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新人教師が自ら命を絶った、木村百合子裁判の本が刊行!

昨年静岡地裁で勝利した新人教師木村百合子さんの公務災害認定裁判の本が、刊行された。タイトルは、「新採教師の死が遺したもの 法廷で問われた教育現場の過酷」(高文研 久冨善之、佐藤博編著 1500円+税)

木村百合子さんは、静岡県磐田市立小学校に新規採用された2004年9月、自ら命を絶った(享年24歳)。その背景には、木村さんが担当していたクラス運営の困難さと新人教師に対する職場や教育委員会の木村さんに対する支援の弱さ(実態把握のなさ、木村さんへの関り方の誤り)、さらには労働条件の過酷さがあった。

遺族は木村百合子さんの自死は公務災害にあたるとして申請したが、却下され地裁に提訴、2008年9月の口頭弁論から17回の裁判を経ての昨年12月15日、勝利判決が出された。判決では、木村百合子さんが「苦悩しながらもできる限りの努力や責任をもって(困難な)児童に対応していた」と評価し、学校体制として「こうした状況下にあっては当該教員に対して組織的な支援体制を築き、他の教員とも情報を共有した上、継続的な指導・支援を行うことが必要であるところ、本件全証拠をもってしても、かかる支援が行われたとは認められない」と周囲の支援体制の不備があったことを認めた。さらには、同種労働者の中でその性格傾向が最も脆弱である者を基準とするのが相当であるという基準をたて、職場の中で一番弱い立場にある新規採用教員の立場に立った視点での判断が出された。

 この判決は、新人教員の自死事件で公務災害申請が却下されながらも地裁で勝利判決が出た初めてのケースであり、快挙である。本書には、この貴重な闘いの記録でありその根幹である親御さんの日々の記憶、そして自死された木村百合子さんの貴重な学級の記録が掲載されている。これを読むと、木村さんがいかに本気で子どもにあたっていたか、また周囲の家族、知人が百合子さんをどれだけ支えていたかがわかる。また反対に、自死の直接的な原因を作った学校体制の不備も浮き彫りになるのである。

 百合子さんの自死事件背後には、5000人の教職員が精神疾患で休職しているという事態が横たわっている。それはこれまでの文科省−教委−管理職による統制の強化で、教育現場から自由な発想、議論を葬り去ろうとしてきたことの結果であり、この間の「日の丸、君が代」強制はその最たるものだ。

 被告「地方公務員災害補償基金」は、高裁に控訴した。つまり百合子さんの自死は、百合子さんの「弱さ」故のことであるという主張を変えていないのだ。この主張を許すことは、第2、第3の百合子さんを作ることであり、物言えない学校現場を放置することになる。

 控訴審は5月から始まる。闘いの場は、静岡地裁から東京高裁に移った。すでに「故木村百合子さんの公務災害認定を求める裁判を支援する会・東京」(代表:久冨善之 事務局:佐藤博)が立ち上がり、東京での闘いの体制も整った。本書の普及を皮切りに、控訴審勝利に向け支援の輪を強めていきたい。(湯本雅典)

*書籍「新採教師の死が遺したもの 法廷で問われた教育現場の過酷」(1500円+税)
●もくじ

■序章 追いつめたもの
 木村百合子さんを自死へと追いつめたもの――蓮井 康人
 異常な労働環境が教師と子どもを苦しめる――小笠原 里夏

■第犠蓮…捗匳顱κ譴両攜
■第蕎蓮^笋気譴織痢璽箸ら
 木村百合子さんの軌跡を追って――佐藤 博

■第珪蓮仝務災害認定をめぐる闘い
 地方公務員災害補償基金への申請から裁判まで――橋本 正紘

■第絃蓮〔畋嫉件が教育の現場に投げかけた課題
〈分析1〉困難な課題をもつ子どもの担任を支えるためには何が必要だったのか?――楠 凡之
  
1、A君の抱えていた問題をどう理解するのか?
 
  2、困難な課題をもつ子どもへの理解と援助のための二つの視点他
〈分析2〉法廷・裁判・判決が教育について問うたもの――久富 善之
 
  1、新採教師が直面した学級の今日的難しさについて

   2、困難に直面する教師に対する支援はどのようであって支援たり得るか

本書籍のお申し込みは、以下、高文研のサイトまでどうぞ。
http://www.koubunken.co.jp/0480/0478.html

*木村裁判控訴審第1回 5月10日(木)午後2時開廷
 東京高裁 808号法廷(地下鉄霞ヶ関駅A1出口からすぐ)


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