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木下昌明の映画批評 : 舩橋淳監督『フタバから遠く離れて〈第二部〉』 | ||||||
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●舩橋淳監督『フタバから遠く離れて〈第二部〉』 記憶に残す「定点観測」の記録〜原発事故の“風化”に抗う一本まだ覚えているだろうか? 福島原発事故の際、双葉町から「ノアの方舟」のようにバスを連ね、1400人の避難民が埼玉県加須市の廃校にやってきたことを。当時はメディアを賑わせていたが、原発問題の風化とともに今や忘れられつつある。 当時、この避難民に寄り添い、ドキュメント『フタバから遠く離れて』を作った舩橋淳監督はその3年後、「第二部」を完成させた。 ここでは、生活の場を失った双葉町民の苦難が捉えられている。避難が長引くにつれ、廃校で暮らす人々と県内の仮設住宅で暮らす人々との処遇を巡る確執や、福島に戻るか戻らないかの意見の相違から町長と町議会との対立が激化。ついに町長が辞任に追いこまれるなど、住民間の葛藤にも焦点を当てている。 新町長の誕生と共に役場を県内に移し、同時に廃校から一人去り、二人去りしていく。舩橋はその様子を四季の移り変わりのなかに織り込み、定点観測でもするかのように記録していく。廃虚と化した双葉町を、一枚一枚写真のように切り取って見せる。それが記憶となる。 印象に残った場面は、全国原子力発電所立地市町村協議会の総会シーン。ここでは、まるで原発事故などなかったかのように、「早く再稼働すべし」の要請が行われる。国や電力会社が扇動しているというよりも、市町村が下から突き上げている観がある。これに新町長はついていけずに憮然としている。 一方、第一部でも取り上げられた、牛の殺処分に反対して300頭以上を飼い続けている希望の牧場のシーンでは、牛たちに白い斑点が現れ、ノドに甲状腺がんのような異常な腫瘍が見つかり始めたのに驚かされる。 町の中間貯蔵施設をめぐる説明会では、「町がなくなったら、私たちは一体どうなるんですか?」という若い女性の問いかけが重くひびく。これからの日本を考える上で、貴重な作品である。(『サンデー毎日』2014年12月7日号) *東京・ポレポレ東中野で公開中。以下全国順次公開。 Created by staff01. Last modified on 2014-12-03 14:08:50 Copyright: Default |