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レイバーネット日本設立集会 2001年2月10日

韓国労働ネットワークの経験と国際連帯

韓国労働ネットワーク協議会事務局長
李龍根
polab007@jinbo.net

まず日本にも労働ネットワークが作られるようになったことについて、 とてもうれしく、歓迎します。 韓国労働ネットワークを代表して日本労働ネットワークのスタートを心からお祝い申し上げて、連帯のご挨拶をお伝えます。

■96-97年ゼネスト闘争と通信支援団

韓国労働ネットワークは1998年11月14日、正式に発足しました。 しかし韓国労働ネットワークが建設されるまでの過程は、 96年末の労働者のゼネスト闘争に遡ります。

当時、韓国では独占財閥中心の賎民的資本主義の限界が徐々に表れ始めていて、 その克服のために韓国の資本と政権は新自由主義的構造調整を本格化し 始めました。これは世界的な規模で展開される資本の過剰蓄積と、それに ともなう不安定性の深刻化、資本間競争の限りない激化等として表現される 資本主義世界経済の傾向と危機の反映でもあります。このような危機を克服し ようとする資本の新自由主義的な攻撃が韓国で本格的に始まったのが、 1996年12月26日の労働法強行採決による改悪からです。つまり資本側に 「解雇の自由」を法で保障し、新自由主義的構造調整の基礎を用意したのです。

このような労働法改悪は労働者階級の巨大な憤怒と抵抗を呼び起こし、その 力を土台に、一か月にわたって工場に、街頭にと、労働者等のゼネスト闘争 が洪水のように広まりました。 1987年の労働者大闘争に続く「韓国労働者階級の政治的宣言」だった このゼネストは、新自由主義に抵抗する国際的な闘争の一環でもありました。 こうした工場と街頭での闘争の熱気と同じほどに 熱い闘争がオンラインの空間でも展開したのですが、 それが他でもない「ゼネスト通信支援団」の活動でした。

情報通信運動グループを中心に、一般の通信利用者の自発的な参加で構成さ れたゼネスト通信支援団は、当時「ブラックリボン運動」と 「[ストライキ支持]のヘッダー掲揚運動」など、 オンラインでの各種のキャンペーンを主導する一方、 「ゼネスト(STRIKE)ホームページ」 (http://strike.nodong.net/strike9697/)を運営して国内外のネットワーカー にゼネスト闘争のニュースを伝える最も有力な窓口になりました。このよう な活動の結果、パソコン通信とインターネットでゼネスト支持の世論が大き く広がり、インターネットのメールを通じて国際的な支持世論も引出す等、 国内外で新鮮な衝撃を作り出したのです。

■ '97ソウル国際労働メディアとIMF政局

労働者ゼネスト闘争の洗礼を受けた韓国情報通信運動グループは、 それ以後、国際的な情報通信・メディア分野の経験と成果を共有し、 連帯するという問題に関心を持つようになりました。 そこで推進されたのが、まさに97年11月10日から3日間開かれた 『'97ソウル国際労働メディア』(Seoul International LaborMedia '97) というイベントです。

このイベントは、英国、オランダ、米国、カナダ、イスラエル、南アフリカ 共和国、日本など8か国から20余人の外国人と、国内から千人余りが参席し、 盛況裡に開催されました。このイベントに参加した外国人の中には、映像 (ビデオ)運動の関係者と共に米国のLaborNet、英国のLabourNet関係者など が含まれていました。

このLaborMediaイベントの間、各国の労働ネットワークの経験が紹介され、 国際労働ネットワーク(GlobalLaborNet)が提案される等、熱気に溢れる討論 が行われました。これと共に「韓国労働ネットワーク」に対しても何回か言 及されたのですが、残念ながらこのイベントでは、その具体的な形や建設の 道について議論する程の十分な用意ができず、今後の課題として残して終え ざるを得ませんでした。しかし、韓国にも労働ネットワークが必要で、その 準備にすぐに着手しなければならないという課題認識だけでも、とても重要 なイベントでした。

