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LNJ Logo 報告(黒鉄好) : 日本は本当に法治国家か〜東京地検前に620人の怒り渦巻く
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日本は本当に法治国家か〜東京地検前に620人の怒り渦巻く

福島原発告訴団による東京地検包囲行動が22日行われ、620人(主催者発表)が東京地検前の狭い歩道を埋め尽くした。

福島原発告訴団は2012年3月に発足。昨年6月に福島県民による第1次告訴(1,324人)、11月に全国規模に広げた第2次告訴(13,262人)を行った。筆者自身も第1次告訴からひとりの告訴人として関わっている。

まもなく、あの事故から2年が経とうとしているが、起訴はおろか、福島原発事故では誰ひとり逮捕、取り調べさえ行われていない。中央自動車道・笹子トンネル事故(死者9人)では事故から2日後の12月4日に早くも山梨県警によるNEXCO中日本の強制捜査が行われているのと比べると、その落差はあまりに大きい。近年は違法捜査やえん罪事件などの不祥事が続いているとはいえ、日本最強の捜査機関といわれる検察が一体何をそんなに恐れているのか。誰を守っているのか。

行動は4時から始まった。この日、風邪で惜しくも欠席した武藤類子団長に代わり、佐藤和良副団長(福島県いわき市議)と弁護士が、40,265筆の署名を携え東京地検に入る。検察当局の動きの遅さに危機感を抱いた告訴団が公正捜査・起訴を求める署名集めを本格化させたのは今年に入ってから。わずか2ヵ月で4万筆、よく集まった。責任を取るどころか居直り続け、値上げで利用者にツケを回そうとする東京電力への怒りは収まるどころか、時間と共に倍加していると思う。

署名提出の間、告訴団運動を担ってきた各地方事務局の代表者や福島からの参加者がアピール。「これでも日本は法治国家か」「1000人の幸せのために10人の犠牲をいとわない。そんな姿は発展した社会のものではない」「有機農業をしていたのに原発事故でやめざるを得なくなった。なんとしても起訴を」という切実なアピールが続く。

↓地検前のアピール

↓外国メディアの取材を受ける佐藤副団長

署名提出行動を終えて出てきた弁護士から発言があった。

河合弘之弁護士「福島原発事故は、太平洋戦争を除けば日本の歴史上最大の人災。これだけの事故を起こしながら誰も責任を問われなければ法治国家としての日本は終わる。なんとしても起訴につなげる。検察のモットーは“被害者とともに泣く”であり、司法修習を終えたとき、この言葉をかけられ、検事にならないかと誘われた。被害者とともに泣く検察が、そのモットーに従って起訴してくれるものと信じる」

↓報告する河合弁護士

保田行雄弁護士「検察には強制捜査をし、真相を究明する権限があるのになぜやらないのか。私は薬害エイズ事件の時も、被害者とともに加害者を刑事告訴した。(非加熱製剤投与の主犯である)安部英(たけし)・帝京大副学長や日本の薬務行政トップである厚生省薬務局長、生物製剤課長が起訴できるとは当時、誰も思っていなかったが運動でやりきった。福島原発事故でもやりきっていこう」

↓報告する保田弁護士

↓大熊町から参加した有機農家の男性 原発事故で家も農地も失った

続いて、参加者全員で「強制捜査をせよ」「東電を起訴せよ」「保安院を起訴せよ」「(原子力)安全委員会を起訴せよ」「山下俊一を起訴せよ」のコールを東京地検にぶつけた。私の気分もあるかもしれないが、「山下俊一を起訴せよ」の時が一番声が大きかったような気がする。

↓4万筆を超える署名を地検に提出 地検は「真剣に話を聞いてくれた」という

↓歩道橋にあふれる人々

続いて参加者は東電本社前に移動。「当局による捜査・起訴を待つことなく、告訴・告発を受けている貴社関係者15名は、貴社が加害者であることを自覚し、みずから進んで真実を明らかにするとともに、その罪を認め刑罰に服すること」を求める要請書の提出を行った。

↓東電本社 さながら21世紀の伏魔殿だ

↓東電本社前に集まった参加者

↓「自首を求める」要請書を読み上げ、渡す告訴団

東電は、相変わらず社長も会長も逃げ回り、出てくることがない。広報担当者に応対させ、福島県民の訴えにものらりくらりの回答を繰り返す傲岸不遜ぶりでマフィアそのものだ。警戒区域、大熊町から来た男性は、東電に詰め寄り「お前たちは福島を元通りに戻せるか。汚染された土地を元通りにできるのか」と迫った。「…できません」と答える東電。これが原子力災害の本質なのだ。

↓訴える福島から参加の女性 息子は作業員として福島第1の収束作業に当たっていた

↓東電に詰め寄る農家の男性「お前たちは福島を元に戻せるのか!」

参加者は、「東電は自首しろ」「東電は責任を取れ!」とシュプレヒコールをした。

その後はバスや徒歩で国会前に移動。金曜恒例、首都圏反原発連合の金曜行動に合流。福島からの参加者が次々とアピールした。佐藤和良・告訴団副団長からは「福島が風化しようとしている」との強い懸念が示された。

↓官邸前でアピールする佐藤副団長

筆者も、ぜひアピールしてくれと頼まれたので、概略、以下の通り発言した。

「福島原発告訴団には、私も1,324人の第1次告訴人のひとりとして参加しています。今日の地検包囲行動には、この間集約した4万筆を超える署名を提出してきました。…河合弁護士からの報告にもあるように、この事故は太平洋戦争を除けば最悪の人災。原発事故そのものよりも、あんな人たちが原子力を握り、もてあそんでいるという事実のほうが私には何倍も恐ろしいことです。彼らが彼らである限り、第2の事故は必ず起こるでしょう。彼らを追放する必要があります。県民健康管理調査の話も出ているが、先の戦争でも敗戦後、科学者たちは自分たちに戦争責任はないのか議論したそうです。その際、国策だから責任を取る必要はないと最も強硬に主張したのが医師会だったと聞いています。医師会は責任を取らなかった。マスコミ、裁判所も全く責任を取っていません。医師会、マスコミ、裁判所。戦争責任を取らなかった人たちこそが、今、最も腐敗した姿を私たちの前にさらしている。そのことを忘れることなく、廃炉が実現するまで、敵よりも1日長く、10年でも20年でも行動し続けましょう」

行動はいつも通り午後8時に終了した。最初は寒かったのに、スピーチやコールをするうちに次第に暖かくなってきた。金曜官邸前行動は、参加できないときもネット中継でほとんど毎週見ている。しかしやはりネット中継では身体は温まらない。現場の臨場感は現場に立つことでしか味わうことができないのだと改めて思う。

官邸前行動に関しては、1月28日付け「スポーツニッポン」紙が最近の動向をとらえる優れた報道をしている(「自民圧勝でも…脱原発デモは続く 目立ち始めた“光り物”」http://www.sponichi.co.jp/society/news/2013/01/28/kiji/K20130128005075430.html)。最近は「光り物」を持ってアピールする参加者が増えたとのことだが、この日もそうした光り物でアピールする参加者が多数見られた。一時期と比べれば参加者こそ減ったが、退潮しているのではなく、より多様性と自主性をもって進化している。そのことを実感できた1日となった。

↓官邸前には「光り物」が目立った

(報告:黒鉄好)


Created by staff01. Last modified on 2013-02-23 20:55:48 Copyright: Default

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