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JR不採用事件・横浜人活訴訟で一部勝訴〜賠償額ねぎった政治的判決

8月30日午後4時、東京高裁(前田順司裁判長)で、JR不採用事件・横浜人活訴訟 の控訴審判決があった。判決は一審判決を変更し、国労組合員(岡英男・松本繁 崇)2名の主張を認める逆転勝訴だった。しかし、職場復帰はなく、賠償金額も 一人770万円+年5分の利子(約1700万円)にとどまるもので、一部勝訴だった。 「よかった。でも納得いかない」、ある傍聴人は語った。被告の国・鉄建運輸機 構の富田弁護士は、「上告する」と法廷の場で原告側に通告。被告側にとっては 予想外の痛い「敗訴」だった。

そもそも、一審では「時効」で原告の主張が退けられており、「時効」が最大の 焦点だった。しかしこれについて控訴審判決では、完全に組合員側の主張が認め られ「時効」の壁は突破した。また人材活用センターで二人が関与したとされた 暴力事件も「管理者の捏造だった」と、デッチ上げ事件であったことを完全に裁 判所は認めた。そうなれば、この事件の処分を理由にJR不採用になった二人は、 当然「職場復帰・バックペイ」となるはずだった。バックペイは、一人1億円を はるかにこえるはずである。

ところが裁判所の回答は、わずか770万円(利子こみ1700万円)。その理由は要 約するとこうだ。「二人とも暴力事件は無実でそれを理由にしたJR不採用は間 違っている。しかし、この暴力事件がなかったとしても二人は国労の幹部(分会 役員)であるから、必ずJRに採用されたかどうかわからないという疑問が残る。 従って、採用を前提とした補償金額は認められない。しかし、この間の精神的苦 痛・長期間の苦労などを考え、770万円が妥当と判断した」というものだ。

報告集会(写真)で、弁護団はこう解説した。「裁判官が一番悩んだのが、政治和解で 2200万円で終わっている事件で、“億単位の金を払え”と言えるかどうかだった。 それを言うと政治和解の構造がひっくり返ってしまう。だから、これはきわめて 政治的判決だと思う。とくに問題なのは、裁判では法廷に出された証拠のみで判 断しなくてはいけないのに、両者が主張していない論点(暴力事件がなければ採 用されたかどうか)を裁判所が判決文に持ち出したことである。賠償金を下げる ために、無理やりつくった論理である。これは裁判所がやってはいけないこと だ。最高裁で是正させるしかない」。

当該の岡さん、松本さんも厳しい表情だった。松本さんは、「私よりたくさん処 分を受けている人がJRに採用されている。こんなデタラメな判決は通らない。上 告して最後まで救済を求めてたたかう」と語った。(松原明)

〔横浜人活事件とは〕

横浜人活とは、「横浜人材活用センター」のことで、分割・民営化のとき、国労 の組合活動家を職場から隔離し、草取りなどをさせていじめぬいたところ。人活 センターは国労つぶしのシンボルで全国1438ヶ所設置され、当時のマスコミでも 盛んに取り上げられた。あせった当局は、国労組合員のイメージダウンを計るた め1986年11月、ここで暴力事件をでっち上げる。このため、5名の国労組合員が 懲戒免職になった。一方、停職処分を受けた3名(岡さん松本さんら)は、それ を理由にJR不採用になった。しかし、その後、懲戒免職になった5人の裁判で、 当局によるでっち上げが「録音テープ」で明白になり(テレビ番組でも放映され た)、免職取消が決まり5名は復職した。一方処分の軽かった停職処分の3名は、 JR不採用・解雇のままという不均衡が生まれた。今回の「横浜人活裁判」は、3 名の名誉回復と解雇撤回を求めたものだが、横浜地裁の一審ではでっち上げは認 定されたものの救済については「時効」で退けられている。なお現在、原告は 岡・松本の2名で、2010年に政治和解があったため、国労は支援していない。


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