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LNJ Logo 報告:朝鮮学校も無償化に! 下町集会
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7月22日夜。東京・荒川区の「サンパール荒川」小ホールで、「朝鮮学校も無償化に! 下町集会」が開催された。主催は実行委。定員を大きく上回る230人が集まった。

民主党がマニュフェストに掲げ、今年4月から実施された「公立高校無償化制度」。これによって公立高校及び私立学校、専修学校と外国人学校が授業料の無償化や助成の対象になった。

ところが文部科学省は4月30日の告示で、朝鮮学校については「教育内容が不明」などを理由に、「検討委員会で検討する」と結論を先送りにした。

集会の呼びかけ人の一人である森本孝子さん(平和憲法を守る荒川の会・共同代表)は、開催までの経緯を紹介した。「『無償化法』から朝鮮学校が排除されると聞いたとき、『またか』と思いました。怒りと情けなさでいっぱいになりました」。

この下町で何かできないかと声をかけて歩いた。「よし、やろうよ」――それぞれの分野で活動をしていた人たちの思いは同じだった。「こんなに多くの人に集まっていただき、本当に感動で胸がいっぱいです。これは日本の民主主義とか人権感覚を問う問題。今日はみなさんお一人お一人のお話をしっかりと胸に刻んで、日本政府に対して一日も早く差別をやめるよう訴えていきたい」。

朝鮮第一初中級学校・舞踏部の子供たちによる民族舞踊が披露された。流麗かつ一糸乱れぬ身のこなしは、さまざまなイベントを通じて、地域ではすっかりおなじみだ。

踊りの後、子どもたちはステージに横一列に並んだ。去年10月。鳩山首相の朝鮮学校無償化発言を聞いたときは、みんなで抱き合って喜んだという。

その喜びもつかの間、去年の暮れから雲行きが怪しくなった。「同じ子どもなのに、なぜ私たちはこんな差別を受けなければならないのか」。「私たちの父母は、日本の方と同じように納税しています。これ以上何をすればいいのですか。日本から出て行くしかないのですか」。「わが国を植民地にし、やむなく日本に住むようになった私たちを差別し続けてきて、まだ足りないというのですか。差別なき国で、日本のみなさまと共に生きていける日が迎えられるよう、私たちもがんばっていきます。どうか力を貸してください」。

田中宏さん(一橋大学名誉教授・写真)は豊富な資料を駆使して、日本の国家主義的、排外主義的な教育行政の歴史を検証する講演を行なった。

3人の子どもを育ててきたという在日の女性は、「今日本では、教育の格差は所得の格差に起因していると言われています。日本の人びと以上に、在日の親たちは苦しいが、今日まで耐え忍んできました」。と切り出した。

「子供たちは毎日の生活のなかで、友人からでさえ拉致問題や自分のアイデンティティに対する心ない言葉をぶつけられる。在日の存在すら知らない日本の高校生に、私たちの問題を一から説明するのは大変なことだ」。「しかし私は、若者の間で『差別』という言葉が風化いくなかで、時間がかかっても一つひとつ説明していくことでしか、真の友愛は生まれないと娘に話している」。「在日コリアンは日本の古くからの友人です。どうか敵対をやめ、子どもたちの笑顔を奪うことなく、高校無償化適用のためにご尽力くださるよう深くお願い申しあげます」。声を震わせ、目を潤ませながら訴えた。

東京東部地域で活動する各団体から、発言があった。「墨田ネット」の渡辺つむぎさんは、このかんの行動を簡潔に報告。ふだんは墨田区で教育現場での「日の丸・君が代」の強制に反対し、西暦記載の卒業証書の発行を求める運動を担う。

「この3ヶ月間、錦糸町駅前で署名情宣をした。普段はこちらから通行人を追いかけてお願いするが、自分から進んで署名してくれる人が多かった」。「私たちは35筆の署名を集め、その手応えに喜んでいた。でも朝鮮高校に人たちは400筆、参りました」。「今日の集会は大成功。このつながりを大切にして地域で取り組んでいきたいと思います」。

「荒川国際平和展実行委」の森谷新さんが発言した。

「日本の高校で、授業料が払えず、高校を中退する人が増えている。そんなおり、民主党政権は『高校無償化』法を制定した。私は、さすが民主党だ。よくやるなと思った」。「私たちは2002年の『平壌宣言』を思い起こす必要がある。日朝国交正常化交渉を直ちに開始すべきだという運動も、今回の問題とは切り離して進めていく。国交正常化が進展しない限り、拉致問題の解決はないからだ。荒川の地から全国へ。みなさんと一緒にがんばりたいと思っています」。

「葛飾人権ネット」のIさんは、これまでの取り組みを振り返った。

同ネットは1980年の指紋押捺に反対する運動以来、映画上映会や講演会などを葛飾の地で続けてきた。「私は高校時代に在日の二人の友人と出会い、人生の見方が変わった。本当にたくさんのことをもらった」と、石岡さんは明かす。

「今回の事態はとても許せなかった。さっそく街頭署名や国会行動に取り組んだ。初めてたった一人で駅頭にも立った」。仲間たちと集めた署名は約600筆、朝鮮学校に届けた。

「戦後植民地支配を反省しない日本は、残滓を引きずっている。でも人は変わっていく。必ず未来がある」と結んだ。

最後に尾澤邦子さん(ノレの会)が「集会宣言」を読みあげた。

 実行委はこの宣言文を近日中に文部科学省に突きつけ、過去連綿と繰り返されてきた民族差別をすぐにやめ、朝鮮学校に無償化制度を適用するよう迫る。

東部地域で地道に活動する人々がこの日、一堂に会した。一人ひとりの発言に、参加者はそのつど共感の大きな拍手を送った。「下町から民族差別を許さない」という一体感に包まれた集会だった。(Y)


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