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LNJ Logo 根津公子の都教委傍聴記(10/27) : 副校長のなり手がいない東京都
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●根津公子の都教委傍聴記(2016年10月27日・都教委定例会及び第1回東京都総合教育会議)

副校長のなり手がいない東京都

 定例会の冒頭、木村教育委員退任に伴い、中井教育長は教育長職務代理者を遠藤教育委員に選任したと発表した。木村教育委員の後任は秋山千枝子氏(医学博士)。定例会の公開議題は議案が/並区学校教育職員の教育管理職選考及び四級職(主幹教諭・指導教諭)選考に係る事務の受託の議案提出依頼について、報告が教育支援センター(適応指導教室)等充実方策検討委員会(中間のまとめ)について、E豕都におけるチームとしての学校の在り方検討委員会(中間まとめ)について。

/並区学校教育職員の教育管理職選考及び四級職(主幹教諭・指導教諭)選考に係る事務の受託の議案提出依頼について

 山田宏区長時代に杉並区は民間校長(藤原校長、代田校長)を和田中校長に抜擢し(2003〜2013年)、また、師範塾を立ち上げ、杉並区独自採用の杉並区学校教職員を採用した(2003年〜2008年)。区長が替わって現在はどちらも廃止になったが、採用した杉並区学校教職員は現在もこの職にあるわけで、杉並区はこの教職員が、都教委の行う昇進試験を受験させてほしいと選考の事務委託を都教委に依頼。それを受けての議案で、遠藤委員は「経済同友会として師範塾発足に係り、研修を担当した者として喜ばしい」と言った。 しかし、杉並区学校教職員に採用された120人のうち、すでに28人が職を去ったという。山田区長時代に華々しく立ち上げた教育施策が、どれも失敗に帰したという証しだろう。その総括を、杉並区教委もそれを認可した都教委もはじめに示すべきと思う。

教育支援センター(適応指導教室)等充実方策検討委員会(中間のまとめ)について

 昨年度の「不登校・中途退学対策検討委員会」報告や国の動向等を踏まえて今年5月に発足した委員会の中間まとめの報告。来年(今年度)1〜2月に、検討した最終報告を都教委に提言するという。不登校児童・生徒が在籍校へ復帰することを目的とした施設は2つあり、一つが教育支援センター(現在51区市町村に76教室、生徒の自習を教員が支援)で、もう一つが教育課程特例校。八王子の高尾山学校がそれである。前者における効果的な指導内容・体制、施設整備や後者の取り組みを広げるための方策を検討しているとのこと。

 教育支援センターに登録している児童・生徒は不登校児童・生徒の2割、うち2割が在籍校に復帰するのが実態とのこと。教育支援センターの体制について、「非常勤職員が多く、質の問題がある」(大杉教育委員)というが、経費削減のために非常勤職員を配置しているのは都や区市町村だ。エリート層には金をふんだんに使うが、ここには金をかけない都教委の姿勢がよく見える。

 しかし、この施策も、子どもたちを分けることを前提とした施策である。分けることでは、不登校の問題解決にはならないのではないか。学校に行けなくなったことで自分を責めるのではなく、一時休止も一時避難も認め合う、また、障がいを持っているからと特別支援学校に分けるのではなく、「健常児」とともに学び合う、そうした個を認め合う学校社会にすることが、問題解決への道ではないのかと思うのだ。

E豕都におけるチームとしての学校の在り方検討委員会(中間まとめ)について

 これも国の動きに合わせての検討委員会中間まとめ報の報告。今年6月から検討を始めて、来年(今年度)1月に最終報告を出す予定という。「チーム学校」が求められる背景には、多様化する教育課題(いじめ、不登校、貧困)や教員の多忙化があるとのことで、「チーム学校」とは、学校組織をこれまでの教員を中心としたものから、教職員が多様な専門家と連携・協働しながら対応していく学校に変えるというものという。そのため、校長・副校長には多様な人材をマネジメントする力を、教職員委は多様な人材と協働して課題に対応する力を、多様な人材にはチームの一員として能動的に活動する意識を持ってもらうという。多様な人材とは、スクールカウンセラーやスクールソーシャルワーカー、地域(地域住民や保護者)の学校支援ボランティアを指す。

