校と決めた時点から存続を求める請願は繰り返し行われてきた。しかし、4校のうちの2校を都教委はすでに廃校にした。「チャレンジスクールを新設する」「他の夜間定時制を受験すればよい」との、代替案とは言えない「代替案」を出して。

 今回の請願に対する都教委の「回答」はこれまでと同じに、応募者が少ないことを理由(※)に、上記した代替案を挙げる。
 ※夜間定時制課程はセーフティネットの機能を果たしているが、在籍生徒は年々減少している。
 ※夜間定時制課程には、昼間に学校に通うことのできない勤労青少年の学びの場として、昭和40年には夜間定時制課程に進学した生徒のうち勤労青少年は88.3%だったが、平成13年度のそれは7.0%、平成30年度は3.9%にまで低下している。
 ※小山台高校定時制課程の入学者の状況は、平成27年度は26人、平成28年度は23人、平成29年度は22人、平成30年度は11人、平成31年度は13人など減少傾向にある。
 ※立川高校定時制課程の入学者の状況は、平成27年度は90人、平成28年度は71人、平成29年度は91人、平成30年度は57人、平成31年度は51人など減少傾向にある。

 この「回答」を是認したうえで、教育委員は次のように発言(趣旨)。
「本当は夜間定時制課程をこのまま続けて、チャレンジスクールも作るのがいいのだが、財政的に困難。この請願を認めれば、他も請願することになる。小山台高校で行われているいい教育を続けてほしい。でも、これらを実現するいいアイデアをなかなか思いつかない。」(北村教育委員)
「学びたいという子の意思をどう保証するか、知恵を絞っていきたい。」(宮崎教育委員)
「勤労青少年の比率が3.9%にまで低下している。請願に対する誠実なこたえは、生徒たちのニーズをどう実現するか。それが課題」(遠藤教育委員)

 教育委員に、本当に定時制課程に進学する子どもたちを支えようとする意思があるならば、請願に賛成するはずだ。採決・採択権限が教育委員にだけあることを自覚しているとは思えない言動だ。都教委事務方の提案に対して、批判検討したうえで採決するのが教育委員の任務であるのに、都教委の代理人のような動きに終始する。「学びたいという子の意思」保証は、夜間定時制課程を存続すること。明白ではないか。

 北村委員の、「この請願を認めれば、他も請願することになる。」とは何事か!請願用紙は受理するが、都教委方針に反対する請願には賛成しない、採択しないというもの。都民にとって、請願権は形ばかりのものと言っていると同じだ。その認識がこの人にはあるのだろうか!?

 「財政的に困難」というけれど、「次世代リーダー育成」を目的に2014年度から都教委が始めた都立高校生の留学支援は、年間200人を1年間留学させ、総費用300万円のうち240万円は都が負担する(このことは2014年2月13日開催の都教委定例会で報告された)。

 240万円×200(人)=4億8000万円。この金額は教員60〜70人を雇える金額だ。すでに廃校にした2校を含め、4校存続は可能な額だ。オリンピック・パラリンピック教育にも巨額の予算が組まれている。都教委は、社会的弱者を切り捨てて、その金をエリート育成に回すこと、また、「愛国心」の刷り込みにつかうことしか考えていない。

       ***** ***** *****

 議事が終了したところで宮崎教育委員が兵庫県の須磨小学校で起きた教員のいじめ問題に関連して、「東京ではこうしたいじめはないと確認しているか」と訊いた。人事部長は、「確認している。業績評価の取り組みの中でも取り組んできた。」と言った。傍聴していた元教員たちは、一斉に怒りたぎる表情に変わった。業績評価で教員同士を競わせ統制することがいじめの元凶であることははっきりしているからだ。孤立せず・させずに、協同で仕事に当たっていた20年前にはこのようないじめはなかった。

 自衛隊員間のいじめも問題となっているが、これも競わされ統制されることへのはけ口としての行為だ。子どものいじめも、大人のいじめを真似てのこと。都教委の役職ある人たちにその認識を持たせることは絶望的だ。

 定例会が終了し会場を出たところでSさん、Wさんは、「業績評価がいじめを生むのだ!」と教育委員に聞こえるように声を上げた(会場内で声を上げると排除されるが、会場を一歩出れば排除措置はとられない)。その声に、請願関係者の一人が近寄ってこられて、「まったくそう、業績評価こそがいじめを生みますよね。」と気持ちを重ねられた。


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