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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(2/23) : 失敗に学ばない新たな施策を次々と
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●根津公子の都教委傍聴記(2017年2月23日)

失敗に学ばない新たな施策を次々と

 公開議題は議案が「東京都指定文化財の指定について」、報告が 崗Χ閥軌藐‘ぐ儖会報告書と今後の商業教育の方向性について」 ◆崚豕都におけるチームとしての学校の在り方検討委員会報告書について」 「来年度教育庁主要施策について」。 非公開議題はいつものように議案も報告も「教員の懲戒処分について」。議案にするのは停職・免職事案、報告にするのは戒告・減給処分事案のようだ。「ようだ」としたのは、このことについて私は都教委に何度か質問し説明を求めたが説明をしてもらえず、条文を読んで判断したからである。

 崗Χ閥軌藐‘ぐ儖会報告書と今後の商業教育の方向性について」

 学識経験者や産業界の代表などからなる商業教育検討委員会が昨年1月から4回の検討を経て出したもの。現行の商業科では資格取得、検定合格等に向けた授業が中心だが、実際のビジネス活動の体験や企業・商店街との連携強化が産業界や保護者のニーズであり、それに応える商業教育の改革をするのだという。都立高校改革推進計画・新実施計画の一環である。具体的取組の一つは、都独自の補助教材「東京のビジネス」(2016年度作成)を使用する科目「ビジネス基礎」及び、都独自の学校設定科目「ビジネスアイデア」を全日制の必修科目とする。2017度は芝商業高校で試行し、2018年度から全商業高校で実施するという。教員の研修は2017年度から2020年まで4年間続く。これで商業高校がよみがえるとはとても思われない。偏差値で商業科、工業科等をつくっていることをそのままにして、「改革」はあり得ないのではないか。

◆崚豕都におけるチームとしての学校の在り方検討委員会報告書について」

 報告書は「これまでの学校体制」について、次のようにいう。
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○ 我が国の学校は、明治期の学制発布以来の民主的かつ平等の名の下に、同じ学校の教職員は、管理職も教員も、その経験や力量、職責や職務内容の違いにかかわらず、対等な立場で学校運営に携わるべきだという考えの下に運営がなされ、そうした考えによる運営を当たり前とする、学校独自の慣習、いわゆる「学校文化」が根付いていた。
○ また、学校の構成員のほとんどが教員であり、学校の意思決定も教員を中心に行われてきた。
○ このため、東京都における「主任制度に関する検討委員会最終報告(平成 14 年1月)」では、三つの学校運営上の問題点が指摘されている。第一に、意思決定のシステムが十分機能していないこと、第二に、教職員間に「横並び意識」が存在していること、第三に、学校がいわゆる「鍋蓋型組織」 になっていることであった。
○ このような状況においては、校長の学校経営方針が教員に十分に浸透せず、教員一人一人が熱心に教育活動に取り組んでも、それぞれの力が統一されずに、学校全体の教育力として高まりにくい状況となっていた。
○ こうした課題に対応するため、平成 20 年度には学校教育法の改正が行われ、新たな職として「副校長」と「主幹教諭」が設置された。この改正のねらいは、学校の組織対応力を高め、課題解決や校務運営を校長・副校長を中心に、主幹教諭が副校長などを補佐しながら、学校運営を進めていく体制づくりにあった。
○ また、子供をめぐる様々な教育課題については、教員の子供に対する熱意と、研修や能力開発により、それぞれが専門以外の知識・技術を身に付けて「多能化」することで解決を図ってきた。
○ 本来「教員免許」を持つ専門職であるはずの教員が、教員免許を持たずともできる業務まで請け負ってきたが、社会が大きく変化し、子供をめぐる課題が複雑化・多様化していくのに伴い、教員の「多能化」には限界が生じ、本来の業務である授業や学習活動に費やす時間が十分に確保できない状況となった。
○ こうした中で、専門家を学校に取り込んでいくこととなり、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカーなど、様々な専門家を学校に導入している現状はあるものの、教員との連携が十分とは言えない状況も散見される。
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 この報告も昨年6月から12月まで7回の検討委員会(学識経験者3名+学校関係者3名で構成)を経て出されたもの。文科省に並行して、都教委はこれを先取り実施する。チーム学校とは、教員を中心とした学校組織から、「教職員が多様な専門人材と連携・協働しながら対応していく新しい学校観」への転換であり、その実現に当たっては、「教員の多能化による組織運営」から「多様な人材との協働による組織運営」へと学校の組織文化の転換が不可欠だという。これまでに都教委は「校長や副校長・教頭に業務が集中する『鍋蓋型組織』の弊害を打破し、職層に応じた業務分担ができる『ピラミッド型組織』に変換を図った」と評価した上で、校長のリーダーシップのもと、チーム学校の実現のためのマネジメント力を強化するのだと言う。「ピラミッド型」学校運営が、子どもの学びの場である学校を、都教委の考えを刷り込む場に化してしまったのに、平然とこう言いのける検討委員会なのだ。

