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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(12月14日)〜エリート育成にまい進する東京の教育
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●根津公子の都教委傍聴記(2017年12月14日)

エリート育成にまい進する東京の教育

 前回11月24日の定例会で「次回定例会は12月4日10時から」と予告していたのに、今回も総合会議を突然に入れてきて、午前中に総合会議、定例会は午後に繰り下げられた。小池ファーストなのだ。

■教育総合会議

 「これからの東京、日本を担う人材の育成〜都立高校の現状と課題〜」と題して、都立高校4校の校長がそれぞれの高校の取組を紹介し、質疑応答するといった流れ。報告を受けた教育委員や都知事の発言には怒りしか覚えない。
 「教育で大事なのは共生」(遠藤委員)、「グローバル化の中での人材育成には、自分の考えをしっかり伝えられるようにすること」(小池知事)という。どんなに陳情しても夜間定時制高校は潰し、朝鮮学校への補助金支給を停止し、「日の丸・君が代」を強制して国家の思想を刷り込む教育をしていながら、この発言。よくも、ことばに出せるものだ。

 「都立高校改革20年、金と人手がかかるが、多様性をつくっていく」(中井教育長)の「多様性」は、『エリート層』の人材しか頭にないということだ。「グローバル化」という国家・資本間競争と並行して「都立高校改革」が始まり、それまでは平等に配分されていた各学校の学校予算が、「底辺校」の予算を減らして「特別進学重点校」に加配し、夜間定時制の廃校も始めた。平等性担保を壊し、「共生」ではなく、差別選別・エリート育成を教育政策の柱としたのだった。それに加えて、全ての子どもたちに「愛国心」を植え付けようとしてきたのだ。
 「平均学力が下がらないようでは、これからの日本はどうにもならないということです。つまり、できん者はできんままで結構。戦後50年の落ちこぼれの底辺を上げることばかりに注いできた労力を、できるものを限りなく伸ばすことに振り向ける。百人に一人でいい、・・・限りなくできない非才、無才には、せめて実直な精神を養ってもらえばいい」(三浦朱門・元教育課程審議会会長2000年発言)、「経済的な格差・・・は、経済活力の源であり」「経済改革は愛国心とセットになって初めて成功する」(御手洗富士夫・元日本経団連会長2006年発言)の言葉通りに。

 総合教育会議が報告を求めたのは国際高校、多摩科学技術高校、白鴎高校・付属中、西高校の校長4人。どこもエリート育成を目指す高校ばかりだ。
・公立高校で初の国際バカロレアコースが開設された国際高校校長は、「多様性」を強調し、海外大学合格者数を誇る。「英語で授業ができる教員の確保・養成」が課題だと。
・工業高校から改編となった多摩科学技術高校校長は、理系に特化した進学型専門高校になって国公立大学合格者が増加したことを誇り、高校大学の一層の連携を強調した。一部生徒や教員が大学の研究室に通っているのだとのこと。これに対し、「都教委は大学に土曜授業や休業中の講義を働きかけていく」(中井教育長)と。教員養成大学に対しても、都教委は「東京都教職課程カリキュラム」(教員養成段階で大学が教えてほしいこと)を示しているが、どちらも越権行為ではないのか。
・「日本の伝統・文化理解教育」を掲げた白鴎高校・付属中校長は、「アイデンティティとダイバーシティ(多様性)」「異なる思想、異なる価値観」を「大事にする」と言葉きれいに言い、「中学卒業時には米スタンフォード大学へ研修旅行に行く」と言う。貧困家庭の子どもは「想定外」なのだろう。
・「進学指導重点校」の西高校校長は、「進学指導重点校」に指定される前との進学状況の比較をまず紹介。ここも、海外交流や理数研究に力を入れているとのこと。「高いレベル」のためには自己決定権を持つこと、と言う。

 以上のような報告の中、18歳選挙権を含め、政治的・社会的関心を持たせるという発言は、誰一人からもなかった。「共生」「多様性」「自己決定権」等々、実態と真逆のきれいな言葉を並べた発言に、気分が悪くなってしまう。誰のための総合教育会議だったのか。
 毎回そうだが、退室には順序・秩序があって、今回もまずは小池都知事とそのお付き、次に招かれた校長たち、その後が教育委員、傍聴者は最後だった。

■都教委定例会

 公開議案が 峺立学校職員の標準職務遂行能力を定める規則の一部を改正する規則の制定」、公開報告は◆崗学校教育の現状と今後のあり方検討委員会提言について」 「高校入学者選抜英語検査改善検討委員会報告書について」 ぁ崑茘挟『スポーツ特別強化校』の指定について」 ァ嶌G度教育委員会職員表彰について」。
 非公開議案には、教員の懲戒処分が3件。議案となっているから、停職以上の案件か。非公開報告には、「懲戒処分者数の推移及び服務事故防止に向けた主な取り組みについて」というのもあった。

 峺立学校職員の標準職務遂行能力を定める規則の一部を改正する規則の制定」
 「働き方改革やライフ・ワーク・バランス推進をさらに促すため」の改正とのこと。知事部局が改正したことに準じての改正で、今回は校長・副校長が対象。これまでの規則に「効率性の意識」「学校全体への目配り」「コンプライアンスを徹底した職場管理」を追加したとのこと。
 教員の試採用期間は1年間、1年が経過する時点で校長がゴーサインを出さないと本採用にはならない。その1年間に校長からいじめ・パワーハラスメントを受け、教組に駆け込んでくる事例をかなり耳にしてきた。この改正が、こうした校長のパワハラを止めさせるコンプライアンスになるだろうか。「効率が悪い」と更にパワハラを受けることにならないか。
 そもそも、こうした規則は不要で、害悪しかもたらさない。指示命令でではなく、思考し論議して仕事に当たることが必要なのだ。

「高校入学者選抜英語検査改善検討委員会報告書について」
 15日の東京新聞は「都立高入試 話せる改革」「スピーキング20年度にも導入」との見出しで大きく報じている(他紙もNHKも報道)。一般傍聴者が退出した後、報道関係者に対して細かな説明があったようだ。
 都立高入試の英語に、これまで実施していなかった話す能力を測るスピーキングテストを入れるのだという。都道府県教委が行うのは、全国初となるとのこと。
 ここ何年も採点ミス等が問題になっていたのに、採点者によっても違いが生じやすいスピーキングを導入していいのか。慎重な検討はなされてきたのか。

 ぁ崑茘挟『スポーツ特別強化校』の指定」も ァ嶌G度教育委員会職員表彰」も、止めてほしい。
 毎回の定例会にたくさんの施策や規則があがってくるが、それによってますます学校は子どもたちが安心して学び生活できる場ではなくなっている。小学校1年生入学時から差別選別のレールに乗せられている。
 事案の多さは担当者の業績評価アップのため?としか思えない。


Created by sasaki. Last modified on 2017-12-18 13:17:08 Copyright: Default

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