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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(7月27日)〜 道徳教科書採択、「教育出版」ではなかったけれど
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●根津公子の都教委傍聴記(2017年7月27日)

道徳教科書採択、「教育出版」ではなかったけれど

 公開議題は〕菁度使用の道徳教科書の採択 ◆峺立学校の校長・副校長及び教員としての資質の向上に関する指標」の策定についてほか。非公開議題に教員等の懲戒処分(議案、報告とも)と「いじめ防止対策推進法」第28条に基づく調査について(報告)があった。
 同条28条は、「重大事態」のいじめが発覚した場合に「設置者または学校は、…質問票の使用その他の適切な方法により当該重大事態に係る事実関係を明確にするための調査を行うものとする」と規定する。6月22日の定例会で「重大事態」のいじめについて非公開報告にあがっていたので、その件か。
 大杉教育委員が今月13日に辞任し空席になっていたが、案の定、中井教育長から説明はなかった。朝日新聞によると、「同大学によると、大杉氏は6月22日夜、都内の飲食店で酔った状態で面識のない客をたたき、トラブルになったという。大杉氏は大学に『記憶にないが、相手がそう言うなら否定できない』などと説明しているという。」

〕菁度使用の道徳教科書の採択(都立特別支援学校)

 私が都教委定例会を傍聴するようになって以来、教科書採択の投票に際し教育委員は申し合わせたように発言をしてこなかった。例外的に唯一発言があったのは、2015年7月の中学校教科書採択の際に乙武教育委員(当時)が「無記名投票」について質問したこと。
 ところが今日は3人から発言があった。「障がいがある子どもたちが使う教科書なので、3本の柱《人の役に立つ、人はそれぞれ違う=多様性、自分自身を高める》が入っているかがポイントだ」(遠藤教育委員)、「正解は数学のように唯一無二ではない。発問をどのようにしているかが大事」(宮崎教育委員)ほか。その後、無記名投票がされ、結果は次の通り。
  聴覚障害特別支援学校:全員一致により学研
  肢体不自由・病弱特別支援学校:全員一致により日文(日本文教出版)
  視聴覚障害特別支援学校:教出(点字教科書は教出しかないとの理由で)

 2冊ともに「全員一致」ということが偶然にもあるのだろうか。傍聴者にも配られた「調査研究資料」の他に教育委員だけに配られた資料があるのか、あるいは事前に秘密会議が開かれたのかと疑念を持ってしまう。都教委には過去に秘密会議を開いた前例があるので。
 日文6年生用には「東京オリンピック 国旗にこめられた思い」と題して、64年東京オリンピックで国旗作りを担当した吹浦忠正氏をとりあげる。これだけならまだしも、いや、これでも十分ぞっとするが、「正解」を強いるように3つの発問を投げかける。「日本の文化や伝統で、外国人に伝えたいものはありますか。」「2020年の東京オリンピック・パラリンピックに受けつがれる『思い』とは、どんな思いだろう。」「進んで他国の人と交流したりするには、どんな心をもつことがたいせつだろう。」と。オリンピックに関心がないとか、オリンピックなんて嫌だと思う子どもはいやーな時間を過ごさねばならないだろう。この教材に限ったことではないが、「正解」を求める発問が日文には多い。

 吹浦氏は「世界の国旗研究協会」会長で、「知っておきたい『日の丸』の話 : 国旗の常識・日本と世界」など、「国旗」に関する著書多数。日本会議と関係すると聞く。2020東京オリ・パラまでに江東区ではすべての小中学校が、都教委が進める「世界ともだちプロジェクト」の一環として国旗・国歌の授業をすると決め、今月20日にはトップバッターとして、江東区西大島中で吹浦氏が講演した。このことも、全員一致での日文採択に影響したのかもしれない。
 《学校現場の意見を十分尊重して採択すること、教育出版の道徳教科書は採択しないこと、教育委員会で請願趣旨を述べられるようにすること》を求めた請願が「つくる会」教科書採択を阻止する東京ネットワークから出されていたが、都教委は資料として入れただけで、「請願は事務局で対応してほしい」(中井教育長)と無視した。

公立学校の校長・副校長及び教員としての資質の向上に関する指標」の策定について

 都教委は「東京都教員人材育成基本方針」(2008年策定、2015年一部改正)を策定し、計画的に人材育成に取り組んできたが、「教育公務員特例法の一部を改正する法律」(文科省2016年11月)ができたことにより、改めて「指標」を策定したとのこと。「指標」には、職層(教諭、主任教諭、主幹教諭、副校長、校長)に応じて身につけるべき能力を事細かに羅列する。これをリーフレットにして学校及び教員養成大学に配るという。
 これについては教育委員から、「東京は徹底的にやってきた。文科省が指標を作れというのは、やっていない県があるからで、東京はすでにやってきたと言えないのか」、「これを読む教員がどれだけいるだろうか」(=読む気持ちが起きない)との意見が出され、人事部は言い訳のような返答をした。

 論議すべきはそれではない。都教委は9年も前に「人材育成基本方針」を策定し、「徹底的にやってきた」のに成果が出なかったのはなぜかを議論すべきなのだ。それを論議せずに、何度同じことをしても成果があらわれるはずはない。教育は教員たちの、そして教員と子どもたちとの協働の仕事なのに、都教委が学校に介入し、教員を分断し競争させて協働の仕事を破壊したことに気づかないかぎり、成果が出るはずはない。また、都教委が頭を悩ます、管理職受験希望者も新採用受験希望者も増えることはないし、刑事事件の括りに入るような犯罪・懲戒処分も後を絶たないだろう。


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