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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(3/28)/「東京都教育ビジョン」パブコメ募集は形だけ?
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●根津公子の都教委傍聴記(2019年3月28日)

「東京都教育ビジョン」パブコメ募集は形だけ?

 議案は 崚豕都教育ビジョン(第4次)」の策定について、報告が 都立小中高一貫教育校入学者の決定方法に関する検討委員会報告書について 「幼小の一層の円滑な接続を図るための教育課程の研究・開発委員会」報告書について ぁ崟教育の手引」の改定について。山口委員と宮崎委員が欠席。月2回の定例会なのに、欠席が目立つ。

 崚豕都教育ビジョン(第4次)」の策定について

 「ビジョン」は1月31日の定例会で骨子を報告し、その日から30日間にわたり受け付けたパブコメを踏まえて、有識者や校長等による検討委員会で協議し、策定したとのこと。それが今日の定例会で承認された。「すべての児童・生徒に確かな学力を育む教育」「社会の持続的な発展を牽引する力を伸ばす教育」など12の方針と30の「今後5か年の施策展開の方向性」を挙げる。

 しかし、資料として配られた、パブコメに対する「都教委の考え方」を見ると、パブコメを「ビジョン」に取り入れた形跡はなかった。やはり、パブリックコメントの募集は形だけであったのか。沢山あるが、そのうちの一つを挙げよう。

 「2 社会の持続的な発展を牽引する力を伸ばす教育」の「ぁ_奮愿に探究する力を伸ばす理数教育を推進します。」に対して寄せられたパブコメは、「理数系ばかりでなく、人文・社会系、芸術系、スポーツ系など、子供たちの興味・関心に応じたきめ細かな教育が進められるよう、人員の配置等、教育環境の整備を行うことが重要である。」と。    このパブコメに対し都教委は「都教委の考え方」として、「社会の持続的発展を牽引する力を伸ばす教育について『基本的な方針2』に位置付け、理数教育、農業や工業、商業などの職業教育、高度に情報化した社会で活躍できる力を伸ばす教育などを推進していくことで、これからの東京・日本の発展を支え、様々な産業を牽引できる人材を育成していきます。」と書く。これでは都教委の一方的な考えを言うだけで、パブコメへの回答にも協議の材料にもなっていない。

 このパブコメは、兵力不足となった1943年、「在学徴集延期臨時特例」を公布し、理系と教員養成系を除く文系の高等教育諸学校の学生の徴兵延期措置を撤廃し、戦場に向かわせた歴史的事実、そしてまた、文科省が2015年6月、国立大に対し、「社会が必要としている人材の育成や地域への貢献を進めてほしい」として、文系学部・教員養成系学部について見直すよう通知したことへの懸念から出されたのではないかと思う。

 2月に策定された「都立高校改革推進計画・新実施計画(第二次)」も、パブコメが最も多く寄せられた「立川高校夜間定時制の閉課程(閉校)をやめて」を検討した形跡がないまま、閉課程の方針を打ち出したものだった。機能させようとしない都教委のパブコメ制度について、発言する教育委員はいないのか。

都立小中高一貫教育校入学者の決定方法に関する検討委員会報告書について

◇これまでの経過
 17年4月27日の定例会において、立川国際中等教育学校に附属小学校を設置し、22年に都立小中高一貫教育校を開校するとの報告がされていた。そこで示されたことは次のように、学習指導要領を度外視した教育課程による、「エリート」育成を目的としたとしか思えない一貫教育校の構想であった。

●教育理念は「児童・生徒一人一人の資質や能力を最大限に伸長させるとともに、豊かな国際感覚を養い、世界で活躍し貢献できる人間を育成する。」

●教育課程編成の考え方は、
・12年間を一体として捉え、柔軟な教育課程を編成する。
・論理的な思考や表現力を鍛えるため、国語教育を重視する。
・高い語学力を身に付けさせるため、英語教育を重視する。
  (外国語の授業時間数は学習指導要領では小学校210時間、中学校420時間のところ、この学校では小学校が836時間、中学校が840時間。小学1年生から英語が入り、中学校では第二外国語を選択必修。英語村(TOKYO GLOBAL GATEWAY)の体験学習、海外姉妹校の訪問(6学年)、英語合宿(8学年)、夏季短期留学(9学年)、海外研修旅行(11学年)等も行う)
・アイデンティティ確立のため、日本や世界の歴史、日本の伝統・文化や異文化理解の学習の推進
・異学年交流、特別支援学校等との交流や国際交流等により、多様な価値観の受容と社会参画意識の向上
・企業や大学との連携した学習活動により、世界で活躍しようとする意欲の向上

◇今日は
 今日の報告は、入学者の決定方法についてであった。
 小学校入学者決定の流れは、第1次は抽選→第2次は適性検査→第2次合格者が募集人員を上回った場合には第3次で抽選。適性検査は、「都立小中高一貫教育校の『生徒の将来の姿』と照らして設定した能力等を把握することができる内容」とする。また、評価は、「評価項目(例:コミュニケーション能力等)ごとに適性の有無等を総合的に判定」するという。適性検査という名の受検をするということだ。