一方、LaborMedia'97直後の1997年末に、韓国資本主義の構造的脆弱性は、 IMF外国為替危機の形で爆発しました。その結果、経済危機のあらゆる負担 は韓国の労働者と民衆に転嫁され、われわれは経済的な苦痛の中で資本と政 権の新自由主義的な構造調整に対抗し、生存権を守るための闘争を続けてき ました。まさにこのような過程で韓国労働ネットワークが作られることになっ たのです。

■『韓国労働ネットワーク協議会』建設の過程

LaborMedia'97が終わった後、このイベントを主催した『LaborMedia'97組織 委員会』は、課題として残された「韓国労働ネットワーク」の建設を準備す るために、1998年4月『労働ネットワーク推進準備会』を構成することにな ります。一方、この時に社会運動陣営による共同の独立ネットワークの構築 とネットワークの物理的資源(ハードウェア、通信回線、装備など)提供を目 標とした『進歩ネットワークセンター推進準備会』も同時に発足しました。

この二つの準備会は、進歩ネットワークと労働ネットワークの主要サービス になるBBS事業とインターネット事業に関する企画と準備を経て、8月20日試 験サービスを開始しました。パソコン通信網のチャムセサンBBSは 「telnet://jinbo.netで、そしてインターネットには 「http://www.jinbo.net」(進歩ネットワーク)と「http://www.nodong.net」 (労働ネットワーク)というアドレスでそれぞれのサービスを始めることになっ たのです。このような試験サービスの過程を経て、1998年11月14日に『進歩 ネットワークセンター』と『韓国労働ネットワーク協議会』の正式発足に至 ります。

労働ネットワーク建設の過程には、多くの労働組合と労働運動団体が公式に 参加しました。民主労総と韓国労総の二大労総が両方とも参加し、韓国労働 理論政策研究所、労働組合企業経営研究所などの労働専門研究機関、そして 労働情報化事業団、労働者ニュース制作団のような情報通信・メディア関連 団体など、計17の労働組合・団体が韓国労働ネットワーク協議会に会員団体 として参加することにより、労働ネットワークは韓国の労働運動で情報交換 の中心としての位置を占めることになりました。

■韓国労働ネットワークの組織構成と運営

韓国労働ネットワーク協議会(the Council of Labornet in South Korea) は、個人が加入する会員団体ではなく、労働関連団体が加入する団体間の協 議体です。現在、労働ネットワークに加入している会員団体は次の通りです。

労働組合総連合団体: 全国民主労働組合総連盟、韓国労働組合総連盟

労働専門研究機関: 労働組合企業経営研究所、韓国労働社会研究所、韓国労働理論政策研究所、産業労働学会

労働者政治組織: 労働者の力準備会、民主労働党

情報通信・メディア関連団体: 労働者の声、労働者ニュース制作団、労働情報化事業団、蔚山労働者情報通信支援団、韓国労働政策情報センター

労働運動支援団体: 民主社会のための弁護士の会・労働委員会、永登浦産業宣教会、外国人労働者対策協議会、移住労働者闘争本部、全国労働団体連合、韓国非正規労働センター

その他: 国際連帯政策情報センター、全国労働者文化運動団体代表者会議

このように、韓国労働ネットワークには韓国労働運動を代表するほとんどの 労組・団体が加入しています。そのため、情報通信ネットワークを通した労 働運動の疎通と連帯において、労働ネットワークが持つ代表性は非常に高く なっています。

労働ネットワークの公式な組織体系には代表者会議、運営委員会、事務局が あります。それぞれの構成と役割は次の通りです。

代表者会議: 全会員団体で構成され、定期会議は年1回招集されます。任期1年の役員(運営委員長、事務局長、運営委員、監査)の選出、年間事業計画の承認、予算及び決算の承認などの主な事項を決定する最高意志決定機関です。

