ワークショップで日本のたたかい伝える〜2000人超が集まったレイバーノーツ大会 | |||||||
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ワークショップで日本のたたかい伝える〜2000人超が集まったレイバーノーツ大会大椿裕子(日本参加団・大阪教育合同労組執行委員長)4月1日〜3日にわたり、シカゴの Hyatt Regency O’Hare にてレイバーノーツ大会が開催されました。アメリカの労働運動の再生と活性化を支えている運動団体のひとつにレイバーノーツがあります。1979年に創設され、月刊雑誌「レイバー・ノーツ」を発行する労働者教育団体であり、各産別労組、ローカル労組を下から変革していく全国の活動家の結集体でもあります。そして2年に1回、このレイバーノーツ大会を開催し、2000人を超える活動家が、全米そして世界から結集します。今回は日本から約20名が参加しました。(写真上=日本からの参加者) レイバーノーツ大会は、数多くのワークショップが企画されており、参加者はそれぞれ関心のあるワークショップに参加しました。 4月1日、日本から参加した私たちは、Organizing for Labor and Human Rights in Japanと題し、ワークショップを行いました。まず、全労連国際局長の布施恵輔さんが日本の労働組合運動の背景を説明しました。そして、大阪から参加したなにわユニオンの中村研さんが、若年労働者と非正規化について話をしました。 労働運動だけではなく、3.11以降、若者を中心に誕生した反原発運動や戦争法反対運動の様子についても、写真を見せながら紹介しました。次に、全印総連並びに首都圏青年ユニオンの大久保なつみさんと、全石油昭和シェル労組の柚木康子さんが、女性労働者と賃金差別について話をしました。 最後に、「職業差別との闘い」と題し、東京清掃労組の押田五郎さんが、清掃労働者に向けられてきた差別との闘いの歴史、そしてインドやミャンマーの清掃労働者との交流について話をしました。参加者からは「最近の日本の労働者を取り巻く状況を知ることができた」との感想を受けました。その言葉を受け、90年代〜2000年代に至る日本の労働運動の動きや、労働環境の激変について知られていないことを痛感し、伝えていく必要性を実感しました。 ワークショップ終了後、参加者には、柚木さんが書いた書道をお土産に手渡し、大変喜ばれました。 2日目からは、参加者がそれぞれに関心を持つワークショップに参加しました。教員のワークショップでは、韓国、カナダ、フランスの教員が、それぞれの現場での闘いを報告しました。日本からも発言する時間が与えられ、憲法9条改正に向けたこの間の劇的な変化が、歴史修正主義の教科書採択、18歳選挙権により教師に求められる政治的中立性という名の管理監視強化、朝鮮学校の補助金カットにつながっていることなどを話しました。集団的自衛権行使や辺野古新基地建設のことにも触れ、「教え子を戦場に行かせないという一点で、私たちは連帯しましょう」と訴えました。 また、教員のミーティングにも参加しました。会場は溢れんばかりの人たちでした。議論の中心は、闘わない執行部から闘う労働運動をどのようにして取り戻すかというものでした。議論が白熱している様子を見ながら、ここに参加している人たち(多くはアメリカ人)は、自分たちの教え子や、教育から疎外されてきた子どもたちが戦場に行き、誰かを殺し、自らも戦場で死に、生きて帰ってきてもPTSDに苦しみ、自死しているという現状をどう考えているのか尋ねてみたくなりました。教え子を戦場に行かせないために、立ち上がる教職員組合はどれくらいあるのでしょうか。次回はぜひ、反戦運動と労働運動というテーマのワークショップが企画されることを望みます。 労働組合以外の方法で、いかに職場を組織化していくかを考えるワークショップでは、主にワーカーズセンターの取り組みについて報告が行われました。メキシコの報告者が、寸劇を交えながら、ワーカーズセンターの役割をわかりやすく伝えてくれました。 同性婚が認められて以降のLGBTQ(レズビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー・クイア)運動について、小さなグループを作り意見を交わしました。ファシリテーターが、「あなたが社会的正義のために最初に立ち上がったのはいつ?」という質問を参加者に投げかけました。運動を広げていくための技術的な話に終始するのではなく、なぜ私たちが社会的な運動に関わるのか、その原点を見つめ直す機会を与えてくれたワークショップでした。 この他にも、黒人の生存権に関する運動について、TPP問題、中国でのストライキについて、組織化のためにSNSをどう活用するか、バーニー・サンダースを大統領にするために労働組合は何ができるかなど、ワークショップは多岐にわたりました。 3日目の早朝は、東アジアからの参加者でミーティングを行いました。日本、韓国、中国からの参加者が、円になり意見を交わしました。そこで見えてきたのは、中国で社会的な運動を行うことの難しさでした。今回も、参加者の1人が出国を認められなかったとのことでした。「わざわざ海外に出掛け交流の機会を持つことが、私たちにとって本当に良いことなのか」という問いかけの背景にある中国の厳しい状況を、真剣に受け止めなければなりません。 そして、Labor Confronts U.S.Interventionと題したワークショップで、沖縄統一連事務局長の瀬長和男さんが、米軍基地を抱える沖縄の状況について報告を行いました。コロンビアからのスピーカーは、多国籍企業を守るために米軍基地が機能し、反対の声を上げる労働組合の活動家たちが弾圧されている状況について報告が行われました。中南米では、労働組合の活動家が殺害されることも珍しくありません。その状況を知り、改めて憲法28条の重みと、弾圧と闘いここまでの道のりを築いてくれた労働運動の先輩達への畏敬の念が湧いてきました。 また、今回、沖縄の闘いの様子を映像で見せることができなかったことを、大変残念に思いました。海外の人々に日本の労働運動に関心を持ってもらうためにも、プレゼンテーションの仕方を学ぶことの必要性を感じました。 レイバーノーツ終了後、シカゴ中心地の公園で、レイバーノーツの振り返りを行いました。あっという間の3日間でしたが、アメリカをはじめ世界の活動家たちと出会い、多くの刺激と連帯を感じることができました。2年後には、今度はあなたが参加してみてください。 *レイバーネットTV第103号放送(5/11)でレイバーノーツ大会報告を特集します。放送サイト Created by staff01. Last modified on 2016-04-22 11:55:00 Copyright: Default |