本の紹介「What was 国鉄闘争 〜そして次へ〜」こんにちは、海樹です。本の紹介です。「What was 国鉄闘争 〜そして次へ〜」(著作:刊行委員会、発行:ぶなの木出版、初版:2013年5月、310ページ、2200円+税)が出版されました。入手につきましては、書店での購入が難しいため、発行元に直接お問い合わせ願います。問い合わせ先:有限会社ぶなの木出版 電話・FAX:03−3768−5663 メール:bunanoki@ac.auone-net.jp目 次:刊行にあたって24年間の闘いを終えて第一部 総論 座談会 国労闘争団はなぜ24年間も闘い続けられたのか争議としての国鉄闘争国鉄闘争と東京総行動自立する国労闘争団第二部 第二次国鉄闘争国鉄闘争解決までの苦闘当事者の一人としてみた国鉄闘争国鉄闘争から新たな運動へ我々は闘う闘争団の側に立つ戦術論から見た第二次国鉄闘争あとがき執筆者:中村宗一氏、神宮義秋氏、小島忠夫氏、山下俊幸氏、平賀健一郎氏、小野寺忠昭氏、荒木健次氏、原田亘氏、清野隆氏、関口広行氏、星野良明氏、川副詔三氏・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・紹介にかえて:闘争団には人間の誇りがあった杜 海樹 四半世紀に及ぶ国鉄闘争(1980年代の国鉄分割民営化に端を発した国家的不当労働行為に対する大闘争)が2011年に一応の終結をみてから早いもので2年が経過しようとしている。闘争の終結にあたっては、様々な意見があり、すでに何冊かの本も出版されているので、私(杜海樹)がとやかく言う立場ではないのだが、しかし、国鉄闘争共闘会議、映画「人らしく生きよう」上映運動、団結まつり、ホームページ等々で約10年間、国鉄闘争の裏方を務めてきた一員として、あまり静観し過ぎるのもどうか?と思っている今日この頃である。 私は、当初、国鉄闘争とは全く無縁の部外者であったわけであるが、しかし、縁あって事務局の一旦を担うことになり、時に寝食を共にすることもあったわけであり、歴史的大闘争の現場を一時とはいえ共にした一人の人間として、いずれは何らかの記述はしておかなければと思っている。 「What was 国鉄闘争 〜そして次へ〜」においては、闘争当事者及び闘争に深くかかわって来られた12名の闘志の方々が、それぞれの立場から国鉄闘争を振り返りながら記述をされている。詳しくは、お読みいただければと思うが、闘争への想い、交渉での駆け引き、組織問題、エピソード等々が記されており、後に貴重な資料となっていくことであろうと思う。 この本は、国鉄闘争にかかわって来られた方々はもちろんの事だが、労働組合の闘争というものを経験していない方々に、是非とも、目を通していただきたいと思っている。闘争の目に見えないところでどんなことが行われていたのかの一端が垣間見えるので、組合経験の無い方々の方が、いろいろと発見があるのではないかと想像している。市民運動の立場で労働組合の行っていることがよく分からない、あるいは大学で労働問題を専攻したものの現場が分からないという方々等にもお勧めしたい。もっとも、本に書かれている内容には組合特殊用語が多いので、そのあたりは各自調べながら読み進んでいただくことになると思うが、それでも、組合間に軋轢があること、権力の仕打ちがどのようなものか、差別されるとはどういうことかの一端が読み取れるのではと思う。 本の中に「労働争議は止むに止まれず普通の働く者達が何かの拍子でやってしまうのだが、自分だけではない家族達の生活を賭け困難を抱え苦しみを背負い込むが、同時に労働者の命が一番に耀く時でもある」という記述がある。闘争にあまり縁のない人にとっては、苦しみを背負い込んで、どうして命が一番に耀くのか?とトンチンカンに思われるかもしれないが、そうした謎も少しは解けるのでは?ないだろうか。 私が国鉄闘争共闘会議で一時寝食をともにした人の中に大谷さんという方と田島さんという方がいらっしゃった。残念ながらお二人とも闘争中に体調を崩され既に他界されてしまっているが、お二方とも大変な努力家であり、そして優しさのある方であった。国鉄闘争と私がかかわった当時、私は収入がなかったわけであるが、そんな私を強引に夕食に誘っては、ビール代を持ってくれていた。闘争団員の収入はプール制で、年収200万円に届かない状況であったにもかかわらず「収入のない人からはお金はとらない」と言って決して譲らなかった。お金に苦労されてきたからこその配慮だったと受け止めているが、その時おごっていただいたビールは、私にとっては一生忘れることのできない“美しいビール”となった。おいしいビールではなく、ビールが美しく感じられたのは後にも先にもこの時だけであった。この時の恩を、本人に返すことができなくなったのが、今となっては非常に辛い。よく、運動の恩は運動で返せばよいというが、それでもやはり悔しさが残る。 それに、運動で恩を返すといっても、ご承知の通り、今日、労働組合自体(比較的大労組を中心に)が勝手に堕落して自滅しつつある状況では、運動で返すにも返しようがなくなってきている。今の労働組合の少なからずは、依然として、やれ高級店に連れていけ、会議に出たら酒を飲ませるのが当然だといったあり様であり、ぶざまな醜態をさらし続けている。やれ高級魚、やれ特上肉だと言っては傲慢な態度で組合員の基調な組合費を食い潰している姿を見かけると、憤りを通り越して軽蔑すら禁じ得ない。新しくできた小さな労働組合がまじめに努力していても、これでは吹き飛ばされてしまう。労働組合が批判しているはずの経営側の方が余程マシと思うこともしばしばだ。国鉄闘争で闘った闘争団とは大違いになりつつある。 なぜ、既存の労働組合(比較的大労組を中心に)がこうした状況に陥ってきたのか、その一旦も「What was 国鉄闘争 〜そして次へ〜」を読むと垣間見えてくると思っている。この先、労働組合総体がどうなっていくかは分からないが、この本を通して、過去の教訓を少しでも活かすことができたら?との願いを込めて(できないか?)、紹介にかえたい。