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東アジアのヤスクニズム展第2日目・芸術表現と権力を考えるトークイベント

2日目の今日も、猛暑にもかかわらず、多くの方にご来場いただきました。

今回、連作《遠近を抱えて》(全14点)光州ビエンナーレ抗議作新バージョンを初公開の 大浦信行さん(芸術家、映画監督)の映画『靖国・地霊・天皇』を上映しました。

連作《遠近を抱えて》(全14点)は、1986年、富山県立近代美術館「'86富山の美術」展 で、県議会議員らの突き上げによる図録の非公開決定、作品売却、図録も焼却された作品 であり、さらに、2009年には沖縄県立博物館・美術館の「アトミックサンシャインの中へ in沖縄」展で展示不許可になった作品です。

 そして、2014年、光州ビエンナーレ20周年の特別展で《セウォル五月》(洪成潭と視覚 媒体研究所の共同制作)が、「直接的な政治批判」という理由で展示を拒否されました。 同展に招待されていた大浦さんは、すぐに抗議を表明、さらに抗議の展示を手がけるため 光州にかけつけました。9月13日、すでに展示されていた作品14点の額をはずし、朝鮮語 ・英語・日本語で「洪成潭氏の作品への検閲に強く抗議する」と書かれた紙の端をろうそ くの火で燃やし、それらの紙をすべての作品に直接貼りつけけたのです。

 この光州ビエンナーレ検閲事件は終わったわけではなく、洪さんへの検閲はさらに強化 され、今日に至っています。その事実を知った大浦さんは、今回の展覧会にあわせ、さら なる抗議を表明するために、作品を燃やした新バージョンを初公開しました。

 今日のトークのテーマは「ヤスクニと死者」。

小倉利丸さん(前富山大学教員、現代資本主義論)と洪成潭さんによるトークが行なわれ ました。 小倉さんは検閲と表現・メディアの関係について鋭い指摘を続け、行動してきた方です。 本来、大浦さんご本人がトークゲストとして参加する予定でしたが、やむを得ぬ事情によ り欠席されたため、代わり大浦さんとともにたたかってこられた小倉さんが登壇してくだ さいました。

表現の自由と権力の介入、それらに抗する芸術家の姿勢などについて、討論を交わしまし た。 大浦さんや洪さんに対する検閲の歴史を辿りながら、洪成潭さんが芸術家の責任を問えば 、小倉さんからは、検閲や自主規制が起きたとき、アーティスト・表現者がそれにどう対 峙するのかということと同時に、アート作品を観るわれわれが何をするのかが問われてい る、という重要な指摘がありました。

そして、洪成潭さんの連作〈靖国の迷妄〉については、わたしたちいとって大切な問題は 何かを、タイムリーに描いて、目にみえるようにしてくれる、そのエネルギーに感嘆する 。 「ヤスクニ、植民地支配の問題を解決していない」われわれが、それを解決するためにど うするのか、想像力をはたらかせて共同作業することが大事だ。今回、芝居小屋という空 間で展開される展覧会およびイベントにはその可能性がある、と。 「生臭い政治を描くのはアートではない」というような美術感覚を反省する必要がある、 と31日のトーク「アートとヤスクニズム」につながる問題提起もありました。

また、前日25日のオープニングで鎮魂舞(クッ)を披露された李愛珠(イ・エジュ)さん にも、映画『靖国・地霊・天皇』についてコメントをいただきました。特に、作中に登場 するさまざまな朝鮮の伝統の舞について「それぞれの舞の意味が映画の構成と絶妙に関係 している」と、舞踊家の視点から貴重な指摘をしてくださいました。

明日27日は、15〜16時に、洪成潭さんと武居利史さん(美術評論家)による作品説明が行 なわれます。

19〜21時には、「ヤスクニ・歴史・追悼」をテーマに、日韓の靖国研究者、南相九さん( ナム・サング/歴史研究者)と辻子実さん(「平和の灯を!ヤスクニの闇へキャンドル行 動」共同代表)のトーク、洪成潭さんの絵のスライド上映&崔善愛さん(チェ・ソンエ/ ピアニスト)のピアノ演奏を開催します。

(文責:田中恵美、岡本有佳)


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