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LNJ Logo 心も民主主義も手放しません〜「明日の自由を守る若手弁護士の会」抗議声明
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「明日の自由を守る若手弁護士の会」が、6月16日、共謀罪法可決批判の声明を出しました。


 *写真=6.15国会前(レイバーネット編集部)

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心も民主主義も手放しません〜共謀罪成立と民主主義への冒涜に激怒するあすわか声明

 昨日、参議院本会議で、組織的犯罪処罰法改正案(=テロ等準備罪すなわち共謀罪法案)が可決・成立しました。

 まぎれもない戦後民主主義史上最悪の治安立法が、この国で生きる人の自由と民主主義社会に致命的な打撃を与えることについて。例えば、国連特別報告者が首相へ質問状を送り警鐘を鳴らしたこと自体が、すでにその危険の大きさを証明していますが、それに対する政府の猛烈な感情的な反応はまさに「逆ギレ」で、現政権特有の非論理的で強硬な気質が国内外に改めて知れ渡った、恥ずべき一幕でした。参議院での採決に際しては、法務委員会の採決すら省略して本会議に持ち込むという前代未聞の暴挙も、この国の民主主義を決定的に後退させる法案に「ふさわしい」企てでした。

 政府は言います。「適用対象は組織的犯罪集団だけなんだ、準備行為がなければ処罰されないんだ。」 けれど条文を見れば大きな抜け穴ばかりで、結局はどんなグループだろうが組織的犯罪集団と見なされ、どんなささい行為でも準備行為と見なされてしまう。あるいはこう主張し続けました。「一般市民が対象になることはあり得ない」。しかしずさんを極めた政府答弁は、むしろ私たちの懸念が正しいことを際立たせました。

 「私やあなたが、一般市民なのか、犯罪集団のメンバーなのかは、警察がまず監視してから判断する」。監視してみなければ、会話・メール・LINEのやりとりでの話し合い(共謀)の中身など分かるはずもないので、当たり前といえば当たり前でしょう。共謀罪の創設によって、やましいことをしていようがなかろうが、国民は全員監視対象になる。政府にも隠しきれない真実です。

 「とりあえず政治への文句は言わないでおこう」「無難なことしか言わないでおこう」 一人一人を萎縮させて、社会全体を「権力を批判できない」空気で飲み込む。自由にものが語れなくなれば民主主義は壊れます。自分の考えや心の中を知られない自由(内心の自由)を侵し、民主主義の息の根を止める。これが共謀罪の破壊力です。

 人は、人である以上、考え、感じ、怒り、疑問を持ったり、好奇心がわきます。自分の頭で考え、こころで感じたことを、自分の言葉で語り、書き、歌い、表現する。自分が、他の誰でもない唯一の自分でありえるのは、こういう瞬間があるからではないでしょうか。自分の足で立ち上がり、自分の言葉で語り始めた人たちの計り知れない力を、私たちは2015年夏に経験しました。その力は「ありえない」はずだった野党 共闘を実現させ、「ありえない」はずだった1人区での当選を勝ち取りました。デモクラシーを恐れ、敵視した現政権が、人と社会の萎縮を目指して共謀罪を急ピッチで作り上げたのは、ある意味必然です。そしてそれは、絶対に許せない必然です。

 「一般市民が対象になることはあり得ない」という政府の言葉に、どうしてもひっかかりを覚えます。特定秘密保護法案や安保法案、そして共謀罪法案。自由と民主主義社会をつぶしかねない法が強硬に作られ続けるたびに、現政権の「敵意」を感じてきました。それは自らの意思で立ち上がり、語る市民への敵意。民主主義というシステムへの敵意です。与党議員が特定秘密保護法案に反対する市民のアクションを「テロ」と表現したことを、忘れることはできません。

 自分の頭と心で考え、語ることを「普通ではない」「問題がある」というならば、果たして「一般市民」とは誰なのでしょうか? 権力の目に萎縮して、考えることを止める人のことでしょうか。あるいは権力の「ご意向」を「忖度」して、安穏と生きるためにあえて政府を擁護する人のこ とでしょうか。それが「普通の一般市民」だというのであれば、それは奴隷と何がちがうので しょうか。

 共謀罪(テロ等準備罪)が作られた今、「これからどうすればいいの」と震えるすべての方へ。

 どうか、けっして、萎縮しないで下さい。その震え、その不安こそが権力の狙いなのですから。私たちには自由にものを考え、表現する自由があります。心の中を誰にも覗かれない自由があります。憲法に違反する共謀罪のせいで、皆さんが自発的に自由を手放したら、永遠にこの国の民主主義は帰ってきません。一人ひとりが考え、表現し続けることは、「共謀罪」を運用させずに死文化させる大きな圧力になります。

 それから、万が一、おかしな政治に声を上げる市民が共謀罪で捜索されたり逮捕されたりしても、けっして「犯罪者」扱いしないでください。テロ等準備罪というまがまがしい名称で、「もの言う市民」を反社会的な存在かのようにレッテル貼りする手口に乗せられたら、排除を恐れてみんな考えることを止めてしまいます。自由に政治を批判してなにが悪い、という風を吹かせ続けましょう。

 国民の心を侵すことになんのためらいもなく、同法案に賛成した政府・与党、すべての国会議員を、私たちは忘れません。全身の血が沸くほどの怒りをもって、あなたたちを許しません。いくらでも濫用できる条文で「物言う市民」を恫喝する現政権に、民主主義国家の舵を取る資格はありません。落胆、やりきれない思い、徒労感。すべての重い気持ちで押しつぶされそうになっているすべての人へ。それでも希望はあるのです。あなたがその怒りを前向きなエネルギーに変えてくれる限り!

 私たちは「私らしさ」を手放したくありません。子どもたちの尊厳と自由も、穏やかな民主主義の社会も、手放すつもりはありません。自由を行使し続けることでしか、自由は守り抜けない――憲法が問いかける「不断の努力」の覚悟を、「彼ら」に見せつけましょう。

 私たちあすわか570名は法律家として、主権者として、「不断の努力」で共謀罪を廃止させることを誓います。

  2017年6月16日

 「明日の自由を守る若手弁護士の会」共同代表 神保大地 黒澤い つき


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