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『アジア記者クラブ通信』308号(8月号) 特集:歪む北朝鮮報道と大勢順応化するメディア
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★『アジア記者クラブ通信』308号(8月号)
特集:歪む北朝鮮報道と大勢順応化するメディア

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■定例会リポート(2018年5月26日)
なぜ北朝鮮巡る邦字報道が歪むのか
金正恩政権と朝米首脳会談後の東アジア

李柄輝(朝鮮大学校准教授)

 一度は中止とされた末に一転、当初予定通り6月12日に開催された
米朝首脳会談。ドナルド・トランプ米大統領と朝鮮民主主義人民共和国
(北朝鮮)の金正恩(キム・ジョンウン)・朝鮮労働党委員長の歴史的
対面から2ヶ月になるが、シンガポール共同声明でうたわれた「朝鮮半
島の完全な非核化」への具体策をめぐり、双方の齟齬をうかがわせる状
況が伝えられている。トランプ氏の北朝鮮への関与については前オバマ
政権との“差別化”や今秋の中間選挙を見すえた成果狙いなどの思惑も
指摘された。一方、昨年まではトランプ氏と挑発合戦を繰り広げていた
金委員長は、いかなる意図を持って米トップに向き合ったのか。朝鮮半
島情勢に詳しい朝鮮大学校の李柄輝(リ・ビョンフィ)准教授(朝鮮現
代史)に、金正恩体制の動きを同国の内在論理の観点から語っていただ
いた。なお定例会は米朝首脳会談前の5月に開催された。(編集部)


■北朝鮮
北朝鮮の合意違反は事実か
なぜ捏造記事が溢れるのか
偏見で歪む米主要メディア

ギャレス・ポーター(独立調査報道ジャーナリスト)

 朝米首脳シンガポール会談以降も「密かに北朝鮮(以下、朝鮮)がウ
ラン濃縮を行っている」、「ICBMの製造を継続している」という米
主要メディアの報道を引用する形で邦字メディア各社は裏をとらずに朝
鮮が合意違反を行っているかのような報道を繰り返えしている。本稿は、
朝米首脳会談以前から執拗に続く「朝鮮に騙されるな」報道の情報源と
報道パターンを分析した検証記事である。筆者は、米諜報コミュニティ
ーが米主流メディアの情報操作を行っている実態を踏まえ、米ソ軍縮交
渉の際には合意後も協定実施までは米ソ両国が兵器製造を継続していた
実例、朝鮮当局が合意破綻も想定した選択肢を当然のことながら準備し
ていることすら一連の報道が無視している杜撰さを告発する。その上で
筆者は、米メディアの誤報が「朝鮮と交渉しても無駄だ」という強い偏
見から捏造されていると指摘する。(編集部)


■北朝鮮
朝米合意の背信者は誰か
歪曲される非核化の手続き
制裁強化で成果は台無しへ

カーラ・ステア 
GR国連本部駐在記者

 シンガポールでの朝米首脳会談から2カ月が経過した。この間、一方
的に垂れ流されるトランプ大統領、ポンペオ国務長官、ヘイリー国連大
使らの声明と、それらを増幅する西側主流メディアの報道に接した読者
や視聴者は、非核化のプロセスを守らない北朝鮮(以下、朝鮮)が、ど
うしようもない“嘘つき”だとしか映らないのではないか。本稿は、非
核化の合意を守っていないという朝鮮批判に対して、朝鮮が一方的に非
核化するとは合意文書のどこにも記されていないという事実を踏まえた
上で、巧妙な論理のすり替えや難癖をつけて合意を破綻させる米国の論
法を白日の下にさらす。国連問題の専門家でもある筆者は、国連安全保
障理事会をコントロールする米国の実態、国連憲章を踏みにじって久し
い米国の横暴ぶりを具体的に告発する。朝鮮に対する制裁強化が逆効果
で、朝鮮半島の非核化のプロセス自体が複雑で10年以上の時間を要す
る大事業なのだと説く筆者の指摘は示唆に富む。(編集部)