運営委員会: 運営委員長と事務局長、運営委員団体で構成(計10人内外)され、定期会議は1か月に1回開かれる。労働ネットワークの日常的な事業を審議して決定する意志決定機関です。

事務局: 労働ネットワークの会計管理と組織管理、会議管理、そして労働ネットワークのオンライン運営と連帯事業など、各種の事業の実行について実質的な責任を負う執行機関です。通常、週1回程度の会議を開き、現在は事務局長1人と実務スタッフが2人、事務局事業を補助する多数のボランティア活動家がいます。

特別事業単位: 労働ネットワークは公式の組織体系の他に、必要により特別な事業単位を構成することがあります。たとえば労働者等の全国的な闘争が展開される時は通信支援団や合同中継団・メディアセンターのようなものを作って運営し、労働メディアイベントがある時は行事組織委員会を構成するといった調子です。情報通信検閲反対共同行動のように、さまざまな情報通信運動グループと共同闘争機構を作ることもあります。

韓国労働ネットワークの収入構造は、現在会員団体会費(団体当たり1年に10 万円、労組総連合団体は年30万ウォン)と進歩ネットワークセンターから受 ける支援金(常勤者1名の賃金、現在月40万ウォン)に依存していて月予算が 80万ウォン程度でしかありません。

しかし、事務室と電話、事務用品などを会員団体の労働情報化事業団から提 供され、ホームページ製作などの実務支援も受けていて、ウェブサーバなど 情報通信インフラを進歩ネットワークセンターから無償で提供されているた め、基本的な経常費用はとても少なくて済んでいます。したがって、常勤ス タッフの賃金を除き、ほとんどの予算を事業費に使えます。特に、国際労働 メディアのように費用がかかる特別な事業では、関連団体から別途に特別な 分担金を徴収するため、現在は財政問題で特別な困難はありません。しかし、 今年からは労働ネットワーク事務局の常勤幹事を1〜2人充員して多くの事業 を繰り広げる計画で、別途の収益事業も考慮しています。

■韓国労働ネットワークのオンライン(パソコン通信BBSとインターネットウェブサイト)の運営

労働ネットワークで提供するパソコン通信BBSサービスは、その特性のため にテキストが中心になっており、主に相互に情報を共有し、コミュニケーショ ンをして、データベースを構築・活用することに利用されています。特に 1999年3月、民主労総がCUG(closed user group)という団体専用の空間を労 働ネットワークに作り、労働ネットワークの利用者は大きく増え、1999年末 までは労働組合と労働団体等のCUGが急速に増えていました。

しかし、2000年の前後に労働運動のオンライン情報交換の空間がパソコン通 信からインターネットに変わり、それに合せてパソコン通信BBSも変化を試 みています。すなわち、パソコン通信の掲示板内容をウェブでも読み書きが できるように、進歩ネットワークセンターでWebBBSを開発 (http://bbs.jinbo.net)して、それまでは利用料を出してIDを開設しなけれ ば使えなかったBBSを無料化し、インターネットで完全に開放するOpen Network Projectを推進しました。これを土台に、これから2001年にはコミュ ニティ中心のWebBBSに発展させる計画です。

一方、労働ネットワークで運営するインターネットウェブサイトはマルチメ ディア機能を応用した視覚的な効果を出すことができ、容易にハイパーリン ク機能を利用できる点を利用して多様なサイトを構成しようとしています。

まず、労働ネットワークのホームページ(http://www.nodong.net)は、労働 運動の主なニュースと争点を中心に構成されています。特に緊迫した状況の 中で進められる闘争を紹介し、連帯を引出すためのActionAlertページで運 営しています。また、ここには労働ネットワーク利用者が自由に意見を交わ して討論するコミュニケーションのための自由掲示板と各種の闘争のニュー スが書き込まれる速報掲示板、労働者等の闘争を支持する署名掲示板を提供 しています。そして、労働一般を主題としたlaborメーリングリストに加入 して利用できるように、メーリングリストのメニューもあり、労働界の各種 日程を書き込む労働暦も運営しています。

