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News Item 20050718m2
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全港湾の伊藤です。

 ILOが1986年に採択した「石綿の使用における安全に関する条約」が7 月15日の衆議院本会議で承認され、批准されることになりました。日本政府が 労働安全衛生法を改正し、昨年10月から石綿製品の製造・使用を原則禁止した ことによって批准の環境が整ったというわけです。

 私は、当時の総評から派遣され1986年のILO総会の石綿条約の討議に参 加しました。全港湾では、1974年に石綿肺(石綿を吸引したために起こるじ ん肺)の組合員を発見しました。1976年にじん肺管理区分申請を行いました が、港湾荷役作業が粉じん指定作業でないという理由で申請を受け付けてもらえ ませんでした。その後、じん肺検診や作業環境測定などをおこない、じん肺法施 行規則が改正され、港湾荷役作業が粉じん作業に指定されたのは1985年でし た。石綿によるガンの患者も発見され、その労災認定闘争にも取り組んでいたの で、ILO総会に派遣されることになったのです。

 石綿条約討議の最大の論点は、使用禁止の原則をいれるのか、工学的な抑制を すればよいのか、ということでした。労働側とすでに使用禁止を決めていた北欧 諸国は前者の立場、石綿製品の製造技術を持ちはじめた発展途上国は後者の立場、 そしてEC諸国、カナダ、アメリカなどが中間的立場を取りました。日本は後者 の立場を取ったわけです。

 条約に使用禁止の原則はもりこまれませんでした。日本政府は「石綿の使用禁 止の原則は否定され、石綿は安全に使用すればよいことになった」と言いました。 その後、アメリカやEU諸国が1990年代前半までに使用禁止に踏み切ったの に、日本が原則使用禁止にしたのが昨年10月、いま、石綿問題が騒がれている なかで、先日、厚生労働大臣は2008年までに全面使用禁止にすると言いはじ めました。

 私は、1987年に社会問題になった学校の吹きつけアスベストの問題をきっ かけに、労働組合と市民団体による石綿対策全国連絡会議を結成し、事務局長と して、アスベスト規制法の制定運動などアスベスト問題に取り組んできました。 事務局長をやめてからもう13年たちます。最近のアスベスト問題についても考 えることがありますので、またあらためてメールしたいと思います。 、  19年後の石綿条約批准はあまりにも遅れた日本政府の対応と批判して今日は 筆をおきます。

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伊藤 彰信 itoh@jca.apc.org


Created byStaff. Created on 2005-07-18 21:43:21 / Last modified on 2005-09-05 03:00:33 Copyright: Default

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