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LNJ Logo 尼崎事故〜107名が死亡する原因となった車両軽量化を推進したA級戦犯を弾劾せよ!
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特急たから@安全問題研究会です。

今年2008年は、尼崎事故から3年を迎える年です。
事故から3年近く経っても、関係者の心の傷は全く癒えていません。それどころか、事故で最愛の人を失った悲しみから後追い自殺をした人まで出ています。

「息子の命を金に換える気にはなれない」と示談を拒否する遺族がいます。
事故を単なる事故で終わらせないために「事故の社会化」を目指して闘う遺族がいます。
「残る命のすべてを鉄道の安全のために懸ける」と決意する遺族がいます。
無念の思いで亡くなった107名、そして失意の中で暮らす遺族たちを思うとき、この事実を告発することは、もはや私に課せられた使命だとさえ思います。

鉄道ファン向けの趣味雑誌で最大部数を誇るのが「鉄道ファン」誌です。若い鉄道ファンから、日本で最も権威ある鉄道趣味団体「鉄道友の会」の会長に至るまで、幅広い層に読まれています。
その鉄道ファン誌の2月号(12月20日発売号)に、「209系誕生秘話〜新しい電車のコンセプト」と題する記事が掲載されています。電力消費量が少ない代わりに、寿命が短く耐久性のないことから鉄道ファンに「走ルンです」と蔑称される軽量電車の先駆け、209系電車の開発について書かれた記事で、著者は山之内秀一郎氏です。

この山之内なる人物は、1985年6月、国鉄民営化に反対する仁杉巌総裁以下、9名の国鉄経営陣が更迭に追い込まれた中曽根元首相による「宮廷クーデター」時に国鉄常務理事(保安担当)となります。その後、分割民営化に対する「功績」が評価されてJR東日本副社長となり、同社会長を経て、宇宙開発事業団理事長に転出した人物です。
その経歴から、この山之内氏が国鉄解体の「A級戦犯」であることは論を待たないところですが、この「鉄道ファン」誌の記事では、驚くべき事実が山之内氏本人の手によって次々と語られます。

『私自身は車両を発注する部門にいたことはないが、車両に限らず国鉄が買っている物品や工事は、民間企業と比較してかなり高いという感覚を抱いていた。…2年足らず後には民間会社になることが決まった以上、まずこうした官庁的な高価格構造を抜本的に改革していかなければならない、という強い使命感もあった』

『ちょうどそのころ、わが家のビデオが故障した。メーカーに修理を頼むと、7万円で買ったビデオの修理に4万円近くかかるという。これにはショックを受けた。金額が高いよりも修理をすること自体が、こんなにも高価な時代になったという事実に、修理をするより買い換える時代になっていたということに今ごろ気がついたのだった。だからみんなが新製品を買うのだと。だとすると、国鉄の価値観は時代遅れというか、間違っているのではないかと考えた』

『とは言え、いきなり国鉄内部で「もう電車の大修理はしない、傷んだら新車に取り替える」と言っても、誰も相手にはしてくれないだろう。経理局が相手にしてくれないだけでなく、肝心の車両局も車両の発注が増えることには歓迎するだろうが、30近くある工場が要らなくなると、これは大問題。…これを実現するためには、もう少し工夫が要る。電車の値段を半分にできれば、寿命を半分にしても全体の設備投資額は変わらない。それだけでなく、電車の寿命が半分になれば、修繕費も大幅に少なくできる。これなら誰も文句はないだろう。お客様は喜ぶし、メーカーにも活気が出る。問題は本当に価格を半分にできるかどうかだ』

山之内氏は、国鉄が切り捨てていった第三セクター鉄道を視察し、そこで「国鉄時代につきあいのなかった地元の工場に見積もりを頼むと国鉄より3割は安かった」という事実を聞きつけ、「今の設計仕様のままでも車両価格を3割下げられるかもしれない」と思いつきます。

これだけなら、安全性を損なうことなく車両調達価格を下げられるのですから、文句を言う筋合いのことではないのですが、価格をさらに下げるため、山之内氏はなんと、車両の重さを半分にすることを考えます。そして出てきたのが『寿命半分、値段半分、重さ半分』のスローガン。
そこには、車両の安全性を考慮した形跡は全くありません。それどころか、国鉄時代、保安担当常務理事の肩書きを持っていたはずのこの山之内氏からついに安全のアの字も出ないまま、記事は終わっています。