一方、労働運動の主要問題やイベントには、特別なサイトを作って運営して います。現在、STRIKEサイト(http://strike.nodong.net)と韓国メーデーサ イト(http://mayday.nodong.net)、労働メディアサイト (http://lmedia.nodong. net)、アンチポスコサイト (http://antiposco. nodong.net)などがあります。その他にも進歩ネットワー クセンター付設のチャムセサン放送局(http://cast.jinbo.net)で労働ニュー スチャンネルを担当し、週刊労働ニュースというラジオ放送をしたり、各種 の主な労働闘争では動映像を生中継または録画中継で放送(webcasting)する こともあります。

しかし、現在労働ネットワークの事務局常勤者がまだ少なく各種の連帯事業 が多いため、ウェブサイトを活発に運営できないのが実情です。概して週1〜 2回更新する程度です。2001年には事務局にウェブサイトを管理する常勤幹 事を2人程度充員し、労働ネットワークホームページが韓国内労働組合と労 働団体等のホームページにアクセスするゲートウェイになるようにポータル サイトに全面改編する予定です。

■アンチポスコサイトを通した国際連帯経験

昨年、サムミ特殊鋼整理解雇労働者は労働ネットワークの支援・連帯に助け られて浦項製鉄(POSCO)に対抗したインターネット戦争を繰り広げました。 サムミ同志の戦いはこのように始まりました。浦項製鉄がサムミ特殊鋼を買 収合併する過程で数多くの労働者を路頭に追いやり、これに対抗してサムミ 解雇労働者は3年以上闘ってきました。彼らは地方労働委員会、中央労働委 員会、高等裁判所で復職勝訴の判決を勝ち取ったのに、相変らず路頭で闘わ なければならなかったのです。結局、最高裁の最終判決を控え、サムミ労働 者は総力を傾けて国内外の世論を喚起させようとしました。そのためのひと つの方法がインターネットのホームページを中心とする国際連帯でした。

インターネットに開設したアンチポスコホームページ (http://antoposco.nodong.net)は会社ホームページ (http://www.posco.co.kr)をパロディ化しました。会社側が作った格好良く、 良い面だけを強調して広報で一貫するホームページの形を借りながら、その 内容は労働者を無視する前近代的な労使慣行の暴露でいっぱいといった調子 です。特に、アンチポスコホームページはサムミの同志が全国を巡回する雇 用継承大長征を展開した昨年3月と、自転車千里大行進を行った昨年10月に は、毎日の速報資料と写真、動映像資料を上げて多くの人々の注目を集めま した。またサムミ労働者が全国巡回闘争を終えてソウルに進撃した日をアン チポスコの日として外国の連帯デモを組織するということもしました。

このように、アンチポスコホームページが活発に運営され、国際連帯に広が ると、浦項製鉄はアンチポスコホームページに対して「無謀な」攻撃を加え てきました。つまり、会社は自身のホームページをパロディにしたことに対 して、著作権侵害を主張して、裁判所に図案使用禁止仮処分申請をしたので す。裁判所は、やはり会社の申請通りパロディ図案の使用を禁止する決定を おろしました。

こうした裁判所の決定が出され、労働ネットワークは進歩ネットワークと共 に国際的な連帯に訴えました。その結果、APCがアンチポスコサイトの代わ りに内容を公開するミラーサイト探しに乗り出し、これに応えて自発的にア ンチポスコサイトをミラーするサイトが日本(JCA-NET)、英国 (LabourNet/GreenNet)、米国(IGC)、豪州(C2O)、スペイン(Nodo50)、カナダ (WebNetworks)、ドイツ(LabourNet)、ウクライナ(GLUK)などで続出しました。 その後、Linuxの聖者と呼ばれるリチャード・ストールマンまでミラーサイ トを作ってくれたのです。

