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LNJ Logo 全トヨタ労働組合(ATU)をサポートする市民の会が結成される
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News Item ATUsuport08Jan
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 「連合・トヨタ」から決別して、新規に全トヨタ労働組合(ATU)が結成されたのが2006年1月22日、その時点から、市民との一体的な運動、サポート組織が構想されていたが、実際に立ち上げの準備が始まったのがその年の秋。それから1年余の準備期間を経て去る1月20日、「ATUをサポートする市民の会」の結成総会が名古屋で開催された。
 この日の午前、同じ会場でATU第3回定期大会が開催され、午後の結成総会に同組合員の参加もあって、ATUと市民が一体となって、トヨタと関連企業連の労働諸問題の取り組みと運動の前進を図る組織拡大と共に、巷間で持ち上げられる「トヨタシステム、トヨタウェイ」とは裏腹の「トヨタの陰」の部分に対して、共同で光を当てていこうという体制が、小なりともつくられた。
 総会では坂(名古屋女性ユニオン委員長)、阪野(TMPCWAを支援する愛知の会運営委員)両名の司会で始まり、近森準備会代表(NPO愛知健康センター)が、呼びかけ人の紹介とこの間の経過報告、会員の拡大やATUとの交流などの活動方針、会則、役員と事務局体制、拠点となる事務所の紹介、財政などを一括して提案し、質疑に入った。
 質疑の中で出された一つは、労働組合と「市民」との関係であった。これについては中谷共同代表(予)が、ATU立ち上げから今日までの運動、闘いを見据えて的確に答えていたが、私流に端的に言えば「そこが問題の現場だ!困難に見えるその作業に汗流すを見て、ともにツルハシを振るうに、労組と一般市民に境界はない」と言うことである。
 ということは、いまやメガ企業となったトヨタ自動車が、政治、経済、労働、地域社会に及ぼす影響が一企業の活動を越えているのであり、そこで生じた「過労死」「非正規雇用」など様々な具体的問題に直面している団体、グループ、個人がこの運動に賛意を表したものと思っている。従って、直面していなくても、潜在的な問題意識を持っている人、グループと巡り会い、問題点を簡潔で印象深く伝えることで、広く関心を呼び起こす方策が当座の「市民の会」の課題であると思う。
 続いて、猿田正機中京大学教授と中谷雄二弁護士が共同代表の就任の挨拶を行い、さらに若月忠夫ATU委員長が「3年目のATUの闘いをさらに進め、サポート市民の会と共に歩む」という決意を述べた。
 メッセージは、週刊金曜日の佐高信さん、ルポライターの鎌田慧さん、郵政労働者ユニオン河内長野・南部政治支部長の3通が紹介されたが、佐高さんは、「トヨタが変われば、日本が変わる。トヨタを変えて、日本を変えよう」というメッセージを寄せた。  最後に「結成宣言」が高らかに読み上げられ、参加者一同の盛大の拍手で採択された。

 また、第二部では猿田教授の「トヨタ生産方式・トヨタウェイとATUの役割・責任」という講演が1時間にわたって行われた。さらに第3部の懇親会では、在日フィリピンの人たちの民族衣装による踊りと活動の紹介が行われたあと、参加者の自己紹介が行われた。  この懇親会と結成総会には、TMPCWAを支援する愛知の会の田中代表、笹日労の大西委員長、ふれあいユニオンの浅野委員長、APWSLの榊原さん、全造船いすゞ分会の風呂橋委員長、自動車産別交流会議のOidonなどのみなさんも駆けつけてくれた。
 

報告:阪野 智夫(全トヨタ労働組合(ATU)をサポートする市民の会)

 写真↑↓ 結成総会で挨拶する共同代表・中谷弁護士(左)と猿田中京大学教授(右) 2008年1月20日(日)愛知労働会館(名古屋市)

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全トヨタ労働組合(ATU)をサポートする市民の会 結 成 宣 言

 古来、労働は暮らしの中心をなし、生きる糧とし、喜びとし、人と人とのつながりの結び目としてきました。
 1987年の国鉄の分割民営化は、鉄路で働く人々を分断し、退職に追いやり、職場で憎しみと競争を煽り立てただけでなく、日本の隅々まで行き渡っていた線路を断ち切りました。それは、日本人が育んできた北から南までの「和(輪)の心」を断ち、労働への畏敬と連綿と受け継がれてきた働く者の団結をも破壊してしまったといっても過言ではありません。
 ひるがえってトヨタ自動車は、1992年に策定した「基本理念」の冒頭で「内外の法およびその精神を遵守し、オ−プンでフェアな企業行動を通じて、国際社会から信頼される企業市民をめざす。」と謳っています。
 トヨタという企業がその文言そのままに、ものづくり、人づくり、社会貢献を果たしてきたなら、「自動車絶望工場」などと決して非難(揶揄)されなかったことでしょう。また、世界語にもなった「KAIZEN・カイゼン」が、非人間的な過酷な労働の代名詞にはならなかったでしょう。
 あるいは、トヨタ自動車堤工場の、内野健一さんの過労死裁判で、自主的なものといわれていたQC活動、創意工夫(カイゼン)などの小集団活動が労働時間と認定されるなど、かくも厳しく企業姿勢が問われた判決は出されなかったに違いありません。  そうしたトヨタ自動車とそれに連なる企業連の中にこの職場、この会社、この社会を憂い、変えていこうという意志をもった労働者が声をあげました。そして立ち上がりました。
 その勇気ある労働者は、2006年1月22日、「全トヨタ労働組合」(ATU・全トユニオン)を結成しました。これまで「労使協調路線」のもと、過酷にして希望なき労働実態を放置してきた、およそ28万人といわれる「全トヨタ自動車労働組合連合会」と決別したのでした。
  「トヨタを変え、労働者の働く職場に人間性を取り戻す。」ATUが高らかに掲げたこの目的は、トヨタの労働者のみの闘いだけでなく、劣悪な労働条件で働かされる内外全ての労働者にとって極めて重要なことであることを私たちに教え、共感を揺さぶらずにはおきません。
 全トヨタ労働組合を取り巻く状況は決して楽観出来るものではありません。働く者の職業、職場、職種の違い、加盟する組合組織などの違いを超えた広い連帯と共に、市民の手で社会的に支えていく「輪」と「知恵」がいまこそ必要です。
 私たちはここに、現実から目をそらさず、希望ある社会の未来を共に考え、国際連帯の旗の下、全トヨタ労働組合の組織的発展と、ひるまぬ闘いを全国、全世界の労働者、市民と共にサポートし、また自らも自主的に行動するする「市民の会」の結成を宣言します。

2008年1月20日
      全トヨタ労働組合をサポートする市民の会
            結成総会参加者一同
            結成総会参加者一同


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