本文の先頭へ
『アジア記者クラブ通信』301号発行 〜特集:なぜメディアは戦争を阻止できないのか
Home 検索
『アジア記者クラブ通信』301号(12月・1月合併号)
〜特集:なぜメディアは戦争を阻止できないのか〜

タイトルとリードのみです。本文は、通信でお読みください。
全頁カラーのPDF版と紙版があります。購読方法はメール
末を参照願います。


■定例会リポート(2017年9月28日)
昭和天皇の戦争の何が消されたのか
『実録』の隠されたメッセージ
山田朗(明治大学教授)

 昭和天皇の言動を記録し、それを通じて当時の政治、社会、文化も浮かび上がる
『昭和天皇実録』の公刊が2015年3月に始まり、19年3月予定の完結が近づいてきた。
日清、日露戦争の明治時代から日本も参戦した第一次世界大戦の大正時代をはさみ、
昭和も日中戦争から太平洋戦争(第二次世界大戦)と戦争が続いた。明治憲法下で
戦われた日本の戦争にあって、開戦および終戦の判断をめぐる昭和天皇の関与度合
いについては長らく議論がなされてきた。こうした観点について『昭和天皇実録』
から何が読み取れるのか。「昭和天皇の戦争―『昭和天皇実録』に残されたこと・
消されたこと」などの著書があり、昭和天皇の軍事への関わりに詳しい山田朗・明
治大学教授にお話をうかがった。(編集部)


■マレーシア
「戦争を犯罪化する」
次世代への遺言となる
迫真のマハティール提言

マハティール・ビン・モハマド
第4代マレーシア首相(任期:1981−2003年)

 核兵器廃絶国際キャンペーン(ICAN)が2017年度のノーベル平和賞を受賞したこ
とは記憶に新しい。核兵器廃絶の提唱が普遍的に世界で受け入れられてきた一方で、
国連安保理がリビアへの武力行使を認めた例も含め、通常兵器を使用した戦争であ
れば許容されているかのごとく、世界中で頻発しているのが現状だ。本稿は、こう
した現状に2005年12月、マレーシアのマハティール元首相らが提唱した「戦争を犯
罪化するクアラルンプール宣言」が核廃絶への人類の努力と並ぶ普遍性と先駆性を
もつことに着目する。筆者は、サウジアラビアと同国を支援する米英両国のイエメ
ンへの軍事介入によってもたらされているジュノサイド(集団的大虐殺)を告発し、
民衆を襲っている飢餓状態やコレラの蔓延に救援の手を差し伸べるように世界に訴
えている。(編集部)


■EU
欧州民主主義のメッキ?る
ソロスリストに議員の3割
メディアのEU賛美続く

アレックス・ゴルカ(国防・外交アナリスト)

 大げさに称賛される欧州民主主義の仮面をはぐ事態が発生した。日本の経済紙誌
で投資家、慈善家としてもてはやされてきたハンガリー系米国人ジョージ・ソロス
が創設したオープン・ソサエティ財団の協力者リストが公開され、そこには欧州議
会議員の3分の1以上が名を連ね、ソロスの影響力の大きさを示したからだ。本稿は、
EU内に移民を割り当てるEU移民・内務総局のメンバーやロシア制裁を強行に唱える
ドイツ緑の党の欧州議会議員レベッカ・ハームスなど、彼らが移民政策と対露強行
路線でソロス個人の意を受けて行動している人物と一致していることを明らかにす
る。筆者は、欧州民主主義の実態を人民権力とはかけ離れた、権力を握る地方領主
からなる封建制度に似た権力構造にあると告発する。(編集部)


■経済・社会運動
民主主義を根絶やしにした                   
国家と企業が融合した権力                   
企業メディア堕落の起点に

リチャード・モーゼル(労働運動・平和運動活動家)

 米国では公民権運動やベトナム反戦運動が吹き荒れた1955年から1975年にかけて
の政治の時代が嘘のように企業権力全盛の時代が続いている。どのようにして大規
模な大衆運動や労働運動が米国では衰退の一途をたどったのか。本稿は、米国革命
へのリアクションとして、軍産複合体や金融資本が企業と国家の融合を進め、どの
ように企業権力が政治的優位を獲得し、権力と利益が一体化したのかを歴史的に検
証し、そのプロセスを明らかにする。筆者はこの過程において、代議制民主主義が
消滅し、選挙プロセスは企業に支配され、正義・司法を巨大な軍事刑罰制度に置き
換え、課税の回避や企業権力の負債を国民にツケ回した上で、民主主義の経済的基
盤を破壊するのを目的に企業権力が投機的ビジネスを操作してきた罪状を暴露する。
挙句の果ては、Facebook、Google、Twitterのようないわゆる民間企業が情報をコン
トロールし、米合衆国憲法修正第1条を管理しているのだと指摘する。この惨状は、
日本社会のミラーイメージでもある。筆者は、大衆が企業の在り方に口を挟み、民
主主義を再構築し、地球を守り、企業の独裁体制を打ち倒すべきであると説く。
(編集部)


■ベネズエラ
ポスト紙とプロパガンダ
情勢歪め米政権と一体化
捏造されるベネズエラ報道

アダム・ジョンソン(アナリスト)

