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郵政首切り25年・名古屋哲一の月刊エッセイ

オカネは、おっかねえ

 オカネは、おっかねえ。

 かの六本木ヒルズ内の43畳に、堀江貴文という社長さんは住んでいる。こんなに広い住居だとお掃除がさぞかし大変だろう。ホウキもすぐ痛んでしまうからすぐ買い替えねばならず、さぞかし大変だろう。それで、ホウキ代など多額の出費のために「法規」を逸脱してお金儲けに走ったとのことで、1月23日に逮捕されてしまった。

 20歳代に起業してから10年、33歳のホリエモンは「人の心はお金で買える」と自著でのたまう。「買う」立場の視点しかないのがアサハカだ。この資本主義の世の中ではちょっとしたことで「売る」立場へ転落してしまうのだから。これは「私の心をお金で売ります」とサモシサを吐露しているに等しい。

 こういった発想の対極に位置するのが、最近少数派になってしまっている争議団とか内部告発するまともな労働組合とか、本物の芸術家とかだろう・・・1960年代の20歳代の若者は、ホリエモン的発想と成功にあこがれるのではなく、この発想を「放棄」し軽蔑し、そして反逆し反乱した。中には「蜂起」した人もいる。

 1960年代に20歳代の芸術家4人が「キャント・バイ・ミー・ラブ(愛はお金じゃ買えねえ!)」とシャウトし、これを聞いた世界中の人々も一緒に熱唱した。この歌の中には、恋人へ向かって「お金じゃ買えないものをボクに求めてくれ!」なんていう粋なフレーズもある。1〜2年前、イラク反戦デモで英語圏の人々は「キャント・バイ・ミー・ピース」とかの替え歌にして、「平和はお金じゃ買えない!売らない!」と歌い歩いた。ホリエモンやブッシュやコイズミとビートルズとは、対立概念なのだった。

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 昨年9・11総選挙で、ホリエモンはコイズミに「新しい時代の息吹」と讃えられて刺客となり、選挙演説で「郵政民営化推進」「コイズミ行革大賛成」「社会保障など要らない」とのたまい、8万余票も獲得した(亀井静香は11万余票)。

 「偽計取引・風説の流布(証券取引法違反)」「黒字偽装・粉飾決算」容疑へ至った責任はホリエモン一人にあるのではなく、小泉自民党、ライブドアを日本経団連へ招き入れた奥田碩会長(トヨタ)、長年この手法を容認してきた東証や金融庁など、同罪のような者がいっぱいいる。面白いと思うのは、ホリエモンが行為事実を認めながら「違法性の認識はない」と言っていることで、他の連中も似たり寄ったり、「偽」「粉飾」「拝金」とかがベースになっている社会では、一理あるとも言えるのだ。

 そもそもが、実体はないのにライブドアグループお金の時価総額が一兆円にも膨らんだりするのが「偽」であり、東京地検の家宅捜索から一週間で、実体は変わりないのに6千億円も時価総額が消えるマジックが、不可思議とはされない社会なのだった。

 腐臭を放つ生き延びすぎた資本主義。他人様のお金を右から左へ移すだけで、またはそこで働く者の権利なんかまるで気にかけることなく企業合併・買収(M&A)するだけで、億の単位の損得の生じるマジックが、不可思議とはされない社会なのだった・・・株式会社化された郵政は、このM&Aへ邁進する(西川善文・前全国銀行協会会長が分割民営化後の持株会社初代社長になる)。

 27歳の無職男性は、IT関連株などの投資で100億円を超す資産をゲット。彼は、今回のライブドア騒動で東証が全銘柄の売買停止をして3億円以上を損したが、昨年末みずほ証券の誤発注の際20億円を儲けた。彼の労働意欲減退にも一理はある。

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 生活保護の受給率が高まっている客観的事実があるにもかかわらず、「偽」の統計をお役人にはじき出させて「格差拡大は誤解」と小泉首相は嘘をつく。彼も大変なのだ。「偽装設計」問題のヒューザー小嶋社長の口から、同じ森派の伊藤公介元国土庁長官や安倍官房長官との裏関係証言が飛び出したり、米産牛肉の「偽安全」が暴露され再び禁輸したり。ホリエモン容疑はコイズミへの逆流転換点をもたらしている。

 「民営化しても安全」との「偽保証」されたたJRで、昨年は尼崎事故や羽越線事故が営利主義によって引き起こされた。そして、「偽データ」で「郵政トヨタ方式は効率的」とし全国へ拡大、年賀状等の遅配誤配を全国へ拡大し苦情電話が殺到、「民営化は効率的」との「偽り答弁」が早くも破綻しつつある。この嘘偽りに満ちたヘンテコな社会構造に終止符を打ちたいと願うのは、少数派ではないはずだ。

名古屋哲一(郵政4・28免職者)

「郵政ユニオン九州地本機関紙」及び「大阪・吹田千里支部機関紙」にも掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


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