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郵政首切り25年・名古屋哲一の月刊エッセイ

 ゆうメイト大先生

  「まず、私のやったとおりに真似してやってみてね」「ハ〜イ」・・・「うーん、全然違うんだよね。もう一度やるからよくみててね」「ハイハイ」・・・「あーあ、なんで言うとおりにしないかな。もう一度ね」「ハイ」・・・「ホントにもう、そうじゃないでしょ。自分のやり方にこだわって、けっこう頑固な人なんだね」「???」。

 後輩は、この10年来で最も従順スナオになっている自分を感じていたので「???」だった。

       *       *       *

 これはある郵便局での、管理職が後輩へ仕事を教えている風景だ、何てことがあるはずはない。なんで「あるはずはない」のかと言うと、第一に、ほとんどの管理職はこんなに優しくはない、第二に、ほとんどの管理職は仕事を知らず教えることができない、第三に、ほとんどの管理職は「上」からの命令を「下」へ命令することが自分の仕事だと勘違いしている、第四に、ほとんどの管理職はトヨタ方式(椅子撤去の一日中の立ち作業等)や民営化路線2ネット方式(小包・書留等、常勤職員の営業を兼ねた対面配達専念等)が非効率でくだらねえと知っていても、これに従順スナオでない職員を「訓練道場」(郵政版「日勤教育」)へ放り込むことまで意に介さない、第五に、ほとんどの管理職は07年10月の民営化で多くの集配特定局を窓口だけ残して整理など自分の首さえ危うく恐々としているのに、この何年も利用者からの苦情電話急増で嫌気がさしているのに、これら矛盾を現場労働者へ転嫁することだけに追われる日常に感覚が麻痺し「後輩へ仕事を教える」どころではない等々だからだ。

 このような驚嘆すべき管理職の体質育成は「一日にしてならず」であり、27年前の4・28首切り処分は、このような「命令と服従」大好き管理職への全国的反逆に対する報復でもあった。

       *       *       *

2月6〜9日の郵政ユニオン東京・関東のスキーレク、「スキー指導員を指導する」資格を持ったゆうメイトさんが参加して、幾つもの魔法を振りまいていった。

 これまでにも確かに魔法はあった。「肩を揺すらないで(そして体の正面を谷=坂下方向へ向けて)」と言われても、肩を揺すっている自覚等がなくていくら頑張っても直しようがなかった。ある日ある時、「優しい先輩」が「ストックを両肩に平衡(谷に垂直)に常になるよう持ち続けて滑ってみな」と言うのでやってみたら「別人のようになった」とお誉めにあずかった。肩を揺すっている自覚がなかったので直った自覚もなく、狐につままれたような魔法だった。

 今回の「指導員の指導員」サマ、大先生。「前傾姿勢にしているつもりでもそうなっていないと言われる」とご相談したら、畳の上に座り込んでボクを目の前に立たせ両手を取り合い・・・見つめ合う瞳と瞳、絡み合う眼差しと眼差し、大先生は手に力を入れてボクを引き寄せようとするするではないか、大先生が女性だったら引かれるままに倒れ込んだのだが残念ながらそうではなかったので思わず足を踏ん張った・・・「ホラ、腰が引けてるでしょう」と大先生はのたまい、「今下から引っ張った力は坂下からの重力と同じで、この時無意識に足を踏ん張ってしまうのはとても自然なこと」と、本人が前傾姿勢のつもりでも腰が引けている状態であることを、体験的・実感的・論理的に納得させてくれた。その他、スキー板のエッジが立たなければ「膝の外側から手で押してみて」など小学生でも解る簡単なアドバイスで、次々と魔法が繰り広げられた。

 後輩に「下手!」ではなく「自然なこと」と言って共通認識を培い、自主性を引き出し、個人個人の違いに適するようアドバイスの中身を変え、「いつもこの通り、って方法は存在しない」何故ならとりまく情況は千差万別で常に変化しているからと弁証法の極意を述べて、「命令と服従」とは逆の一人一人の創意工夫を支援する。

 郵政管理職に、このゆうメイト大先生や「優しい先輩」をチラとでよいから見習ってほしい。

名古屋哲一(郵政4・28免職者)

「郵政ユニオン九州地本機関紙」及び「大阪・吹田千里支部機関紙」にも掲載

*タイトルはレイバーネット編集部


Created bystaff01. Created on 2006-02-25 13:19:26 / Last modified on 2006-02-25 13:35:11 Copyright: Default

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