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以下は、「9条世界会議」最終日に採択された世界宣言です。

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『戦争を廃絶するための9条世界宣言』(全文)
 
 日本国憲法9条は、戦争を放棄し、国際紛争解決の手段とし
て武力による威嚇や武力の行使をしないことを定めるとともに
、軍隊や戦力の保持を禁止している。このような9条は、単な
る日本だけの法規ではない。それは、国際平和メカニズムとし
て機能し、世界の平和を保つために他の国々にも取り入れるこ
とができるものである。9条世界会議は、戦争の廃絶をめざし
て、9条を人類の共有財産として支持する国際運動をつくりあ
げ、武力によらない平和を地球規模で呼びかける。人類は、戦
争のない世界に向けてたえず努力してきた。歴史の中で、土着
の伝統や偉大な人物たち−−とりわけ女性たちは戦争に積極的
に反対してきた−−は、たえず人類を平和へと導こうとしてき
た。

 20世紀の近代戦争でもたらされた犠牲は、この流れをさら
に前に進めた。1928年のケロッグ・ブリアン不戦条約は、
国策の手段としての戦争を明確に放棄した。1945年の国連
憲章は、明確に定義された異常事態の場合を除いては「武力に
よる威嚇または武力の行使を慎まなければならない」ことを加
盟国に義務づけた。

 日本によるアジア太平洋への侵略戦争と広島・長崎への原爆
投下の後に1947年に施行された日本国憲法9条は、武力の
行使を認めるいかなる例外ももたないという点において、世界
平和のための国際規範の発展におけるさらなる一歩前進である
。この日本の動きに続いて、コスタリカは1949年、軍隊や
自衛隊をもたなくても国家は平和的に存在できるという例を世
界に示した。

 9条の精神はまさに、すべての戦争が非合法化されることを
求めている。そして、すべての人々が恐怖や欠乏から解放され
平和のうちに生きる固有の権利を有することを世界に投げかけ
ている。


 今日の世界における9条しかし今日の世界は、武力紛争、大
規模な貧困、格差の拡大、武器の拡散、地球規模の気候変動に
覆われている。アメリカによる全面的な「テロとの戦い」は、
戦争をもたらし、国連の役割を台無しにし、地球規模の軍備競
争を復活させ、世界中で拷問を助長し、人権をむしばんでいる


 さらに、紛争が民間人−−とりわけ女性、子ども、高齢者た
ち−−に与える影響に対する関心が高まっているにもかかわら
ず、戦争において殺され傷つき避難を余儀なくされる民間人の
割合は、空前の高さに達している。

 このような絶望的な状況は、イラクにおける戦争と占領には
っきりと示されている。平和や民主主義が武力によってもたら
されないことは、もはや明らかである。こうした世界的な流れ
のなかで、9条の原則を保持し、地球規模の平和と安定のため
の国際メカニズムとして強化することが、かつてないほどに重
要になっている。

 それにもかかわらず日本は、憲法9条の義務を果たしていな
い。さらに、9条の存在自体がいま脅かされている。今日の日
本の自衛隊は世界最大規模の軍隊の一つであり、アメリカは日
本中に軍事基地をもっている。日米軍事協力がますます強化さ
れるなか、日本の現実は憲法9条の精神からの乖離をいっそう
深めている。

 日本によるアメリカヘの全面的軍事支援を可能にさせるため
に憲法を改定しようという動きは、日本国内、アジア近隣地域
そして国際社会で不安をかきたてている。そればかりでなく、
日本は近隣諸国への戦争責任を果たしておらず、和解はいまだ
なされていない。東北アジアには、不安定な冷戦構造がいまだ
に残されている。


 9条と地球市民社会歴史的には、国家のみが国際関係の主体
であると考えられてきた。しかし、市民の運動が重要な役割を
果たしてきたこともまた事実である。1990年代よ
り、地球規模の市民社会が、草の根レベルで国境をこえて団結
し、人類の将来の決定に参加するようになってきた。そして、
平和、人権、民主主義、ジェンダーおよび人種の平等、環境保
護、文化的多様性といった課題について、主要な役割を果たす
ようになってきた。

 1997年の対人地雷禁止オタワ条約、1999年の「ハー
グ平和アピール」国際市民会議、2002年の国際刑事裁判所
の設立、2003年のイラク戦争に対する空前の世界的反戦運
動といった例はいずれも、地球市民社会が変声の主体としての
力を明確に示したものであった。さらに今、クラスター爆弾の
禁止や小型武器の管理を求める運動、核兵器の非合法化を求め
る運動、また地球規模の平和と経済的・社会的正義を求める運
動が広がっている。いまこそ地球市民社会は、9条の条項とそ
の精神に着目し、その主要な原則を強化し、地球規模の平和の
ためにそのメカニズムを生かしていこう。


