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LNJ Logo 「トヨタはILO勧告無視は許されない」株主総会と東京本社に訴える
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 6月17日夕、東京千代田区にある東京トヨタ本社はフィリピントヨタ労組の233名の首切り、組合弾圧に抗議する100余名の労働者に包まれた。2001年に正当な選挙で選ばれたフィリピントヨタ労組に対してトヨタは233名の組合員を解雇して組合を潰そうとした。現社長の豊田章男氏は当時現地会社の常務取締役として組合つぶしを指導した本人であった。
 組合の12年間の粘り強い闘いに、ILO(国際労働機関)はフィリピン政府に6度も是正勧告が出されたが、トヨタは勧告を無視し続けてきた。しかし、海外で労働者の権利の蹂躙はILO条約を批准する日本の多国籍企業トヨタには許されない。労組は13日「本社の責任で解決を」(別紙)を豊田章男社長に申し入れた。
東京本社に向かってフィリピントヨタ労組を支援する会の山際正道代表は「トヨタはILOの勧告に従って組合と解決に向けて話し合え」と訴えた。最後に全員でトヨタ本社に向けて「解雇を撤回しろ」とシュプレヒコールを行った。この日愛知県のトヨタ本社では株主総会が開かれ、そこにも支援する会の仲間たちが株主に訴えた(「トヨタの発展を願う株主の皆様へ」参照)。

<報道部 高幣>

↑ トヨタ東京本社前で「トヨタの解雇撤回」を訴える山際正道氏(フィリピントヨタを支援する会代表)

↑ 参加者全員でトヨタに抗議のシュプレヒコール(6月17日 トヨタ東京本社前)

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<株主総会へのチラシ>

トヨタの発展を願う株主の皆様へ

フィリピントヨタの労使紛争はトヨタ社の責任で解決を! 〜紛争解決は世界戦略の教訓として大きな利益に〜

 株主総会にご参加の皆様、フィリピントヨタ社における労使紛争が、トヨタの今後の発展にとって大きな障害になることをご認識頂き、親会社である日本のトヨタ自動車株式会社の責任において解決されるよう働きかけることを期待いたします。

フィリピントヨタ社は、1988年に創業され、従業員約1500人、歴代社長は日本のトヨタから派遣されています。そこで2001年以来13年に亘り労使紛争が続いています。この紛争は、発展するトヨタにとって大きなイメージ低下をもたらし、トヨタの大きな障害になりかねないものです。

 フィリピントヨタ労組(TMPCWA)は、1998年4月に、独立組合として労働雇用省に登録されました。2000年3月、「組合承認選挙」で過半数を制しました。会社側は異議を申し立てましたが、2001年3月労働雇用省長官の裁定で組合の勝利が確定しました。その日、会社は組合員227名を解雇(その後233名に)しました。 組合は解雇撤回を求めてストライキに突入し労使紛争となりました。この時、「重大な威圧行為」(にらみつけた、大声を出した)があったとして26名の組合員が刑事告訴されました。フィリピントヨタ労組及び発足したフィリピントヨタ労組を支援する会、支援する愛知の会は、2001年4月以降、日本のトヨタ社への抗議・要請、激励団の派遣、生活支援の物品販売、フィリピン政府・日本政府・ILOへの要請等の闘争を行ってきました。私たちの闘いで ILO「結社の自由委員会」は、私たちの訴えを認め、数次に亘る勧告を行い、2009年には、ハイレベルミッションをフィリピンに派遣するなどし、フィリピン政府・トヨタに解決を促しています。2011年12月に京都で開催されたILOアジア大会においても多くの参加国・関係者がこの争議を知るなど、世界的に関心を持たれることともなっています。

 このような中で日本のトヨタ社が解決に主導的役割を果たさなければならない状況と成っています。米国で生じた事態には社長以下の幹部が現地に飛び解決に尽力しました。フィリピンでの問題には「現地のことは現地で」を繰り返す愚をつづけ傷口を広げています。皆が会社を誉めそやす時こそ、小さな警鐘に謙虚に耳を傾ける企業風土こそ大切にしたいものです。“奢れるもの久しからず”です。トヨタ社がこれ以上傷口を広げ、このことを“アリの一穴”としない為にも、刑事事件を取り下げ解決したこの機会に、日本のトヨタ社が解決に向けた意志を示すことが、トヨタ社全体の利益であると思考されます。この労使紛争を世界標準の中で解決を図り、世界各地で生産・販売活動を行う際の教訓とし、新たな出発の第一歩にすることを期待します。

