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樺浩志です。

連続になりますが、民営化反対関連の翻訳紹介です。今回は、民営化に組合総力で反対し、政権政党=自民党…じゃなかった労働党に“除名処分”を受けながらも組合員数を伸ばしている英国鉄道労組RMTの月刊誌より訳出紹介です。

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RMT労組書記長 ボブ・クロウ論説 (部分訳)
英国交通労組RMT公式月刊誌『RMTニュース』2005年11-12月合併号3頁目
www.rmt.org.uk
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「規則改正は安全を高めるため」、とは政府に操作された情報だ。実際には、対火災安全規則が改悪され、緊急時には第1線に立つスタッフ数を削減され、民間業者は安全問題で協議する事を拒否している。

地下鉄労働者たちは7月爆弾事件に際しプロ根性を発揮し、正しくも賞賛を浴びた。ところが全英で我々が直面している現実とは、利益のためには駅員も車掌も無くしてしまう政策だ。ロンドン地下鉄社(LU)は、訓練されたプラットホーム駅員と改札スタッフ数の削減計画をいまだに検討している。

最近、ロンドン市当局の交通委員会で証言する機会があった。ノーザン線での緊急ブレーキシステムの欠陥が明らかになり、列車メンテナンスを下請けに出す危険性がハッキリしたにも関わらず、メトロネット社が列車メンテを孫会社のボンバーディア社にアウトソーシングしようとしてるいるので、この事に警告を発してきた。

メトロネット社勤務のRMT組合員は、このアウトソーシングが自分達の失業・減給・分断・安全面での妥協を意味する、と正しくも理解していた。だからこそ、それを阻止するためにスト投票を行い、80%以上もの人々がスト賛成票を投じたのだ。運転士諸君はいつも思い出して欲しい:乗客や自分自身の安全に問題を感じるような事態になった時、諸君には列車運行を拒否する権利があるのだ、と。

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若い組合員と労組 (部分訳)
英国交通労組RMT公式月刊誌『RMTニュース』2005年11-12月合併号4頁目
www.rmt.org.uk
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「若い組合員の連絡委員会」メンバーのブライアン・バンクロフトが、 組合内における若者の役割、その力について語った。

全国大会と連絡委員会を含め、RMT労組の青年組織は本当に若く、歴史も浅い。このような青年組織を維持するのは時間と金の無駄だと思う人もいるかもしれない。しかし幸いな事に、圧倒的多数の組合員は非常に協力的だ。

我々はこれまで2回の青年会議を開催した。はじめがプリマス、次がノッティンガムだ。組合予算の見直しや交通産業の全青年労働者を対象とする認識のあり方などを含め、様々な問題が議論された。

青年の中でも特に活動的なメンバーが、行動の先頭に立っている。こう報告できるのは本当に素晴らしい事だが、青年の組合参加数は増えているし、数年のうちに若者達の声が組合内で大きな位置を占める事になるだろう。

またそうした状況を作り出すためにも、青年組合員が組合にとどまり成長していけるような労組主義(tradeunionism)に則った教育が保障されねばならない。

青年メンバーこそが労組の未来を担う、という明明白白な事実を考慮に入れないとしても、全組合員中で若者人口が増える事は非常に重要な事だ。もう何十年も前、まだ労組がもっと強い力を持っていた頃、青年組合員は古株の組合員を見て学べ、と正しくも言われたものだった。しかし、マーガレット・サッチャーによって80年代に導入された反労組諸法はそうした以前のあり方を完全に破壊してしまった。以降、若者たちは、労組に加入しないだけでなく労組なんて聞いた事もない、というような状況におかれてきた。

経営者どもは、解雇や減給処分を含め様々な脅迫的な言辞・振る舞い・そして実力行使を強めてきた。彼らは特に若者を狙いうちにすることが多かった。若者はえてして労働者の権利の内容やそれがどの法で保障されているかを知らないからだ。

最近の事例では、ある列車乗務員A君のケースがある。A君は勤務中に乗客から暴行を受けたのだが、その後会社は「A君の安全を守るため」に彼を解雇した。とんでもない事だ。幸いな事に、彼は我が組合の職場代表を知っており、相談に来た。そして我が組合の尽力の後、現職復帰を勝ち取った。しかしこれこそ、現代世界の赤裸々な実態だ。公正な雇用と就業中の安全、という労組の根幹の価値感が、雇用者どもの攻撃にさらされているのだ。

青年組合員組織の目的は、若く新しい組合員たちに労働者としての権利や労組の存在意義を伝える事にある。この目的の貫徹のためには、皆さんの協力が不可欠だ。職場や地域にいる青年たちに、我々青年グループの存在を教えてあげて欲しい。労組の複雑な役割を学習する助けになることを伝えて欲しい。より安定した事業とより明るい未来を望むものは皆、まだ我々の存在を知らない沈黙の数千数万と対話し、未来の活動家たちを育て上げていかねばならない。

RMT青年メンバーの活動についてもっと知りたい方は、組合本部のレイ・スプライシュートに連絡するか、私宛に電話(079-XXXX-省略)をして欲しい。

(写真リード:クロウ書記長と若い組合員たち。青年組合員学校にて。 青年学校は組合年次大会にあわせて開催された。)

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3・28年金改悪反対ストもそうでしたが、英国ストのキーワードは
▼「現場がまず立ち上がる」というランク&ファイル(現場)主義の実践であること
▼「(たとえ他労組のピケだろうと)ピケを越えない」という連帯原則を守り抜くこと

▼そして、ストとその準備過程で徹底してリクルート(新規組合員拡大)をはかる
ということです。100万人規模の労組が組合員数を減らしてジリ貧となり、合併でなんとかごまかそうとしている一方で、RMT、PCS、NUJ等の数万レベルの中小労組が伸びているのは、実際にストを打ち、その度に組合員数が増えているからです。ピケ破りに動員されるのが嫌で、非組合員が、あるいはスト闘争に入っていない労組員が、スト労組に次々に加盟しているのです。イギリスの労組全てが伸びているわけでなく、原則を曲げずに闘っているところが伸びている点にご注目下さい。

イギリス、フランスの熱い情勢は日本と全く無関係なのでしょうか?蛇足ですが、もう一点だけ訳出紹介します。フランスの現情勢は、1968年のフランス学生革命情勢との対比でよく語られています。その68年革命前夜情勢についての英国左翼新聞の言及です。

「1968年情勢の素晴らしい点の一つは、その意外性だった。労働者はもはや革命的な潜在力を失っている、と広く考えられていた。無感動のために大衆闘争など起こりようがない、と我々は聞かされていた。『エコノミスト』誌は、支配階級の利益の代弁者であるが、1968年5月の段階でフランス社会についての世論調査を発表した。それによると、フランスの生活水準はイギリスのそれを上回り、フランス労組は「情けないほどにひ弱だ」った。1968年4月にパリを訪れた英国の社会主義者は、フランスの学生活動からこう言われた。「皆さんが羨ましいです。ベトナム戦争に反対し、英国では大きな反戦デモが起きています」と。その年の3月、ロンドンのアメリカ大使館前では3万人がデモ行進していた。しかしその数週間後に何が起きたか?百万人を優に越える人々がパリの街頭を埋め反戦を掲げて立ち上がったのだった」 (byイアン・バーチル 『ソーシャリスト・ワーカー』06年04月01日号より部分訳出)

尼崎一周年まであとわずかです。頑張りましょう。職場で、学校で、地域で、今いる場所で、運動を作り上げていきましょう。必ずそれは世界の仲間に伝わります。

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レポート by 樺浩志
japan2world@hotmail.com
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