 9条の約束を実現する9条の主要な原則を国際レベルで実行
するためには、大国から小国まですべての国々は、暴力紛争の
発生を予防する責任を果たし、いかなる状況下でも武力による
威嚇や武力の行使を放棄しなければならない。そして安全保障
というものを、人間の観点またジェンダー・バランスの視点か
ら見直す必要がある。

 貧困と不平等が紛争の根源的要因となっていることは、古く
より知られるところである。現在のグローバリゼーションは、
南北の格差をさらに深刻にしている。こうしたなかで各国政府
は、国連ミレニアム開発目標の達成を第一歩として、すべての
人々にとっての持続的繁栄と社会正義を築くために資源を使わ
なければならない。

 日本の9条は、国家の平和的存在を可能にし、人間の発展の
ための革新的な資金メカニズムを創ろうとする努力を後押しす
るものである。それは、軍備を規制し世界の資源の軍事費への
転用を最小化すると定めた国連憲章26条を補完している。

 9条の精神は、小型武器、地雷、クラスター兵器、核兵器、
生物・化学兵器などを含むあらゆる軍備の拡大および拡散や、
軍事津業の活動を否定する。それはさらに、安全保障政策にお
ける核兵器への依存を拒否し、核兵器の非合法化と廃絶を求め
ている。

 潘基文国連事務総長が再確認したとおり、世界的に軍事費を
削減し限られた資源を持続可能な開発に振り向けることは、地
球規模で人間の安全保障を促進し、軍事活動による環境への悪
影響を軽減することにつながる。

 持続可能な開発に関する世界サミットおよび国連委員会は、
各国政府および企業に対して、地球の気候、水、森林、生物多
様性、食糧、エネルギー供給を保全するよう求めている。同時
に、気候変動は紛争の発生、悪化、助長をもたらす危険があり
、気候変動の過度の影響から地球を守ることに投資することが
重要である。

 2005年7月、「武力紛争予防のためのグローバル・パー
トナーシップ(GPPAC)」の世界提言は「日本国憲法9条
はアジア太平洋地域全体の集団的安全保障の土台になってきた
」と指摘した。すなわち9条が、この地域の安定に重要な貢献
をしており、包括的かつ持続的な平和の構築のために大きな潜
在力をもっていることを認知したのである。世界の他の地域に
おいては、欧州連合、アフリカ連合、東南アジア諸国連合とい
った形で、平和のための地域メカニズムがつくられている。東
北アジアにおいては、9条が、地域の平和的統合の土台になり
うる。

 私たちは、平和で持続可能な世界をつくることができる。し
かしそれは、すべての国が真の多国間主義に参加し、国連をは
じめとする国際的誓約を尊重してはじめて可能になる。9条を
実行し、他の国々もまた9条をもつようになるためには、国際
システムの改革が同時並行的に必要である。さらに市民社会は
、暴力に対する平和的オルタナティブをつくり出し、地元、国
内、地域、世界の各層におけるネットワークを通じて平和を構
築する力をもっている。軍事主義を止め将来
の戦争を予防するために、市民社会の力を発揮していこうでは
ないか。

 これらの目標を達成するために、9条世界会議に参加した私
たちは、以下の通り提言する。

*私たちは、すべての政府に以下のことを求めます。*

 1.
 国連憲章、ミレニアム開発目標、国際人権法、核不拡散条約
をはじめとする軍縮条約など、すべての国際的誓約を実行する
こと。

 2.
 あらゆる人権を促進し擁護しつつ、平和のうちに生きる固有
の権利を認め公式化すること。平和のうちに生きる権利なしに
は、他の人権も実現しえない。また、人権侵害に対する責任お
よび補償メカニズムを強化すること。

 3.
 平和的手段による紛争予防、平和構築、人間の安全保障のた
めの取り組みを支持し、資金を投人すること。

 4.
 軍事費を削減し、それらの資金を、保健、教育、持続可能な
社会開発に振り向けること。

 5.
 平和省を設置すること。また、教育担当省庁が平和教育をす
べての教育段階において体系化および必修化すること。それに
は、学校のカリキュラム、教師の研修、教材資料の作成などが
含まれる。