■監視社会
アマゾンとCIAの提携
監視国家と独占企業の融合
倒錯した全体主義の出現

エリオット・ガブリエル(ジャーナリスト/エクアドル・キト在住)

 『ペンタゴン・ペーパーズ』で記者たちが最高機密文書を暴露して時
の政権を崩壊に追い込んだワシントンポスト紙の奮闘は映画にもなった
ように今でも語り草である。ところが5年前のインターネット小売り大
手アマゾンによる同紙買収以来、ポスト紙の舌鋒は鳴りを潜めただけで
なく、怪しげな情報源による北朝鮮の合意破り報道の先頭に立っている
ように、今やプロパガンダ機関の様相を呈している。本稿は、独占企業
となったアマゾンとCIAの提携に代表されるように、抑圧的な米国の
国家機関との間で享受されている「甘い関係」に迫った調査報道の記録
である。独占企業によるユーザーデータの乱用、顔認識システムなど監
視技術の売り込みは膨大な利益を生む。2016年から2017にかけ
てアマゾンの株式の時価総額は51%上昇した。筆者は、警察国家運営
においてハイテク産業が、マスメディアを支配し、民衆の統合的コント
ロールを促進するだけでなく、個人主義のイデオロギーを装った人間の
自由を破壊する役割を担っている現状を告発する。それを「倒錯した全
体主義」と筆者は名付けている。(編集部)


■メディア
アサンジ擁護はご法度
権力者に奉仕する伝道者
主流メディアの処世術

ケイトリン・ジョンストン(ローグ・ジャーナリスト)

 ウィクリークスの創設者ジュリアン・アサンジが米国への身柄引き渡
しの危機に直面している。エクアドルへの亡命(駐英大使館)を受け入
れていたコレア政権を引き継いだモレノ政権が信義を裏切ったからだ。
本稿は、今世紀に入って数多の戦争犯罪や権力犯罪を告発してきたアサ
ンジへの報復に欧米諸国が牙をむいている時に、全くアサンジの擁護に
動く気配のない西側主流メディアの実態を見事に分析したジャーナリズ
ム論である。筆者は、支配体制への忠誠心を査定されることに汲々とし、
物議を醸さないことを美徳とする大勢順応者によるエリート文化が蔓延
する西側主流メディアの現状を報告する。すでに信用を落としてしまっ
た世界の企業メディアがアサンジ訴追の動きに異議申し立てせず、見て
見ぬふりを続ければ、それは権力に奉仕するだけの“速記者”及び“伝
道者”に成り下がったことを認めたにも等しいと筆者の舌鋒は鋭く手厳
しい。(編集部)


■安全保障
イージス・アショアは脅威
米ミサイル防衛強化の一環
日本の軍拡への中露の視点

アンドレイ・アクロフ(元ロシア地上軍大佐、安全保障問題専門家)

 7月31日に開催された日露外務・防衛閣僚会合(2プラス2)でも
日本の「イージス・アショア」配備計画が物議をかもした。朝鮮半島の
非核化で合意した朝米首脳会談後も、北朝鮮(以下、朝鮮)の脅威に備
えるためだとの見解を繰り返したからだ。本稿は、今回の閣僚会合でロ
シア側が日本のイージス・アショア配備計画を米国がミサイル防衛の名
の下に進めている対ロ包囲網の一環であるとの認識を日本側に伝え、日
本が購入を進めている兵器体系と軍事技術力がロシアにどのような脅威
を与えているのか、そのために対抗手段を強いられているロシア側の基
本認識を詳述した報告である。軍人出身の筆者は、中露両国が、六ケ所
村に備蓄されている核弾頭6000発に匹敵するプルトニウムの存在、
ICBMに転用可能な長距離ミサイル技術、F15戦闘爆撃機などの既
存兵器に改良を加えるだけで日本が攻撃力を飛躍的に高めることが可能
だとの認識を共有していることを踏まえ、日本の軍備増強計画が日露両
国関係に暗雲を投げかけ、千島列島や平和条約に関し合意を達成しよう
とする取り組みを阻害していると警告する。(編集部)


■伊藤孝司『平壌日記』


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