 報告を受けて、新任の秋山教育委員は「医療分野では多職種連携がすでに始まっていて問題もある。役割分担が役割分断になってしまう」と発言。まさにその危険大と思う。「チーム学校」を機能させるために「多様な人材」のマネジメントを副校長が負わされれば、副校長の仕事負担はさらに増すこと必至。わかりきったことと思う。

 中井教育長は教員の多忙化に関連して、「副校長のなり手がいない。質の低下も起きる」と発言した。10・23通達・『君が代』不起立処分を始めた2003年以降、副校長受験倍率はぐっと落ち、この10年間ずっと1,1倍の現実は、都教委の施策の失敗を示すもの。失敗を失敗と認め、白紙に戻すことからしか、再出発はできない。都教委が10・23通達を撤回し、学校・職員会議に決定権を戻せば、副校長の確保も以前のように戻るのではないか(職階性に私は反対だが)。副校長も含め、教員の多忙化を言うならば、都教委は必要のない書類の作成・提出を教職員に課すのもやめることだ。子どもたちが教員と過ごす時間を戻すことだ。

 教員一人当たりの児童・生徒数の国際比較は日本の教員の負担が多いことを示す(OECD加盟平均は初等教育で16,6人、前期中等教育で14,4人。日本は初等教育で20,3人、初等中等教育で16,2人。文科省2004年調査)。また、部活動などが日本では教員にかかっていることも多忙化の要因だ。「チーム学校」などやめて、教育にお金を回し正規教員を増やせば、解決する問題なのだ。 教員の多忙化解消にこじつけて、「地域有力者」による教員監視のシステムをつくろうとしているのではないのかと、うがった見方さえしてしまう。いつもながら、怒りと徒労感ばかりが残る。

学習発表会を見ているような東京都総合教育会議

 午後は、小池都知事になって初めての東京都総合教育会議。13時30分開始というのに、12時40分で受け付け終了、その後、手荷物検査をされ待機させられ、荷物を置かされ、たったの16人というのに2列に並ばされて会場に入る。それは昨年の舛添都知事のときも同じだったけれど。

 議題は「東京教育施策大綱骨子(案)〜東京の輝く未来を創造する教育の実現に向けて〜」について。昨年は骨子案が配られただけだったが、今回は教育施策の現状と課題を示すデータ集が添付されていた。知事はあいさつの中で、「事務局に大綱骨子案を用意させた」と言ったが、データ集は事務方の発案か、小池都知事の発案か。

 会議は台本が都知事と各教育委員・教育長に配られていて、その台本通りに演じた学習発表会のようだった。はじめに知事が原稿を読み上げて挨拶をしたのが傍聴席からよく見えて、こんなものなのかと思っていたら、傍聴席から顔の見える教育委員がやはり台本(原稿)を読み上げていた。そうやってほかの教育委員を観察すると、どうもみんな同じようだった。傍聴席からは後姿しか見えない教育委員の目元は確認できなかったけれど。

 遠藤教育委員が「学校、家庭、地域が一体となった防災教育の推進」の項で、何度か聞いた持論を展開したのを聞いていて、発言内容をあらかじめ教育委員が提出し、それに対し知事が回答を用意して台本にしたのだと思った。遠藤委員の発言は、「地震の阪神大震災の体験から、学校選択制は学校と地域が一体となった防災を形骸化する」というもの。ちなみに、それに対する都知事の回答は、「地域の絆と防災、考えていきたい」という学校選択制についての回答は避けた、あやふやな回答であった。遠藤委員には、一言の発言で終わりにするのではなく、この持論を徹底した論議に持ち込む姿勢を見せてほしいものだ。それが責任ある仕事ではないのか。

 パブリックコメントを受け付けて、次回は大綱案を示すということだ。知事がおつきの人に伴われて退室し、続いて教育委員が退出、傍聴者はそれが済むまで着席のままだった。これも、舛添都知事のときと同じに。


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