人生の悲哀を象と共にちょっとおかしく/映画紹介『ポップ・アイ』 | |
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人生の悲哀を象と共にちょっとおかしく〜映画紹介『ポップ・アイ』笠原眞弓
タナーは、かつては花形建築家。大型商業施設を設計したのだが、それも取り壊すか、建築遺産として残すかが議論されている。新しい大きな仕事も2代目社長に当然のように外された。面白くないなァ。そんな時出会った象。そう、ここはタイである。まさか、フツウに象が街中を歩いているのか? その象は、飼い主に見世物として飼われているが少々お荷物のようだ。 運命の出会いだ。タナーは故郷を出る資金としてサーカスに売られた「ポパイ」と再会したのだ。その場で買い取るが妻に嫌われ、ポパイをかわいがってくれたおじさんに預けようとふるさとに連れて行くことに。会社にはやけ気味の「期間不明休暇」の電話をして、始まった1人と1頭の500キロの珍道中。 道中彼らを監視する警察官とのやり取り、ゲイのシンガーとの出会い……。霊感鋭いホームレスとそのかつての恋人に示すやさしさと漂う哀しさ。溢れ出すタナーの人柄は、彼の今の心理状況を物語るのか。ポパイを託そうと思っていたふるさとは、言葉の通じなくなった異郷に等しく、決定打は、ポパイはサーカスとして役立たなくなったから殺処分したと聞かされたこと。「役立たなくなった」象と彼は、自然保護区に向かう。 水浴びをするポパイ。昼寝をするタナーに日陰をつくるポパイ。だが彼(ポパイ)は、1人自然保護区への道を歩き出す……のだが……。 近代化に向かうバンコク、いやタイ全土で、とり残されていく「昔」。でもまだそれを受け入れる隙間は残っているようにも見えた。笑いながら励まされている私がいる。 シンガポール出身のカーステン・タン監督は長編第1作目を作るにあたり、タイ滞在中に出会った野良象からインスピレーションを得たという。野良象のいるタイって、どんな国なの!!! 運河に蓋をして作ったと聞く広い道路を駆け抜けていく数十台のオートバイを思い出しながら、興味は尽きない。 *2017年/シンガポール・タイ合作/102分/8月18日よりユーロスペースにて公開後、全国展開 Created by staff01. Last modified on 2018-08-21 11:50:07 Copyright: Default |