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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(7月25日)/実質非公開の教科書採択
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●根津公子の都教委傍聴記(2019年7月25日)

実質非公開の教科書採択

 議案が、1)来年度使用の特別支援学校小学部・中学部の教科書採択、来年度使用の都立中学校の教科書採択について 2)講師の報酬等に関する条例等の一部を改正する条例の立案依頼について。報告が3)「部活動に関する総合的なガイドライン」について。

1)来年度使用の特別支援学校小学部・中学部の教科書採択、来年度使用の都立中学校の教科書採択について

 教科書採択に際し都教委は、教育委員の発言に圧力がかかる危険も心配されるとの理由から、教育委員は推薦理由などについては発言せず、無記名投票をするだけ。実質非公開運営なのだ。公開で議論する自治体も多く存在するというのに、文科省の「外部からのあらゆる働きかけに左右されることなく,静ひつな環境を確保」するという「通知」を悪用してのことだ。教育委員の「権限と責任」において採択をするというならば、市民(都民)に中身を公開すべきではないか。

 したがって、小学部教科書については投票結果が過半数を超える出版社(すべて全員一致か過半数を超えた)が採択された。道徳は光文書院(光文4:学図2)。中学校(中学部)教科書については、新しく検定を通った教科書がないので、今年度まで使用した教科書を採択していいかが諮られ、全教育委員がそれを承認した。2021年度に学習指導要領が改訂されるので、この日採択した教科書は2020年度のみ使用となる。

 したがって、中学校社会科「歴史的分野」は日本のアジア侵略の事実を歪め、「アジア解放のための戦争」と記述する育鵬社版が、「公民的分野」もまた、義務を前面に出し人権を軽視し、国民主権も軽視する育鵬社版が採択された。都教委が各中学校長に(どの教科も)今年度まで使用した教科書でいいかを問い合わせたところ、どの校長も、「特段の不都合はない」と言ったとのこと。育鵬社教科書は使いたくない、と意見を言った社会科教員はいなかったのだろうか。

 無記名投票に入る前に各教育委員から「都教委がつくった調査研究資料等がとても参考になった」(2名)「現場の教員が使いやすいものを採択したい」(2名)「使ってみて、現場の意見を聴かせてほしい」と、一言ずつ発言があった。

 「現場の教員が使いやすいもの」をと言うならば、どうして、「現場の教員に選んでほしい」と言わないのか。各教科の専門家ではない教育委員が選ぶよりも、教科の専門家である教員が選んだ方がいいのはあまりに当然のことであり、事実、かつては現場の教員たちが選定した教科書が採択されてきた。

 しかし、東京の学校で育鵬社の歴史・公民を使わせ、実教出版「高校日本史A」(「君が代」不起立処分について記述した)を使わせないために、教育委員が採択しているのだ。教育委員が、こうした事実をまさか知らないはずはないだろうに、と思う。「権限と責任」をはき違えないでもらいたい。

 なお、「それぞれの学校が最もふさわしいとして要望した教科書を採択すること」「問題が各方面から指摘されている育鵬社教科書や自由社教科書は採択しないこと」「都民への公開性を高めること」等の請願が2団体から出されていたが、その内容説明も、検討したか否かも、説明はなかった。

2)講師の報酬等に関する条例等の一部を改正する条例の立案依頼について

 地方公務員の臨時・非常勤職員の増加に対応して国は地公法・地方自治法を改定し、会計年度任用職員制度を2020年4月から導入する。そこで、都立学校及び区市町村学校で働く時間講師について、賃金体系や休暇等を見直すというもの。

ア.基準日(6月1日、12月1日)に在職し、会計年度内に6月以上任用期間があるものには期末手当を支給する。
  イ.常勤職員との均衡の観点から、経験年数に対応した報酬の時間額の区分を追加(現行は13区分、2020年からは18区分)する。
  ウ.休暇は現行の「病気休暇:有給90日」(週当たり12時間、3日以上勤務する準常勤講師に限り)を廃止し、「有給の夏季休暇」を新設するなど。エ、職務内容に「授業の実施に付随する業務」を追加する。
   なお、準常勤講師については、「3年間に限り、本則とは別に定める報酬の時間額を適用して、給付水準の激変を緩和する」と書く。ということは、現行の準常勤講師については収入が低下するということか。「改正」ではなく、非正規雇用の定着化ではないのか。この後、知事に条例の立案を依頼するとのこと。

3)「部活動に関する総合的なガイドライン」について

 教員の働き方改革の推進(長時間労働の緩和)と部活動の充実を目指して作ったという。内容は7つの章立てで「部活動の教育的意義と適切な運営の在り方」に始まり、「体罰、不適切な行為の防止」「重大事故防振に向けた安全対策」「部活動中における健康面での留意事項」「部活動の実践例」等と続く(152ページからなる)。
 こうしたものを都教委は次々に作っているが、それによって、部活動での体罰・暴言はなくなるとは思えない。


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