『家に帰って買ったばかりの愛車の後部座席のシートをひっくり返してみた。そこで驚いたのは、一見立派に見えるこのシートも裏を見ると、ウレタンの見るからにお粗末なつくり。外見は立派に見せておいて安くできる部分は徹底的にコストを減らしている。鉄道はその反対で、見えないところほど頑丈にして壊れないようにしてある。それが第一の発見だった』…国鉄時代の鉄道車両が安全のため、高いコストをかけて作られていたことを、山之内氏はみずから認めています。それにもかかわらず、そうした国鉄のあり方を否定し、『寿命半分、値段半分、重さ半分』の車両に変えていった山之内氏。
『…今だから告白するが、価格半分には必ずしも自信はなく、でも少なくとも3割くらいは下がる可能性はあるだろうと思っていた。寿命半分の方は、いずれ必ずそうなると思っていた。車両に限らずメンテナンス技術は、鉄道企業にとっては非常に重要な技術だが、そのために巨額の費用をかけ、多くの人員を抱えているのは企業経営戦略として決して得策でないだけでなく、新しく入社してくる新人社員たちも、汚くて地味な仕事であるメンテナンス部門を希望する者など、まずいないはずだ。もっと新鮮で創造的な仕事がしたいだろう』

日本の鉄道技術を陰で誇りをもって支えてきた整備の仕事を『汚くて地味』『希望する者などまずいない』とは何たる言いぐさか!
この発言を聞いて、ナベツネこと渡辺恒雄・読売新聞社長の「たかが選手が」発言を思い出しました。プロ野球も鉄道も、仕事は現場で持っているのに現場を蔑視するかのごとき発言。それともそのような『汚くて地味』な仕事は『希望する者などまずいない』のだから派遣やパート、アルバイト、外国人研修生にでもやらせておけばいいとこの御仁は思っているのだろうか?

鉄道の現場を軽視し、『もっと創造的な仕事』を追い求めた結果、現場技術力が崩壊し多発するレール破断と、その一方で空前の利益を上げるエキナカビジネス。ああなんてわかりやすいんだろう。JRがこのようなおかしな会社になったのもうなずけるというものです。
そもそも、尼崎事故の原因が車両軽量化にあることがはっきりしていながら、現在に至ってもなお「軽量化=コスト削減」万々歳思想を振りまき、ひけらかす神経が全く理解できません。
しかも、山之内氏はこの記事の結末で『結果として価格は半分にはならなかったが、寿命は半分になった』と付け加えることを忘れませんでした。予備車の保有両数を削減できたとしても、車両調達費を国鉄時代より安くすることにはならなかったわけで、いったい『寿命半分、値段半分、重さ半分』は誰のためなんでしょうか?
はっきりしています。車両メーカーを儲けさせるためです。『電車の寿命が半分になれば、…メーカーにも活気が出る』と、山之内氏はみずから認めています。車両メーカーの儲けのためなら乗客など死んでもいい…これが山之内氏の「経営理念」です。

結論ですが、今後、私は間違ってもこの山之内なる人物を技術屋とも鉄道マンとも認めません。鉄道をダメにした人物のひとりであると同時に、尼崎事故で107名が死亡する原因を作った軽量化路線の推進役として、まさにA級戦犯であり、その罪は万死に値するものです。

昨年末、尼崎事故の負傷者の方が、JR西日本を相手に損害賠償訴訟を起こしましたが、もし彼が望むなら、車両軽量化を推進したA級戦犯・山之内氏を「敵性証人」として法廷に立たせるなどの闘いを考えていく必要があります。また、この鉄道ファン誌の記事は、「敵性文書」としてじゅうぶんに活用できるものだと思います。
私は、この記事を尼崎事故被害者の闘いに役立ててもらうため、「4・25ネットワーク」に送付する予定にしています。

なお、この記事を読みたい方は、「鉄道ファン」誌2月号をお買い求めになることをお勧めします。すでに発売から20日近く経過していますが、少し大きめの書店に行けば、残っているところもあると思います。

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特急たから aichi200410@yahoo.co.jp

国労闘争団支援私設サイト「闘争団とともに 人らしく」
http://www.geocities.jp/aichi200410/

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