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季節外れの夏日となった4月16日、東京・渋谷で「野菜にも一言いわせて! さよなら原発デモ!」が行なわれ、約1500人(主催者発表)が参加した。アジア太平洋資料センター(PARC)と、集会実行委員会が主催した。

福島第一原発事故への対応に収束の見通しが立たないなか、「風評被害」に苦しむ現地の生産者の映像がメディアを通じ流されている。このあまりに一方的な報道を受け、各地で現地産の野菜の無料配布や即売会が催され、「安全・安心」キャンペーンが繰り返されている。

この日のデモは、まず当事者そのものである生産物の言い分を聞こうと、野菜や魚に扮したり、現品を持って集まるよう案内された。集合場所の神宮通り公園に次々と人々が入場。出発前に集会が開かれた。

環境保護団体「グリーンピース」では、放射能調査チームを組織し、独自の調査を行なっているという。 発言した女性は「今回現地で261か所を調査し結果をまとめた。政府公開のデータと私たちのデータは、数値上は同じだが、その解釈が違う」。「飯舘村では、2日間で一年分の被曝に相当する高い値が出た。福島さんのネギからも高い放射線が検出された」と指摘。エネルギー政策の転換を求める同団体のオンライン署名には、3週間で1万5000筆が集まったと報告した。

JVCの谷山博史さんは先週、南相馬市をはじめ福島県内の農家を回った。 「二度とコメが作れない」と妻への贖罪意識に悩む男性や、「30キロ圏外だが、みんなが外に出ないので自分も家にいるしかない」と打ち明ける女性と出会った。 今回の事故以降、「見えない壁」が生まれていると強調。「政府は細かいデータを出し、方針を決めるべきだ。人々の認識が違えば組織は壊れる」。「相互不信の壁を乗り越え、風評に翻ろうされず、自分たちの問題として行動しよう」と呼びかけた。

茨城県土浦市から参加した農家の男性は、「メディアは風評被害があたかも悪いことのように言っているが、それが起こる原因がある。政府は隠しているデータを明らかにし、県民に補償を」と訴えた。

千葉県成田市から参加した男性は、会社勤めを辞め「三里塚ワンパック野菜」に取り組んでいる。 若者の職業の選択肢としての農業が社会に認知されはじめ、自身の活動が軌道に乗り出した矢先の事故だった。 「デモをして何かを変える。自分の住んでいるところでやれることをやっていく。これからもナリタの地でのびのびと生きていく。一緒にがんばりましょう」と力強く訴えると、共感の拍手が送られた。

いわき市の農家出身の男性は、「今年も田植えの準備を始めた」と故郷の様子を伝えた。 首をかしげる聴衆に、「放射能があってもなくても、その場所にいる農民には、それしかできないのです」と力を込め、「自分も何かしたいができない。東京でこの運動を続けていくしかない」と切ない胸のうちを語った。

生協「パルシステム」の志波早苗さんは、長く消費者運動にかかわってきた。 一組合員としての発言だと断り、「自分たちが責任を持って食べる。わかっていて食べ続ける。それしかない」ときっぱり。それでも最後に「母親が今でも福島にいて、そこから出られない」と明かすと、涙で声を詰まらせた。

PARC理事の大江正章さんがマイクを握った。 「安全が保障されている産品を食べて支えていく。原発事故は明らかに人災だ。責任はそれを推進してきた自民党、そして民主党にもある。市民運動出身の菅総理の口から、なぜ脱原発の言葉が出ないのか」と問いかけると、大きな拍手が起こった。

「『電力不足』はメディアと経済界の大ウソだ。原発依存の29%の電力がなくても十分生活していける。その消費割合は1980年代とほぼ同じだが、電力が足りないどころか、1985年が一番幸福だったという国民の意識調査もある」と解き明かし、「プルサーマルを止めろ。脱原発社会に向けて、手を携えて歩いていこう」と締めくくった。

1時間の集会を終えてパレードに出発。JRのガードをくぐると、すぐ右手に東電の電力館がある。デモ隊は怒りのこぶしを振りあげて抗議した。 行進の途中で雨が降り出すと、これまでとは違い、傘をさす参加者の姿も目立った。

先導車から流れる「反原発ソング」に重なり、「野菜にもひとこと言わせろ」「さよなら原発、バイバイ放射能」などの元気なコールが、渋谷の街に響きわたった。(報道部・Y)


Created by Tyok. Last modified on 2011-04-20 23:03:46 Copyright: Default

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