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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(2017/4/27)〜小中高教育一貫校の試験台に子どもたちを乗せたくない
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●根津公子の都教委傍聴記(2017年4月27日)

小中高教育一貫校の試験台に子どもたちを乗せたくない

 公開議題は議案が「都立学校設置条例の一部を改正する条例の立案依頼外1件について」(城北特別支援学校と南花畑特別支援学校を統合して開校するための改築工事に伴う仮校舎の一時移転に関すること等)。報告が 崚堽小中高一貫教育校教育内容等検討委員会報告書について」 ◆崑茖渦鷆飢瞥竸渊饒定審議会の答申について」 「高度IT利活用社会における今後の学校教育のあり方に関する有識者会議の設置について」 ぁ嵳菁度都公立学校教育管理職選考及び主任教諭選考の実施について」 ァ嶌鯒度指導力不足教員の指導の改善の程度に関する認定等及び昨年度条件附採用教員の任用について」。非公開議題は新年度が始まったばかりで、「校長の任命について」、非公開報告は教員の懲戒処分について。 3報告について以下、報告します。

 崚堽小中高一貫教育校教育内容等検討委員会報告書について」

 都教委は2013年に「都立小中高一貫教育校基本構想検討委員会」を設置し、その報告を受けて2016年2月、立川国際中等教育学校に附属小学校を設置し、小中高一貫教育校とすることを決め、この程、報告書をまとめたという。その報告書は、「公立では全国初の取組となる小中高教育一貫校の開校にあたって、都教委が本報告書を参考に、さらに具体的な教育課程等の準備を進めていくことを期待する。」と言い、次のような内容を示す。

●学校規模等:小学校は各学年80人 中等教育学校は各学年160人
  募集時期は第1学年及び第7学年。海外帰国児童・生徒及び在京外国人児童・生徒を特別枠で募集 開校は2022年度
●教育理念は「児童・生徒一人一人の資質や能力を最大限に伸長させるとともに、豊かな国際感覚を養い、世界で活躍し貢献できる人間を育成する。」
●教育課程編成の考え方は、
・12年間を一体として捉え、柔軟な教育課程を編成する。
・論理的な思考や表現力を鍛えるため、国語教育の重視
・高い語学力を身に付けさせるため、英語教育の重視
(外国語の授業時間数は学習指導要領では小学校210時間、中学校420時間のところ、この学校では小学校が836時間、中学校が840時間。1年生から英語が入り、中学校では第二外国語を選択必修。英語村(TOKYO GLOBAL GATEWAY)体験学習、海外姉妹校訪問(6学年)、英語合宿(8学年)、夏季短期留学(9学年)、海外研修旅行(11学年)等もある)
・アイデンティティ確立のため、日本や世界の歴史、日本の伝統
・文化や異文化理解の学習の推進
・異学年交流、特別支援学校等との交流や国際交流等により、多様な価値観の受容と社会参画意識の向上
・企業や大学との連携した学習活動により、世界で活躍しようとする意欲の向上
●応募資格は、第1学年では通学時間が50分程度までの区市町村名を都教委が指定する。中等教育学校は現行通り、全域。

 第1学年の入学者決定については、3段階を踏む。応募者が80人を超えた場合に第1次で抽選を実施。第1次通過者を対象に、第2次で適性検査を実施。適性検査は学力を問わないものとし、学校が必要と考える一定の資質や能力を持つもの全員を通過者とする。第2次通過者を対象に抽選を実施し、入学者を決定する。
 附属小学校から中等教育学校への進学については、本人の日常の成績等を基に、学校が進学者を決定する。
 一部エリートの育成にばかり、都教委は意欲を示す。報告を聞いていて辟易し、恐ろしくも思った。
 莫大の都教育予算を投じて教育産業に市場を提供してつくる英語村(TOKYO GLOBAL GATEWAY)。ここを利用するのは、やはり、この学校のような英語教育を重視し、保護者が使用料を払える学校・個人なのだろうと、東京の子どもたちが広く利用することは無理と、報告を聞きながら思った。
 この学校は英語(外国語)教育に見られるように、「柔軟な教育課程を編成する」という。学習指導要領に沿った教育課程ではないのだ。私は学習指導要領に沿わなければいけないとは考えないが、都教委は「君が代」不起立や都教委が好まない授業をした際の処分・注意の根拠に、必ず学習指導要領を持ち出す。なのに、この小中高一貫教育校については、「教育課程の特例校で、学習指導要領に乗らない(学習指導要領を逸脱できる特別枠)」と言明した。この矛盾について、都教委は説明すべきだ。
 最も心配なのは、この教育課程では、「高い語学力」につまずいてしまう子どもが出るのではないか、その際にその子は立ち直ることができるだろうか。都教委・学校の期待に応えられなかった子どもたちは学年の進級とともに切り捨てられることになるのではないかということ。その子どもたちは生涯、劣等感を引きずりながら生きていかねばならない。6年生から7年生に進級するのは本人の選択ではなく、学校の決定というのも残酷。「公立では全国初の取組となる都立小中高教育一貫校」の試験台に子どもたちを乗せたくない、と強く思う。

◆嵳菁度都公立学校教育管理職選考及び主任教諭選考の実施について」

 教育管理職、とりわけ副校長のなり手がいないことから、受験者数の拡大を図るため、B選考においてこれまでの主幹教諭に加え主任教諭歴2年以上も有資格者とするなどの「改正」をしたとの報告。主任教諭には女性が多いことから、女性管理職の「登用」にも道を拓くという。
 A選考(若手「登用」。合格後、指導主事等を(5年間?:説明がなかった)経験し、副校長になる)、B選考(中堅「登用」。合格後、在職する学校で2年間力を磨いた後、副校長になる)、C選考(ベテラン「登用」。合格後、すぐに副校長になる)の3選考があり、来年度合格予定者数はA選考が120人、B選考が415人、C選考が64人とのこと。
 この「改正」で、副校長(やがては校長も)不足は解消するだろうか。

「昨年度条件附採用教員の任用について」

 教員は他の公務員とは異なり、条件附採用期間は1年。昨年4月に条件附採用となった教員2817人のうち、正式採用となった者は2742人、正式採用とならなかった者は75人(2、7%)。採用とならなかった者の内訳はア.年度途中の自主退職者等が67人(うち、病気が24人)、イ.懲戒免職等が1人、ウ.正式採用「不可」の者が7人(指導力不足)。正式採用「不可」とされた7人は自主退職をした。したがって、(自主退職に応じずに)都教委が免職にした者は0人との報告だった。
 条件附採用1年後に、正式採用されない教員が毎年2〜3%出されている。昨年度正式採用とならなかった75人に対して校長からどのような「指導」があったかは不明だが、これまでは校長の「指導」に多々問題があることも耳にしている。過去には、「教員には向いていない。線路に飛び込んだらどうだ」と言われたという人もいる。正式採用「不可」とされ免職にされた教員が裁判で勝訴し、職場復帰した事例もある。都教委はこうしたことを踏まえ、校長の下した評価に対し、丁寧な調査(当事者からの聞き取り等)をしたのであろうか。非常に疑問が残る。
 校長や周りの教員の助けがあったなら、教員を続けることができたという人は多いのではなかろうか。人が育つのではなく人を殺す環境は、当事者だけの問題ではなく、社会全体をギスギスさせる。学校では、子どもたちがこの事実を見ているのだ。


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