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News Item 0129-02
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「NHK番組介入裁判」に全面勝訴
原告の「期待権」「自己決定権」認め被告3者に200万円賠償命令


 1月29日、東京高裁においてVAWW-NETジャパンを原告とする「NHK裁判」の控訴審判決があった。第17民事部は原告の主張を全面的に認め、被告NHKおよびNHKエンタープライズ(NEP)、同ドキュメンタリージャパン(DJ)に対し、総額200万円の損害賠償金の支払いを命じた。

 この日午後1時過ぎ、高裁前には傍聴を求める支援者・市民らの長蛇の列ができていた。68人の定員に対し160人余りが集まった。

 開廷は2時。数分後には原告弁護士が「勝訴」の二文字を高裁前のメディア、支援者らに掲げた。VAWW-NETジャパンの東海林路得子さんは高らかにVサイン。西野瑠美子さん(写真)は感極まって泣き崩れた。

 3時から司法記者クラブで、4時から弁護士会館でそれぞれ記者会見が行なわれた。

 6時から東京・池袋の東京芸術劇場大会議室で勝利報告集会が開催され、170人余りの人々が勝利の喜びをわかちあった。

 今回の判決のポイントは、「戦犯法廷」を報じた番組が、NHK上層部および政治家の介入によってズタズタに編集された結果、被取材者であり法廷の共同主催者である原告らの「期待権」が侵害されたこと。

 さらに、番組改編の結果、制作担当者が当初説明した内容とは相当かけ離れたものになったと認定し、もしこの説明を主催者側が受けていれば、自己決定権の一態様として、番組離脱や、対抗的な手段を講じることができた。したがって被告制作側の「説明義務違反」によって、原告は法的な利益を侵害された、と断罪したことである。

 また、「期待権の侵害」は報道一般、取材行為一般に適用されるのではなく、ドキュメンタリーなど、事実関係の表現が取材対象者の重大な関心となる「特段の事情」を有する場合に限定し、かつて「聖域」とされたメディアの「表現・報道の自由」の、一定の制限と保護、さらに被取材者の「自己決定権」をも尊重した。高度にバランスの取れた、踏み込んだ判決となった。原告はこれを「歴史的・画期的」と高く評価した。

 報告集会では、参加者と担当弁護士らの詳細な質疑応答が行なわれた。

「NHKは自民党に、まっすぐ真剣なのだ」。発言を求められたNHKOBの川崎泰資さんは、旧態依然とした官僚的体質を厳しく批判した。ある参加者は、この判決を決定した裁判所側への激励や支援の必要性を訴えた。予想される上告審の見通しなども語られた。

 なお、NHKは当日のニュースで「遺憾」と上告の意志を示し、介入当事者の安倍首相は、「政治的介入が認められなかった」などと、平然としていた。 この判決の水準を維持しつつ、上告審ではさらに完全な勝利をめざそう。(写真と文/T・横山)


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