 附属小学校から中等教育学校(中高)への内部進学については、「附属小学校は、内部進学に当たって児童にとってより良い選択ができるよう、保護者と丁寧に面談を重ねながら共通理解を図る」「附属小学校は、児童の学習の習熟度について確認し、十分な支援を行う」とし、他の小学校からの進学については、「内部進学者に欠員が生じている場合」とする。

 17年4月27日の定例会では、「附属小学校から中等教育学校への進学については、本人の日常の成績等を基に、学校が進学者を決定する。」としていたことと考え合わせれば、成績の良くない児童は切り捨てるということだろう。

 この学校が「エリート」育成を目的としたものであることは明らかなのに、北村教育委員は「エリート育成にならないように」(趣旨)と発言。その発言に対し、都教委報告者は「附属小学校は区市町村教委に対しての、モデル校として設置した。」と応答。どの子にも平等に教育費を使うのではなく、ごく一部の「エリート」育成にカネをつぎ込むというのに、平然とこのような発言劇をする。腹立たしい限り。

「幼小の一層の円滑な接続を図るための教育課程の研究・開発委員会」報告書について

 この件は18年3月22日及び10月11日の定例会で、荒川区の幼稚園と小学校(同じ敷地にある)をモデル校(5歳児から小学校2年生)とし、21年度からこの子どもたちに同じ教室で年間を通して授業を行い、「円滑な接続が図れたか」を検証する、と報告されていた。今日は、実践のための年間指導画の具体例(「年下の友達と一緒に絵本を見たり、読んであげたりする」など)が提示された。

 18年3月22日の定例会では、教育委員から「モデル校に入るために、受験教育が3歳前になる不安がある」との発言もあったが、今回は「素晴らしい、細かく具体的で」と絶賛した。

 文科省が、保・幼・小連携の方針を打ち出したのは、幼稚園教育要綱及び保育所指導指針に、3歳児以上の幼児に「国旗・国歌に親しむ」ことを入れたことが示すように、幼稚園・保育園にも文科省が介入したいと考えるからではないのかと思う。何を目的としてこのようなことをするのかを、教育委員は公開の定例会の場で質してほしい。

ざ技嬪兒愼浬顱崟教育の手引」の改定について

 情報化の中、児童・生徒を取り巻く環境の変化、若年層の性感染症やインターネットを介した性被害の増加、前回の改定から10年以上が経過したことから改定したとのこと。同「手引き」には、「性同一性障害等に関する正しい理解」や「学習指導要領に示されていない内容の授業での指導」「産婦人科医等による授業の実施」等の今日的課題を取り入れたことは評価したい。産婦人科医等によるモデル授業を今年度は5校で行ったが、来年度は10校にするという。昨年8月に都教委が中学校長に対して行った調査では、校長の約半数が学習指導要領を超える性教育を求め、また、医師等の外部講師を派遣してほしいとの要望が多かったことによるのだろう。

 しかし、「学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に行う」(注)ことを、都教委は頑なに変えなかった。授業は全員を対象に行うから意味があるのであり、「寝た子を起こすな」式の意識を持つ保護者にも理解してもらうことが大事なことなのに、それはしない。それはなぜか。

 昨年3月16日の都議会文教委員会で古賀自民党議員が足立区中学校の性教育について「不適切」と批判し、中井教育長は、同授業に「課題がある」として、当該校の管理職および全教員を指導する、都内全公立中学校長を指導する旨の答弁をした。さらには、同年4月26日の定例会で「『性交』『避妊』『人工中絶』といった中学校学習指導要領保健体育にないことばを使った授業は不適切」との都教委見解を発表した(注)。そうしたことから、都教委は自身及び古賀議員の面子を保つために「保護者の理解・了解」にこだわるのだろうか。

 今年度モデル授業を実施した学校では、事前に保護者に授業内容を示したうえで、学習指導要領内と指導要領外の授業のどちらがいいかを訊き、2本立ての授業を実施したという。モデル授業では『性交』『避妊』を扱ってもいいそうだ。

 都教委は校長たちの要望等から同「手引き」の内容を変えたのだから、まずは足立区中学校に謝罪し、昨年4月26日に出した「見解と今後の対応」を見直すべきではないのか。また、保護者の理解を得ることを前面に押し出すことで、教員はむしろ性教育をやりにくくなるのではと、それが気になる。

(注)昨年3月の文教委員会で古賀自民党都議会議員が足立区中学校の性教育を問題視したことに対して、都教委は4月26日の定例会で学習指導要領を超えた性教育について次のような「見解と今後の対応」を発表した。
「『性交』『避妊』『人工中絶』といった中学校学習指導要領保健体育にないことばを使った授業は不適切。保護者の理解を必ずしも十分得ないまま授業が実施されていた。」今後は、「学習指導要領を基本とする。すべてを集団指導で教えるのではなく、集団指導で教えるべき内容と個別指導で教えるべき内容を明確にする。学習指導要領を超える内容を指導する場合には、事前に学習指導案を保護者に説明し、保護者の理解・了解を得た生徒を対象に個別指導を実施するなど」とした。


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