 6.
 平和をつくる主体として女性が果たす重要な役割を認識する
とともに、国連安保理決議1325を実行して、あらゆる意思
決定と政策策定の場に女性の完全かつ積極的な参加を相当数保
証すること。

 7.
 良心的兵役拒否の権利を認めるとともに、軍隊による犯罪に
対する責任および司法システムを強化すること。それには、侵
略の罪を国際刑事裁判所に訴追する可能性も含まれる。

 8.
 包括的で効果的な武器貿易条約を成立させること。また、大
量破壊兵器から小型武器まで、あらゆる兵器の検証可能で不可
逆的な軍縮をすすめる第一歩として、非武装地帯を設置するこ
と。

 9.
 1996年の国際司法裁判所の勧告的意見、および、200
0年の核不拡散条約再検討会議最終文書における「明確な約束
」にしたがって、すべての核兵器を廃絶するための誠実な交渉
を即時に開始し、妥結すること。

 10.
 核兵器を早期、普遍的かつ検証可能な形で廃絶するための段
階的措置として、非核兵器地帯の設置をすすめること。

 11.
 地球規模の気候変動に対処することを誓約するとともに、戦
争と軍事のもたらす環境への負の影響を転換すること。持続可
能な地球を守りクリーンで安全なエネルギーのための技術を促
進し共有するような「国際持続可能エネルギー機関」の設立に
向けて投資すること。

 12.
 平和と安全を維持するための多国間の民主的機関としてもっ
とも相応しい国連をさらに民主的に改革するために、拒否権を
廃止し、総会の役割を再活性化すること。

 13.
 日本の憲法9条やコスタリカ憲法12条のような平和条項を
憲法に盛り込むことなどを通じて、戦争および、国際紛争解決
のための武力による威嚇と武力の行使を放棄すること。


 *私たちは、日本政府が以下のことに取り組むことを奨励し
ます。*

 1.
 日本国憲法9条の精神を、世界に共有される遺産として尊重
し、保護し、さらに活性化しつつ、国際平和メカニズムとして
の潜在力を実行に移すこと。

 2.
 軍事化の道を歩まず、東北アジアにおける不安定な平和を危
機に陥れるような行動をとらないこと。

 3.
 世界各地における持続可能な開発のための人間の安全保障に
注力するとともに、ミレニアム開発目標の達成という経済大国
としての責任を果たすことによって、国際社会で主導的な役割
を果たすこと。


 *私たち市民社会は、以下のことに取り組むことを誓約しま
す。*

 1.
 9条の主要な原則の維持・拡大を地球規模で促進していくこ
とに真剣に取り組み、平和の文化を普及していくこと。

 2.
 政治的、市民的、経済的、文化的なあらゆる人権の普遍性と
不可分性を認め、あらゆる人権が実現するための必須条件とし
て、平和のうちに生きる権利を公式に認めるよう求めること。

 3.
 平和、人権、人道援助、軍縮、環境、持続可能な開発といっ
た異なるセクター間の協力を強めることで能力を高め、効果的
なネットワークを築くこと。地元、地域、世界レベルでの市民
社会の参加をより拡大するために、政府、国家機関、国際機関
との定期的な連絡チャンネルを設置すること。

 4.
 南アフリカの真実和解委員会の経験に学びつつ、過去から学
び、紛争予防としての和解の取り組みをすすめること。

 5.
 人々が、調停、合意形成、非暴力的社会変革といった平和創
造の技術をすべてのレベルにおいて身につけることができるよ
う、公的および民間の平和教育システムを支持すること。

 6.
 不公平を生み環境を破壊し紛争を助長するようなグローバル
経済の力の集中に対抗して、平和、開発、環境に投資し、公正
で非軍事的な経済をつくり出すこと。

 7.
 兵器の生産と貿易に反対してこれらを監視し、企業の社会的
責任の責任規範のなかに平和を位置づけるよう呼びかけること


 8.
 以上の提言、および、「21世紀の平和と正義のためのハー
グ・アジェンダ」(1999年)、GPPACの世界および地
域提言(2005年)、「バンクーバー平和ピール」(200
6年)、「暴力のない世界に向けたノーベル平和賞憲章」(2
007年)などのさまざまな平和文書に盛り込まれた提言を、
実行に移すこと。

 9.
 9条世界会議の成果を発展させつつ、「戦争廃絶のためのグ
ローバル9条キャンペーン」によるフォローアップ・メカニズ
ムを創設すること。




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