                2014年6月14日

フィリピントヨタ労組
フィリピントヨタ労組を支援する会
フィリピントヨタ労組を支援する愛知の会

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<フィリピントヨタ労組のトヨタ本社への要請書>

2014年6月13日 トヨタ自動車株式会社代表取締役社長 豊田 章男 殿

フィリピントヨタの余りにも長期に亘る労働争議の解決についての 要請書

拝啓

 株主総会も近づいているこの時期にご多忙中の貴殿に、単刀直入に申し上げます。 フィリピントヨタ労組TMPCWAがフィリピンの労働法に基づく選挙によって工場労働者の過半数の支持を得て団交権を獲得した(2000年)ことに対し、フィリピントヨタ社がこれを無効にしようと謀り、これに危機感を抱いた組合の行動に難癖をつけて233名にも上る多数の労働者を解雇した(2001年)ことは、とても酷い組合潰しであり、明白な団結権(結社の自由)、即ち労働者の人権の侵害であるから絶対に許されない―このようにILO(国際労働機関)が判断し、フィリピン政府を通じてフィリピントヨタ社に、本質的にはその親会社である貴社に対して強く是正勧告を発しています。このことについて、よもや貴殿はこの期に及んでもなお、社内外と株主に向って「知らぬ、存ぜぬ」の態度を取り続けるおつもりではないでしょう。

 なぜならば、貴社は当時のアロヨ政権に「トヨタはフィリピンから資本を引き上げるぞ」と脅しをかけこの大量解雇と組合潰しを認めさせたのであり、貴社に屈服したアロヨ大統領をフィリピントヨタ社の工場に呼びつけてご褒美にプリウス(のキー)を授与するセレモニーに当時常務取締役であった貴殿自身が列席して(2002年)、この大量解雇と組合潰しに一役買っているからです。ですからこの大量解雇と組合潰しを引き起こした責任は貴社にあるのであり、そしてまたILO勧告を真摯に受け止めこれに従って、この余りにも長期に亘っている労働争議を解決すべき責任も貴社にあるのです。代表取締役社長である貴殿にはそれを実行する責任と権能が十分お有りのはずです。フィリピントヨタ労組が、フィリピン最高裁から敗訴判決を受けてもなお、解雇以来12年間も闘い続けているのは、「自分達のやったことは間違っていない、トヨタのやったことは余りにも不当である」という、自分達の確信が揺がないからです。このままの状態が続いたならば、貴社は人権侵害企業であるということを全世界にむかって刻印されてしまい、貴殿の東京オリンピック組織委員会副会長としての役職にも影響が出かねないと憂慮します。進出国の政権を丸め込めば何でもやれる時代は終ったのです。

 繰り返して申し上げます。ILOはなぜ厳しい是正勧告を出しているのか、そしてどうして今やフィリピン政府も厳しい批判の眼差しを注いでいるのか。それはトヨタのやり方が余りにも酷すぎるからにほかなりません。

 即ち、大量解雇と組合潰しを強行したやり方も酷かっただけでなく、その後のILO勧告に対する対応の仕方も酷すぎたからです。ILOがフィリピンに高位使節団を派遣し、フィリピントヨタ社にも行って問題解決を求めたのに、同社は「フィリピン最高裁の判決で問題は終っている」と相手にせず、使節団のひたむきな努力をあざ笑うかのように、さらに、組合再建に取り組んでいた4名の組合員を、理由をこじつけて解雇しました。そして「ILO勧告はトヨタに対して出されたものでなく、フィリピン政府に対して出されたものである」とか、「勧告だから法律のような強制力はなく、実施しなくても罰則はない」などという見解を述べてきました。そのような態度が改められたということは、私達はまだ聞いたことがありませんから、やはり貴殿も貴社もフィリピントヨタ社も依然としてそういう見解をとりつづけているのでしょうか。しかしILOは、ただ単に実効性のない勧告を発するだけの能しかない時代は終り、勧告は当該国の法律(最高司法機関の判断を含む)に優位するとしながら、たとえ罰則はなくとも勧告の実施を強く迫るように変ってきているのです。

 論より証拠、貴社が内山田会長を副会長として出している経団連でさえ、ILO条約勧告適用専門家委員会の委員である横田洋三氏から、「ILO、とりわけ専門家委員会の立場としては、国際法であるILO条約優位を前提に、批准国の国内法および国内慣行における条約の適用状況について判断をすることとしている」との説明を受けて、「これまでは、日本企業が海外で事業活動を行う際は、当該進出国の法律を遵守することで問題はないと思われがちであった。しかし、今後は人権擁護やCSR、さらにはリスクマネジメントの観点から、当該進出国の批准の有無や条約の適用状況にかかわらず、ILOの基本条約の規定する内容について積極的な対応が必要となると考える」との見解を述べざるをえなくなっているのです(週刊経団連タイムス 2014年5月20日 No. 3166)。このような趨勢をも冷静かつ賢明に受け止めて、貴殿が、本件解雇の撤回と実質のある賠償、ならびに過去の団結権侵害の謝罪と将来に向っての団結権尊重の誓約をもって、余りにも長きに亘るこの労働争議を直ちに解決するとの決断をされますよう、衷心より期待し要請致します。

                       敬具

                          フィリピントヨタ労組    


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