 そしてチーム学校を実現するために早急に取り組むべきこと4点を挙げる。 注:(  )内は筆者の言
 1.学校マネジメントの強化=副校長を支援する人材を、非常勤職員で新たに配置する。
 2.小・中学校事務職の1校1人配置を止め、共同実施を進める。「チェック機能を働かす」ため(というが、人員削減でしかない)。
 3.教員と専門人材の役割分担と連携=部活動指導における外部指導員の活用。
 4.地域との連携=地域の組織をまとめるコーディネーターの育成支援や地域との窓口となる教員などの育成(さらに忙しさを増すだろうことは必至)。

 報告を受けて遠藤教育委員が「地域」について、「地域の父兄(ママ)がサポートするのに、片や、学区自由・学校選択制では、地域はいつまでもお題目だけと私は考える」と、いつもの持論を発言したが、今日もこの一言発言で終わってしまった。この点だけでも徹底的に論議したら、都教委の施策の誤りや矛盾が明らかになるだろうに、そうはしない。一言が報酬分?なのか。論議し、問題点を明らかにすることが教育委員の仕事であることを自覚してほしいものだ。

 部活動の外部指導員についてはかなり以前に導入したが、指導手当も少なく、頓挫した。スクールカウンセラーを配置したのに、今年のいじめ調査で、いじめは減少しなかった。11月10日の定例会で担当者は、「教員とスクールカウンセラーが連携して対応した事例のうち、効果が見られた事例の割合が、どういうわけか過去2年間よりも減少した」と不可解そうに報告した。大勢の目で子どもを見守る、相談に乗る、と言えば聞こえはいいが、子どもにとっては“たらい回し”と映るのではないか。その子が最も信頼できる教員・大人がじっくりとかかわってはじめて、子どもは心を開くのだ。こうした失敗に学んでいない「報告と今後の取り組み」である。

「来年度教育庁主要施策について」

 東京都教育ビジョン(第3次・一部改訂)をもとに、来年度都教委が重点的に取り組む施策を出した。「知」「徳「体」「オリンピック・パラリンピック教育」「学校」「家庭」「地域・社会」の7つの柱に10の取り組みの方向をあげる。そのいくつかを紹介する。
 ア.10区市を学力ステップアップ推進地域として指定し、小・中学校の算数・数学及び理科における教員の指導力向上、児童生徒の基礎学力の定着を図る。
 イ.基礎学力の定着が十分でない生徒に対し、「校内寺子屋」を都立高校10校で実施する。あわせて、生徒が明確な目標を持ち、進路実現に努力できるよう支援するため、「東京リ・スタディ(仮称)」を作成し、それを活用した「ゆめナビプロジェクト」を実施する。
 ウ.小学校英語教科化の先行実施に向け、英語教育推進リーダーを配置(来年度は76名)している10地区を「英語教育推進地域」として継続指定。
他に、道徳授業地区公開講座の改善・充実を図る 良識ある公民として必要な主権者教育  防災への高い使命感、奉仕の精神を併せ持った防災リーダー育成のため「合同防災キャンプ」の実施  教員が研修履歴を確認できる「マイ・キャリア・ノート」の導入 等々。
 子どもも教員も一層都教委に管理されるのは間違いない。 


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