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『アジア記者クラブ通信』293号 〜特集:ガラパゴス化きわめる国際報道
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『アジア記者クラブ通信』293号
〜特集:ガラパゴス化きわめる国際報道

タイトルとリードのみです。本文は、通信でお読みください。
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末を参照願います。


■定例会リポート(2017年1月26日)
朝日赤報隊のwam「爆破予告」と日本社会 
歴史認識の否定が深めるアジアでの孤立

池田恵理子(アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館
(wam)館長・元NHKディレクター)

韓国の朴槿恵大統領が罷免の後に逮捕され、2015年末に結ばれた「慰
安婦」問題に関する日本との合意が次期大統領によって見直される可
能性が生じている。もともと被害に遭った女性たちの声を直接聞かず
に成立した日韓合意。日本では高い支持率を背景にした“1強”安倍
政権が「最終かつ不可逆的」な合意であることをタテに問題は決着し
たとして、あとは韓国側が慰安婦像の撤去に動くよう求めている。一
方の韓国側では、元「慰安婦」支援の基金に日本から10億円の拠出を
受けたものの、おわびの手紙の要望をはねつけた安倍晋三首相ら日本
側への不満が渦巻く。日本の大手メディアは政府の意向に沿った報道
がもっぱらで、1月に放送されたNHK「クローズアップ現代+」も
同様だった。こうした状況をどうみるか。NHK時代は「慰安婦」に
関連した番組を制作し、朝日赤報隊を名乗る者から爆破予告を受けた
wam(アクティブ・ミュージアム「女たちの戦争と平和資料館」)
の館長を務める池田恵理子さんにお話をうかがった。(編集部)


■放送倫理・番組向上機構(BPO)宛要望書
「クローズアップ現代+」(2017年1月24日放送)
「韓国 過熱する“少女像”問題 初めて語った元慰安婦」の偏向した
編集を正す審議を求める要望書


■プーチン悪魔化と新冷戦
全体主義求めるリベラル
貧富を問わず病む米国人

ジョン・ステップリンク(脚本家)

 米国の実態を「世界最大のならず者国家だ」と形容したのは言語学
者のノーム・チョムスキーである。本稿は、ロシアとの距離の近さが
魔女狩りの様相を呈している新冷戦下の米国で何が起きているのか、
白人リベラル層に顕著になっている全体主義志向、監視国家すら足下
に及ばない闇の国家権力の拡大、世界各地で軍事介入を続ける米国社
会の内情を明らかにする。筆者は、米国人の知識が基本的にテレビや
映画に依拠していると指摘する。ハリウッドは、CIAと米軍を称賛
する作品を際限なく制作してきた。黒人やマイノリティを敵視する警
察も英雄視して伝えてきた。その結果、情けないほど歴史や地理につ
いて無教養で、世界の出来事に無関心な米国人ばかりになってしまっ
たという。嘘や欺瞞をしつこく繰り返し、自分の頭で考えようとしな
い(趣味、娯楽といった)エンターテイメントにうつつを抜かしてい
る国民が目立つ米国に対して、筆者は米国の病的な戦争マシーンにス
トップをかけ、弱者や傷つきやすい人たちを保護し、快く自己満足し、
(世界の実状に関心を払わない)無頓着な暮らしへの決別を説く。
(編集部)


■南スーダン情勢と米戦略
戦火拡大は待ったなし
派遣自衛隊員に危機迫る

アンドリュー・コルプコ(政治アナリスト/ジャーナリスト)

 本稿は、ハイブリッド戦争という視点から南スーダンと中央アフリ
カ共和国とで構成する破綻国家ベルトの複雑な情勢を明快に分析した
最新リポートである。筆者は、世界の南スーダン・ウオッチャーたち
が、この国を取り巻く状況に関する十分な情報を収集せず、地域の状
況をまったく洞察していないと批判する。自己満足型の「リベラルな
人道主義者」が登場して、南スーダンの状況がいかに悲惨であるかを
くどくどと繰り返すだけでは問題の核心に迫れないと指摘する。筆者
は、米国とイスラエルが秘密裏に南スーダンを独立させた狙い、大量
の難民とそれに身を隠した反政府勢力を武器としながら「創造的な混
乱」をコントロールする米国の地域戦略を解き明かす。ドミノ型の不
安定化が地域で拡大すれば、米国の単独覇権期間は延長する。それが
最終目標だという。周辺国の軍事介入も含めて、南スーダン情勢の緊
迫度は沸点に達しようとしている。(編集部)


■存在しなかった7歳の少女
情報操作に不可欠なSM
シリア戦争と報道の責任

ソフィー・マンガル(フリーランス・ライター/インサイド・シリア
・メディアセンター所属)

 シリア政府軍が同国北部の要衝アレッポ市の奪還を目指して同市を
包囲した途端、7歳のシリア人を名乗る少女のツイートが一瞬にして
世界のネット空間を占拠し、シリア政府軍とロシア軍の“非人道ぶり”
を非難する役割を担ったことは記憶に新しい。日本でもNHKはじめ
民放各局は言うに及ばず、邦字各紙、ハフィントンポストなどネット
媒体でも悲劇のヒロインが大きく取り上げられてきた。本稿は、彗星
のごとく登場した少女が政府軍によるアレッポ解放で姿を消すまでの
ツイートを丹念に追いながら、実際にはありえないことが余りに見過
ごされていること、その矛盾の多さを具体的に指摘した検証記録であ
る。シリア人ジャーナリストである筆者は、解放後のアレッポ市に少
女と母親が存在したという証拠が皆無だと証言する。ツイートを受け
売りした既存メディアによるアサド政権批判のヒステリックな喧騒は
何だったのか。病巣は根深く、深刻である。(編集部)


■挑発しているのは誰か
金正恩殺害に特殊部隊
一線を越えた米韓両軍

タイラー・ダーデン(ZeroHedge blog 編集長)

 中国の王毅外相が何度も関係4カ国(米朝韓日)に軍事衝突に至る
危機を回避するように説いているように朝鮮半島での戦争の危機は
一触即発の状態にある。日米電話会談でトランプ大統領が米単独で
の軍事力の行使も選択肢にあると言及したことに安倍首相が支持し
たという発言を歓迎する空気が官邸や自衛隊にはある。既存メディ
アは例によって北朝鮮の脅威を煽り立てる拡声器の役割を果たし、
ブレーキが利かない状態だ。本稿は、4月から対北侵攻を想定した
米韓合同軍事演習の中核に金正恩委員長の殺害を目的とした特殊部
隊の作戦があることに注意を喚起する。米陸海軍の合同特殊部隊が
大規模な実戦に投入されたのは1983年にグレナダの社会主義政権を
打倒した奇襲作戦以来のことになる。筆者は、米韓の“瀬戸際政策”
が北朝鮮の核実験を誘発し、北東アジアに悲惨な事態をもたらす恐
れがあると警告する。(編集部)


■伊藤孝司『平壌日記』

■山崎久隆(たんぽぽ舎)の原発切抜帖

■書評:李 文求, 李 文求, 安 宇植, 安 宇植『冠村随筆(クァン
    チョンスピル)』(インパクト出版)


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