アンチポスコ運動の反響は多様に表れています。労働問題に特別な関心がな かった一般のネットワーク利用者が、労動基本権と雇用問題に関心を寄せ、 署名運動に参加しています。労働者闘争に小さな子供たちが参加、支援する こともとても容易になりました。労働者を父母に、親戚に持つ小中高の生徒 や家族がホームページに入って「おとうさん、がんばって!」と応援する文 も今ではとても自然なことになりました。数千株の浦項製鉄株式を持つ米国 のある信託会社が、浦項製鉄会長宛に、サムミ労働者を早く雇用継承しろと 抗議書簡を送ったのも新しい変化を実感させるできごとでした。

■サイバーデモ(オンライン行動)の拡散

2000年8月、政府(情報通信部)は「オンライン国家保安法」とさえ呼ばれる、 いわゆる通信秩序確立法の制定を進めました。これに反対して進歩ネットワー クセンターなど、さまざまな社会団体とネットワーク利用者は、数ヶ月にわ たってサイバーデモを行いました。つまり、数多くのネットワーク利用者が 情報通信部のホームページに集まって掲示板に抗議文を残したり、更新ボタ ン(F5キー)を押し続けるサービス拒否攻撃を展開しました。この過程で情報 通信部ホームページは過度な接続負荷により、結局サービスが中断されるこ ともありました。(http://freeonline.or.kr)

昨年1年間に行われたサイバーデモだけを見ても、通信秩序確立法反対デモ の以外にも多くのデモがあります。埋香里米軍爆撃場に反対する国際デモも あり、ASEM反対デモもインターネット空間で展開されました。労働組合が主 導するサイバーデモも次第に増えています。ロッテホテル労組に対する使用 側の無誠意な姿勢と警察の暴力的鎮圧に対抗し、街頭では熱い糾弾闘争が繰 り広げられ、インターネット空間ではアンチロッテ・ホームページ (http://antilotte.nodong.org)を中心にロッテ製品不買運動が熱く展開さ れました。

全教組(全国教職員労働組合)はさらに多様な活動を展開しました。団体行 動権が保障されない状態で、分会長を中心に集団休暇闘争を繰り広げ、共に 参加できない一般組合員たちに指令を出して教育部と警察庁、青瓦台に数多 くの抗議文を書き込みました。その間、教育部ホームページが2回麻痺する こともしました。また、闘争の全過程を動映像で全国の組合員たちに見せる ことにより、闘争の求心点として全教組のホームページが屹立することにな りました。教育部が闘争に参加した組合員を懲戒すると発表しよう組合員ら は教育部ホームページに[私を懲戒しろ」というヘッダーを付けた数千件の 文を書き込み、全教組闘争の正当性を知らせ、連帯意識を強化する模範にな りました。

一方、労働組合運動に、インターネットストライキという新しいストライキ 戦術が試みられました。全国科学技術労組に所属された科学技術部傘下3個 支部賃団交共同闘争本部では昨年10月16日インターネットでインターネット ストライキ(net-strike)を敢行しました。この日のインターネットストライ キでは、組合員が科学技術部のホームページに集中的に集まり、掲示板に労 働組合の要求と科学技術部の政策に対する抗議文を組合員の実名で書き込む という方式で進められました。これにより科学技術部のホームページは突然 増大した接続量に耐えられず、一時運営が中断するという事件まで起きたの です。