 ニューヨーク・タイムズ紙と並んで米東海岸を代表する高級日刊紙の代名詞とし
て語られてきたワシントン・ポスト(WP)紙もニクソン大統領を辞任に追い込ん
だウォーターゲート事件報道は遠い昔の語り草となり、今や落ちるところまで落ち
てしまったようだ。本稿は、この1年にわたるWP紙のベネズエラ報道を検証し、
同紙の署名記事がどのように捏造を繰り返し、ベネズエラの政権転覆を公言してき
た米政権の翼賛報道を繰り広げてきたかを具体的に明らかにする。筆者は、捏造記
事の執筆者がプロパガンダ記事の常連記者であるだけでなく、WP紙にはトランプ
政権のPR担当が社内に駐在していることに触れた上で、ベネズエラに限らず、米
国務省に嫌われている国に情勢を歪める報道が集中している米メディアの翼賛状況
を指摘する。(編集部)


■北朝鮮
核戦争回避の選択肢は何か                   
中朝対立と日米の軍事圧力                   
北朝鮮巡り中米の緊張続く

趙通(トン・ジャオ)
カーネギー・清華グローバル政策センター研究員

 北朝鮮(以下、朝鮮)の核開発を巡る中朝両国の対立関係が抜き差しならぬ状態に
あることは誰の目から見ても明らかである。トランプ大統領は12月18日(米国時間)、
米国への脅威に対抗するためと称し、国防費を大幅に増額する国家安全保障戦略を
発表した。中露両国を米国に挑戦する「修正主義勢力」と決めつけた上で、中国に
は朝鮮への一層の圧力強化を要求している。本稿は、中韓国交正常化にともなう中
朝関係の悪化に、今回の朝鮮の核開発を巡って、国連安保理の対北制裁に中国が同
意したことが火に油を注ぐ結果になっている事態について、中国側の真意と、対北
制裁を巡って中米の解釈が対立している複雑な背景を分析した論考である。中国人
アナリストである筆者は、中国が対北制裁に踏み切った理由が、朝鮮の核開発が日
米の軍拡への口実を与えることを何より恐れたことにあり、中国が制裁に反発した
朝鮮の核の人質というジレンマに陥っていると指摘する。そうした袋小路から脱出
する道筋を模索し、中米の溝を埋め、核戦争を回避するための中米の共同戦略を筆
者は提示する。(編集部)


■北朝鮮
北の和平シグナルを逃すな
危機は外交で阻止できる
鍵握る“オリンピック停戦”

ジョルジ・トロラーヤ
ロシア科学アカデミー経済研究所
コリアン・プログラム・ディレクター

 朝鮮民主主義人民共和国(以下、朝鮮)の政府高官や専門家とのチャンネルを構
築し、絶えず意見交換を交わせる人物が日本にはいないのだろうか。本稿は、ロシ
ア人アナリストが朝鮮の核・弾道ミサイル開発を巡る複雑に絡み合った危機を外交
によって解決できるのか、その突破口を探ったヒューミント(人間を媒介した諜報・
情報分析活動)による分析である。筆者は、金正恩委員長が11月29日に行った「核
戦力の完成」宣言を「対話の準備ができた」という朝鮮側のシグナルだと指摘、核
戦争の危機を外交でまだ阻止できると断言する。実現可能な対話の一例として、来
春の米韓合同軍事演習を中止した上で、朝米韓3カ国による和平会談を開催し、朝
鮮のオリンピック参加も視野に、韓国・平昌で(2018年2月に)開催される冬季オリ
ンピックを絶好の緊張緩和の機会にすべきだと説く。(編集部)


■中国
キーワードから見る中共19回党大会報告の特徴
村田忠禧(横浜国立大学名誉教授)

 2018年は、1978年に日中平和友好条約が締結されてから40年にあたる。中国国
内では文化大革命が収束してから2年、改革開放政策に舵を切ることになった中共
11期3中全会から40年の区切りの年でもある。この間、中国のGDPは37倍となり、
世界第2位の経済大国になった。昨年秋の中国共産党大会では、建国100周年に向
けた発展計画が打ち出された一方で、解決すべき課題も山積していることが示さ
れた。日本では依然、大国となった中国の現実が受け入れられないのか、中国の
軍事脅威が煽られ、開発独裁批判、アジアインフラ投資銀行への不参加が語られ
ている。それらは現実に即した認識なのだろうか。中国研究者の村田忠禧さんに
中国がどこに向かうのか、解説していただいた。(編集部)     


■伊藤孝司『平壌日記』

■山崎久隆(たんぽぽ舎)の原発切抜帖

■トピックス たった一人の叛乱 
       エスぺランティスト、由比忠之進さん抗議の焼身自殺から50年


★★★購読方法(会員制です)

PDF版・単体(1部1000円)で購入可能です。
PDF版・年間購読すると1冊417円です。

年12回発行44頁/年会費
白黒の紙版で購読:10,000円
全頁カラーのPDF版で購読:5,000円
いずれかを選択していただきます。
1冊1000円で分売します。紙版は、送料100円。
郵便局の下記振込専用口座にお振込み願います。
加入者名:アジア記者クラブ/記号:00180-4-709267

★ご連絡:apc@cup.com


Created by staff01. Last modified on 2017-12-27 23:31:45 Copyright: Default

このページの先頭に戻る

レイバーネット日本 / このサイトに関する連絡は <staff@labornetjp.org> 宛にお願いします。 サイトの記事利用について