このような情報通信運動グループと労働運動の先んじた経験が元肥になって、 昨年12月末には民主労総、参与連帯、進歩ネットワーク、労働ネットワーク など各種社会運動団体が集まり、サイバー共同行動を展開することもしまし た。これまで個別、分散的に展開してきたインターネットデモの限界を克服 し、新しいインターネットデモの経験を広く拡散するために、改革関連の主 要法案が上程される国会会期に合せ、「20大改革課題実現のためのサイバー 共同行動」を展開したのです。(http://cyberact. or.kr)このCyberActサ イトは、今後も韓国の社会運動陣営が共同で繰り広げるインターネット行動 の拠点として、インターネット行動指揮本部としての役割を果たしていくで しょうし、このサイトの運営に対して労働ネットワークが実質的な責任を負 うという点から、インターネット運動における労働者階級の中心性を強化し ようとする努力もまた怠らないつもりです。

今やインターネットという媒体は、社会構成員のあいだでのコミュニケーショ ンと世論の形成、そして連帯と行動の重要な場に浮上しました。特に、オン ラインデモの場合、時間と空間の障壁を超え、全国のネットワーク利用者、 さらに全世界のネットワーク利用者が容易にひとつになり、共同行動ができ るという点で、オフラインの集会・デモとは違った効果があります。こうし たインターネットデモの威力を資本と政権も理解し始めています。それで、 既得権者等は通信秩序確立法のように、インターネット空間に対する監視と 統制を一層強化しようとしています。これに対抗して労働ネットワークは、 インターネットという空間で民主主義が貫徹され、インターネットでの権利 が拡張されるよう努力すると共に、これを統制しようとする政権に対抗する 戦いを展開し続けていきます。

■労働ネットワークと労働者国際連帯

ソウル国際労働メディアのイベントが初めて開かれた1997年当時は、米国の IGCと英国のLabourNetに限られていた労働ネットワークが、今ではカナダ、 オーストリア、ドイツ、韓国、そして日本にも建設され、さまざまな形で同 様の努力が全世界的に広がっています。これを通じて各水準の労働組合、労 働団体、個人の活動家が運営するウェブサイトがインターネット空間の中で 網の目のように連結し、今では各国の労働ネットワークが各国の労働運動と 労働者闘争での情報交流と討論の場としての役割を果たすようになりました。

世界的な次元で超国籍資本による金融的支配が強化され、新自由主義の波が 普遍化することにより、労働運動もこれに対抗して一国的次元の対応を越え て、国際的な連帯の流れを形成する必要があります。このような連帯は、各 国の状況が互い似ているという客観的事実に基盤するもので、これに対する 対応も共通の経験に基盤しています。しかし、いくつかの共通する経験にも かかわらず、国家別の特性が強く作用して、労働運動の組織の様相は相互に 不均等に作用していることも事実です。

それにも拘わらず、ネットワークを通じた情報の交換は、事例と経験の共有 を越えて地球的次元に広がった共同対応と日常的連帯の可能性を開かせます。 したがってこのような側面からみて、国際的労働運動という点から不均等な 経験と特性を考慮し、持続的な連帯活動を展開できる労働者運動の国際的な ネットワーク戦略が至急に要求されています。

韓国労働ネットワークでは昨年の事業計画として「アジア地域各国に労働ネッ トワークが建設されるように支援」するという構想を立てました。しかし、 1年を経過した今でも、まだ韓国と日本を除けば、アジア地域の情報通信の 力量がどの程度なのかを把握することさえ難しい程劣悪だ、ということを確 認したにすぎません。しかし、少しずつ蓄積された韓国の経験を土台に、ア ジア地域の労働運動を支援する努力を続けていく計画です。こうした計画に 日本の労働ネットワークも共に協力していただけることを希望します。

また、米国や英国、カナダ、ドイツなどの各国で運営されている労働ネット ワークとの交流をさらに緊密にして連帯を発展させ、できれば2001年11月で ひらかれる第3回ソウル国際労働メディアのイベントに合せて国際労働ネッ トワーク(International LaborNet)を建設できるよう、日本労働ネットワー クが率先してくれることを提案します。

最後にもう一度、日本労働ネットワークスタートを心よりお祝い申し上げ、 韓国労働ネットワークとの一層深い連帯が行われることを期待します。


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